Noman Flight Research Group 無人航空機(ドローン)の研究会です

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3.1 航空法全般【教則学習】

2022年12月29日  2024年4月16日 
3. 無人航空機に関する規則    3.1 航空法全般
無人航空機の飛行の安全に関する教則から学ぶ 3.1 航空法全般

令和6年(2024年)4月14日(日)以降に無⼈航空機操縦士の学科試験を受験される方は下記の「第3版」をご覧ください。

教則の本文を黒色に、独自に追記した補足説明や注釈を別色で記載しています。

3.1.1 航空法に関する一般知識

(1) 航空法における無人航空機の定義

航空法において、「無人航空機」とは、

① 航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、
② 遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものであり、
③ 重量が 100 グラム以上のもの

を対象としている。

①の「構造上人が乗ることができないもの」とは、単に人が乗ることができる座席の有無を意味するものではなく、当該機器の概括的な大きさや潜在的な能力を含めた構造、性能等により判断される。一方で、「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船を対象としているため、人が乗り組まないで操縦できる機器であっても、航空機を改造したものなど、航空機に近い構造、性能等を有している場合には、無人航空機ではなく、航空機に分類される。このように操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機を「無操縦者航空機」という。飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船のいずれにも該当しない気球やロケットなどは航空機や無人航空機には該当しない。

「無操縦者航空機」の例としては、F-4を改造したQF-4やF-16を改造したQF-16など、退役した戦闘機を改造した標的機や、最近、海上保安庁にも導入されたシーガーディアンなどがあります。一般にドローンと呼ばれるものの中にも、航空法上日本では、有人航空機と同じ扱いを受ける無人機もあるという事です。

②は「遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」としているため、例えば、紙飛行機など遠隔操作又は自動操縦により制御できないものは、無人航空機には該当しない。
③の「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない。なお、100グラム未満のものは、無人航空機ではなく、「模型航空機」に分類される。重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成 28 年法律第9号。以下「小型無人機等飛行禁止法」という。)において規制対象となる「小型無人機」については大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる。
重量について
ここで言う重量とは機体重量を指しています。航空機は(無人有人を問わず)飛行するにあたり、重要な要素になる重量を、様々な重量の組み合わせで、表現することが一般的です。
細かく、分類されている重量を足したり引いたりして、表します。
分類されている重量
空虚重量(empty weight)
機体構造・エンジン・モーター・固定装備などの飛行に必要な装置の合計重量のことをあらわします。ペイロード(運搬する荷物の重量)や、燃料を含めない機体自体の自重です。エンジンを搭載している機体では、エンジンの潤滑油・作動油・冷却水や、固定バラストなどは含まれます。
バッテリー重量・燃料重量
機体を動かすためのバッテリーの重量やエンジン搭載機であればその燃料の重量です。
積載重量
「バッテリー・燃料の重量」「ペイロード(運ぶ荷物の重さ)」「カメラなどの追加装備の重量」ここで言うカメラとは、標準で搭載されているカメラではなく、後から搭載するカメラの事です。
最大離陸重量(Maximum Takeoff Weight, MTOW)
航空機の機種ごとに定められた、その機種が離陸することができる総重量の最大値。耐空証明(自動車の車検にあたるものです)で指定された運用限界上の限界値を表します。その機体の飛行性能を示す要素にもなるため、許可の申請や、機体登録などで、しばしば出てくることがあります。実際の運用にあたっての離陸重量は、必ず最大離陸重量以下になります。

機体重量 = 空虚の重量 + バッテリー(燃料)重量

最大離陸重量 ≦ [空虚の重量] + [バッテリー(燃料)重量 ]+ [追加装備の重量] + [ペイロード]

模型航空機
100g未満の機体は模型航空機に分類されるため、航空法上の無人航空機にあてはまりません。そのため、航空法での飛行禁止などの適用を受けません。
令和4年(2022年)6月20日に法令改正に伴い、200g未満の機体を模型航空機としていたものが、100g未満に引き下げられました。古い法令の認識のまま、これらの機体を飛行させると、法令違反になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
また、模型航空機と聞くと、ラジコン飛行機のような物を想像してしまうが、実際のラジコン飛行機は、100gを超えるもの大半であるため、これらも、無人航空機に分類される。
模型航空機が、200gから100gに引き下げられた経緯は、2019年11月、民生ドローンメーカー大手のDJIより、この規制をかいくぐる機体、MAVIC MINIが発売され人気になりました。この機体は、空撮ドローンとしても、それなりの性能があるにもかかわらず、機体重量が199gというもので、他の玩具扱いされていたドローンとは一線を画するものでした。海外の仕様では、249gでしたが、日本仕様のみ、飛行時間とトレードオフする形で、バッテリーを軽量化し、ぎりぎり200g未満にしたものでした。想定していた機体性能を上回る機体が出てきてしまったため、それをカバーするために、100gに引き下げられたと予想されます。

(2) 無人航空機の飛行に関する規制概要

1) 無人航空機の登録

全ての無人航空機(重量が100グラム未満のものは除く。)は、国の登録を受けたものでなければ、原則として航空の用に供することができない。登録の有効期間は3年である。また、無人航空機を識別するための登録記号を表示し、一部の例外を除きリモート ID 機能を備えなければならない。
令和4年(2022年)6月20日に法令改正に伴い、機体の登録をしていない機体は飛行させることができなくなり、識別するための登録記号を機体に表示し、リモート ID 機能を備え、飛行中は識別信号を送信しなければならない。このリモートID機能は、これまで使用されてきた旧機体では、搭載されていないものが多く、一部の機体(DJIの一部の機種など)では、ファームウェアアップデートなどで、搭載可能になるが、小型のリモートIDビーコンを新たに購入し、取り付けて飛行しなければならない。この法律が施行される前に登録された機体については、猶予措置として、リモートID機能の搭載が免除された。現在、新たに登録する機体は、必ず必要になる。
リモートID機器について詳しくは「無人航空機(ドローン)に搭載するリモートID機器」にまとめています。
登録記号と機体表示
2022年6月20日より登録記号の表示の義務化が、スタートしました。有人航空機のルールに類する考え方に基づいて制度が出来上がっています。有人航空機では「機体記号(aircraft registration)通称レジ番号」といわれる、国籍番号と登録番号の組み合わせの表示義務がありますが、無人航空機は「登録記号」となっています。JUからは始まる12 桁のアルファベット大文字及び数字の組み合わせと定められていて、番号は希望する事はできない。
この登録番号を表示する義務があり、場所や、大きさなど厳格に定められています。
登録記号の表示等の方法
登録記号は「JU」から始まる 12 桁のアルファベット大文字及び数字の組み合わせで、登録無人航空機毎に一意に割り当てられる。 登録記号は登録更新、変更届出を行った場合には変更されないが、一度登録を抹消し たもの(有効期限を超過し失効したものを含む。)を再度登録する場合は、新たに別の 登録記号が割り当てられ、前と同じ登録記号を使用することはできない。無人航空機登録要領に記載されているので、下記に抜粋、要約します。
物理的な登録記号の表示
登録を受けた無人航空機の所有者は、航空の用に供する前に、通知を 受けた登録記号を、以下の1~4に従って無人航空機に物理的に表示しなければならない。
  1. 登録記号の表示
    登録記号は、装飾体でないアラビア数字又はローマ字の大文字により、耐久性 のある方法で、鮮明に表示しなければならない。このため、無人航空機の材質や 飛行形態に応じ、登録記号を印字したシールの貼付、油性ペンでの記載、スプレ ーによる塗装、刻印などから適切な方法を選択することができる。 なお、無人航空機の使用中に登録記号を印字したシールの剥離に伴う紛失、表 示の消滅等が生じないよう耐候性を考慮するとともに、無人航空機を拾得した者 等が容易に判別できるようにする必要があるため、機体表面上の他の表示と紛れることがないよう一連で表示しなければならない。
  2. 登録記号の表示の位置
    登録記号は、無人航空機の胴体のうち、容易に取り外すことができない部分の 表面であつて外部から容易に確認できる場所に表示しなければならない。 登録記号は、無人航空機を拾得した者等が容易に認識できるものであり、墜落 時に飛散する可能性の低い場所に表示させる必要があるため、胴体面で外部から 容易に確認できる場所のうち、ドライバー等の工具を用いずに取り外すことので きない場所に表示しなければならない。胴体面にある場所であっても、バッテリ ーの蓋等の工具を用いずに取り外すことのできる場所へ表示することはできない。
  3. 登録記号の表示に使用する文字及び数字の高さ
    使用する文字及び数字の高さは次のとおりとすること。
    イ) 重量の区分が 25kg 未満の場合 …  3 mm 以上
    ロ) 重量の区分が 25kg 以上の場合 … 25 mm 以上
  4. 登録記号の表示の色
    登録記号の表示の色は、表示する場所の地色と鮮明に判別できるものでなければならない。

2) 規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)

航空法において、無人航空機の飛行において確保すべき安全は、
● 航空機の航行の安全
● 地上又は水上の人又は物件の安全
であり、これらに危害を及ぼすおそれがあるものとして、次に掲げる飛行の空域と方法を規制している。
a. 規制対象となる飛行の空域
<航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域>
(A) 空港等の周辺の上空の空域
(B) 消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要がある空域
(C) 地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
<人又は家屋の密集している地域の上空>
(D) 国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空
一般的に、この人口密集地区は、DIDとも言われ、国勢調査が行わる5年ごとに変更されます。変更された物をいつから適用するかは、都度、航空局より発表があります。
国土地理院の地図にて確認をすることができます。

令和2年版人口集中地区地図|国土地理院

b. 規制対象となる飛行の方法
① 夜間飛行(日没後から日出まで)
② 操縦者の目視外での飛行(目視外飛行)
③ 第三者又は第三者の物件との間の距離が 30 メートル未満での飛行
④ 祭礼、縁日、展示会など多数の者の集合する催しが行われている場所の上空での飛行
⑤ 爆発物など危険物の輸送
⑥ 無人航空機からの物件の投下
ドローンでの農薬や肥料などの散布は、「物件の投下」の扱いになります。
上記 a に掲げる空域における飛行又は上記 b に掲げる方法による飛行のいずれかに該当する飛行を「特定飛行」といい、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから原則として禁止されている。
原則として禁止されている特定飛行でも国交省の許可や承認を得ることで、飛行させることができる場合があります。
規制対象となる飛行の空域を飛行させる場合は許可を、規制対象となる飛行の方法で飛行させる場合には承認が必要になります。
この、許可承認については、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」令和4年(2022年) 11 月9日改訂にて公表されています。

3) 無人航空機の飛行形態の分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ)

飛行の禁止空域及び飛行の方法に関する無人航空機の飛行形態については、そのリスクに応じて次に掲げるとおりに分類される。
a. カテゴリーⅠ飛行
特定飛行に該当しない飛行を「カテゴリーⅠ飛行」という。この場合には、航空法上は特段の手続きは不要で飛行可能である。
b. カテゴリーⅡ飛行
特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者(以下「第三者」という。)の立入りを管理する措置(以下「立入管理措置」という。)を講じたうえで行うものを「カテゴリーⅡ飛行」という。
カテゴリーⅡ飛行のうち、特に、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行は、リスクの高いものとして、「カテゴリーⅡA飛行」といい、その他のカテゴリーⅡ飛行を「カテゴリーⅡB飛行」という。
c. カテゴリーⅢ飛行
特定飛行のうち立入管理措置を講じないで行うもの、すなわち第三者上空における特定飛行を「カテゴリーⅢ飛行」といい、最もリスクの高い飛行となることから、その安全を確保するために最も厳格な手続き等が必要となる。
飛行カテゴリと特定飛行については、「無人航空機の飛行形態「カテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ」 と 飛行レベル「レベル1~4」 サイト内リンク として別途まとめています。

4) 機体認証及び無人航空機操縦者技能証明

特定飛行については、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから、①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法の適格性を担保し、飛行の安全を確保する必要がある。
このうち、①使用する機体及び②操縦する者の技能について、国があらかじめ基準に適合していることを確認したことを証明する「機体認証」及び「技能証明」に関する制度が設けられている。
機体認証及び技能証明については、無人航空機の飛行形態のリスクに応じ、カテゴリーⅢ飛行に対応した第一種機体認証及び一等無人航空機操縦士、カテゴリーⅡ飛行に対応した第二種機体認証及び二等無人航空機操縦士と区分されている。
機体認証のための検査は、国又は国が登録した民間の検査機関(以下「登録検査機関」という。)が実施し、機体認証の有効期間は、第一種は1年、第二種は3年である。
技能証明のための試験は、国が指定した民間の試験機関(以下「指定試験機関」という。)が実施し、技能証明の有効期間は、一等及び二等ともに3年である。

「機体認証」と「技能証明」
機体認証は使用するドローンに対して行われるもので、技能証明は、操縦者に対して行われるものです。自動車で例えるのがわかりやすいと思います。大雑把に置き換えるなら「車検」と「運転免許」という事なると思います。

5) 特定飛行を行う場合の航空法上の手続き等

特定飛行の安全を確保するためには、無人航空機の飛行形態のリスクに応じて、①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法の適格性を担保する必要があることから、飛行形態の分類に対応して次に掲げるとおりとなる。
a. カテゴリーⅡ飛行
カテゴリーⅡB 飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である。この場合、国土交通省令で定める飛行の安全を確保するための措置(以下「安全確保措置」という。)として飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。
カテゴリーⅡA 飛行に関しては、カテゴリーⅡB 飛行に比べてリスクが高いことから、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であっても、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。なお、カテゴリーⅡA 飛行及びカテゴリーⅡB飛行はともに、機体認証及び技能証明の両方又はいずれかを有していない場合であっても、あらかじめ①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることによっても可能となる。

機体認証と技能証明の両方がない場合であっても国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることによっても可能です。現在、一般的に航空局の包括許可・承認や個別に許可・承認を受けて飛行することが、できている状況に変更は無いことになります。

b. カテゴリーⅢ飛行
カテゴリーⅢ飛行に関しては、最もリスクの高い飛行となることから、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることが求められることに加え、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。

このようにカテゴリーⅢ飛行の飛行の許可・承認を受けるには、一等無人航空機操縦士の技能証明と第一種機体認証を受けた機体が必須となります。これまでは、禁止されていた飛行(許可されていなかった飛行)ですから、このような、条件付きで解禁になったという事だと思います。

(3) 航空機の運航ルール等

1) 無人航空機の操縦者が航空機の運航ルールを理解する必要性

無人航空機は、航空機と同様、空中を飛行する機器であることから、万一の場合には、航空機の航行の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある。
この観点から、
①航空機の航行安全は、人の生命や身体に直接かかわるものとして最大限優先すべきものであること、
②航空機の速度や無人航空機の大きさから、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することが困難であること、
③無人航空機は航空機と比較して一般的には機動性が高いと考えられることから、航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の航行の安全を確保するためにも、無人航空機側が回避することが妥当であり、航空機は、無人航空機に対して進路権を有するとされている。
無人航空機の操縦者は、
(a)国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」などを通じて飛行情報を共有し、
(b)飛行前に航行中の航空機を確認した場合には飛行させないなどして航空機と無人航空機の接近を事前に回避するとともに、
(c)飛行中に航行中の航空機を確認した場合には無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることが求められている。
我が国においても無人航空機と航空機のニアミス事案や無人航空機により空港が閉鎖される事案などが発生しており、ひとたび航空機に事故が発生した場合には甚大な被害が生じるおそれがあることから、航空機と同じ空を飛行させる無人航空機の操縦者も航空機の運航ルールを十分に理解することが極めて重要である。

ここで示されている「航空機」とは「有人航空機」を示しているものと考えられます。
航空機の航行安全が最大限優先で、航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の航行の安全を確保するため、無人航空機側が回避すること、航空機は、無人航空機に対して進路権を有します。有人航空機が優先的に扱われることを理解しておく必要があります。
ドローンを不用意に飛ばすと思いもよらない結果が待ち受けている 
サイト内リンク」で動画をリンクしています。ドラマの1シーンですが、もし自分が飛行させているドローンだった場合だと考えると非常に恐ろしいと思います。一度みて、想像してみることをおすすめします。


2) 計器飛行方式及び有視界飛行方式

航空機が飛行する方式には、「計器飛行方式(IFR:Instrumental Flight Rules)」と「有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules)」との2つがある。
計器飛行方式(IFR)は、航空交通管制機関が与える指示等に常時従って行う飛行の方式である。高速で高高度を移動する旅客機は通常は計器飛行方式(IFR)で飛行する。その他の航空機も有視界飛行方式(VFR)ができない気象状態となった場合には計器飛行方式(IFR)で飛行する。
有視界飛行方式(VFR)は、計器飛行方式(IFR)以外の飛行の方式とされ、航空機の操縦者の判断に基づき飛行する方式である。小型機や回転翼航空機は有視界飛行方式(VFR)で飛行することが多い。空港及びその周辺においては、有視界飛行方式で飛行する航空機も航空交通管制機関が与える指示等に従う必要がある。

有視界飛行方式(VFR)と、計器飛行方式(IFR)について下記に詳しくまとめました。
航空機の飛行方式 IFRとVFR【教則学習・詳細】 サイト内リンク

3) 航空機の飛行高度

150メートル以下での航空機の飛行は離着陸に引き続く場合が多いが、捜索又は救助を任務としている公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等の航空機や緊急医療用ヘリコプター及び低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)等は離着陸にかかわらず150メートル以下で飛行している場合がある。
無人航空機の操縦者は、航空機と接近及び衝突を避けるため、無人航空機の飛行経路及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中に航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。

4) 航空機の操縦者による見張り義務

航空機の操縦者は、航空機の航行中は、飛行方式にかかわらず、視界の悪い気象状態にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをすることが義務付けられているが、航空機の飛行速度や無人航空機の大きさを考慮すると、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することは困難である。
無人航空機の操縦者は、これを理解したうえで、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中の航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。

5) 出発前の航空情報の確認

航空機の機長は、出発前に運航に必要な準備が整っていることを確認することとされ、その一環として、国土交通大臣から提供される航空情報を確認することが義務付けられている。

6) 航空機の空域の概要

無人航空機は、高度150メートル以上又は空港周辺の空域の飛行は原則禁止されているが、航空機の空域との分離を図ることにより、安全を確保することとしている。このため、無人航空機がこれらの禁止空域を飛行する場合には、当該空域を管轄する航空交通管制機関と調整し支障の有無を確認したうえで飛行の許可を受ける必要があるが、そのうえで、無人航空機の操縦者は、次に掲げる航空機の空域の特徴や注意点を十分に理解して慎重に飛行し、航空交通管制機関等の指示等を遵守する必要がある。
a. 航空機の管制区域
国は、航空交通の安全及び秩序を確保するため、航空交通管制業務を実施する区域(管制区域)を設定している(管制区域以外の空域を非管制区域という)。
航空交通管制区は、地表又は水面から200メートル以上の高さの空域のうち国が指定した空域であり、計器飛行方式により飛行する航空機は航空交通管制機関と常時連絡を取り、飛行の方法等についての指示に従って飛行を行わなければならない。また、航空交通管制圏は、航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等及びその周辺の空域であり、全ての航空機が航空交通管制機関と連絡を取り、飛行の方法や離着陸の順序等の指示に従って飛行を行わなければならない。
b. 空港の制限表面の概要
航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があるため、航空法において、次のような制限表面を設定している
ア) 全ての空港に設定するもの
進入表面: 進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面
水平表面: 空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面
転移表面: 進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面
イ) 東京・成田・中部・関西国際空港及び政令空港において指定することができるもの
東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港及び政令空港(釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の各空港)においては、航空機が頻繁に離着陸することから、上記 ア)の制限表面に加え、次の制限表面も設定されている。
円錐表面:大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面
延長進入表面:精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面
外側水平表面:航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表

7) 模型航空機に対する規制

重量100グラム未満の模型航空機についても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為は航空法により規制されている。
① 航空交通管制圏、航空交通情報圏、航空交通管制区内の特別管制空域等における模型航空機の飛行は禁止されている。また、国土交通省が災害等の発生時に後述の緊急用務空域を設定した場合には、当該空域における飛行も禁止される。
② ①の空域以外のうち、空港等の周辺、航空路内の空域(高度150メートル以上)、高度250メートル以上の空域において、模型航空機を飛行させる場合には、国土交通省への事前の届出が必要となる。

無人航空機はの場合、高度150メートル以上で許可が必要なのに模型飛行機は高度250メートル以上で事前の届出が必要なのか?
このような質問を頂きました。何の疑問も持たず、そういうものだと思っていましたが尋ねられると、確かに複雑な感じがして
改めて考えてみました。

航空法の同一の条項の中で言及されている物でないので複雑に見えていると言えます。航空法での規制の流れを見れば、なんとなくわかるのではないでしょうか。

日本の法律では、模型飛行機(無人航空機も含め)飛行してはダメな条件(機体の重さや、飛行させる場所、飛行させる時間など)が定められています。ですので、禁止されている事以外はやって良い事と解釈できます。

無人航空機が法規制になる以前、「航空法施行規則二百三十九条の二~四」によって模型飛行機についての飛行条件が定められています。

これによると、機体重量100g未満の模型航空機を飛行させる場合まったく規制がないわけではなく「小型無人機等飛行禁止法」と呼ばれる法律だけでなく「航空法 百三十四条の三

「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」はしてはならない。とされています。
ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。ともされており、許可を受ければ可能という事です。

「航空法施行規則 二百三十九条の二~四」で「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」の中に模型飛行機の飛行ついて定められています。
この「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」を行う際には届け出が必要とされています。これが、本文中にある高度250メートル以上の空域において、模型航空機を飛行させる場合には、国土交通省への事前の届出が必要の根拠となります。

混乱してしまうのは、その後にできた無人航空機の法規制によって模型航空機の中で機体重量が200gを超えたもの(現在は法改正により100gを超えたもの)は、無人航空機として規制され、高度150m以上で許可が必要になりました。無人航空機に該当しないものはそのまま「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」の制限を受けているため、2つの基準があるように見えるかもしれません。

以下に航空法の百三十四条の三を参考までに引用します。
航空法
第十二章 雑則
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第百三十四条の三 何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に通報しなければならない。
3 何人も、みだりに無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある花火の打上げその他の行為で地上又は水上の人又は物件の安全を損なうものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。


以下に航空法施行規則の二百三十九条の二~四を参考までに引用します。
航空法施行規則
第十一章 雑則
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第二百三十九条の二 法第百三十四条の三第一項の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
一 ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第百三十四条の三第一項の空域(当該空域が管制圏又は情報圏である場合にあつては、次に掲げる空域に限る。)に打ち上げること(捜索、救助その他の緊急性がある場合におけるものを除く。)。
イ 進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域
ロ 法第三十八条第一項の規定が適用されない飛行場の周辺の空域であつて、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域
ハ 緊急用務空域
ニ イからハまでに掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域
二 気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
三 凧を第一号の空域に揚げること。
四 模型航空機(無人航空機を除く。次条において同じ。)を第一号の空域で飛行させること。
五 可視光線であるレーザー光を第一号の空域を飛行する航空機に向かつて照射すること。
六 航空機の集団飛行を第一号の空域で行うこと。
七 ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号の空域で行うこと。
2 法第百三十四条の三第一項ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名、住所及び連絡場所
二 当該行為を行う目的
三 当該行為の内容並びに当該行為を行う日時及び場所
四 その他参考となる事項
第二百三十九条の三 法第百三十四条の三第二項の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
一 ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第百三十四条の三第二項の空域のうち次に掲げる空域に打ち上げること(捜索、救助その他の緊急性がある場合におけるものを除く。)。
イ 進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域
ロ 法第三十八条第一項の規定が適用されない飛行場の周辺の空域であつて、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域
ハ 緊急用務空域
ニ イからハまでに掲げる空域以外の空域であつて、航空路内の地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域
ホ イからニまでに掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から二百五十メートル以上の高さの空域
二 気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
三 凧を第一号の空域に揚げること。
四 模型航空機を第一号の空域で飛行させること。
五 航空機の集団飛行を第一号の空域で行うこと。
六 ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号イからハまでの空域で行うこと。
2 前項の行為を行おうとする者は、あらかじめ、前条第二項第一号、第三号及び第四号に掲げる事項を国土交通大臣に通報しなければならない。
出典:航空法施行規則 | e-Gov法令検索

結論として
無人航空機の場合、高度150メートル以上は飛行禁止 ただし国交省の
許可があれば可
→無人航空機の場合、高度150メートル以上での飛行は許可が必要

模型飛行機の高度250メートル以上の飛行は航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為であるため国土交通大臣が、認めて許可をした場合は可能で飛行の際に事前の届出が必要。
模型飛行機の場合、原則250mまで飛行が認められている。

模型飛行機は
高度150メートル以上でも、高度250メートル未満であれば許可なく飛行させることができる(航空路内など規制対象のエリアでは不可)という事になると思います。

3.1.2 航空法に関する各論

(1) 無人航空機の登録

1) 無人航空機登録制度の背景・目的

無人航空機による不適切な飛行事案への対応の必要性や無人航空機の利活用の増加に伴い、無人航空機の登録制度が創設された。その目的は、①事故発生時などにおける所有者把握、②事故の原因究明など安全確保上必要な措置の実施、③安全上問題のある機体の登録を拒否し安全を確保することである。

2) 無人航空機登録制度の概要

全ての無人航空機(重量が100グラム未満の模型航空機は除く。)は、国の登録を受けたものでなければ、原則として航空の用に供することができない。登録の有効期間は3年である。登録記号を表示し、一部の例外を除きリモート ID 機能を備えなければならない。

3) 登録を受けることができない無人航空機

① 製造者が機体の安全性に懸念があるとして回収(リコール)しているような機体や、事故が多発していることが明らかである機体など、あらかじめ国土交通大臣が登録できないものと指定したもの ② 表面に不要な突起物があるなど地上の人などに衝突した際に安全を著しく損なうおそれのある無人航空機
③ 遠隔操作又は自動操縦による飛行の制御が著しく困難である無人航空機

4) 登録の手続き及び登録記号の表示

無人航空機の登録の申請は、オンライン又は書類提出により行い、手数料の納付等全ての手続き完了後、登録記号が発行される。
登録記号は、無人航空機の容易に取り外しができない外部から確認しやすい箇所に耐久性のある方法で鮮明に表示しなければならない。登録記号の文字は機体の重量区分に応じて次の高さとし、表示する地色と鮮明に判別できる色で表示しなければならない。
● 最大離陸重量 25kg 以上の機体は 25mm 以上
● 最大離陸重量 25kg 未満の機体は 3mm 以上
所有者又は使用者の氏名や住所などに変更があった場合には、登録事項の変更の届出をしなければならない。3年の有効期間毎に更新を受けなければ、登録の効力を失う。
5) リモート ID 機能の搭載の義務
機体への物理的な登録記号の表示に加え、識別情報を電波で遠隔発信するリモート ID 機能を機体に備えなければならない。ただし、次に掲げる場合にあっては、リモート ID 機能の搭載が免除される。
① 無人航空機の登録制度の施行前(2022年6月19日)までの事前登録期間中に登録手続きを行った無人航空機
② あらかじめ国に届け出た特定区域(リモート ID特定区域)の上空で行う飛行であって、無人航空機の飛行を監視するための補助者の配置、区域の範囲の明示などの必要な措置を講じた上で行う飛行
③ 十分な強度を有する紐(ひも)など(長さが30m以内のもの)により係留して行う飛行
④ 警察庁、都道府県警察又は海上保安庁が警備その他の特に秘匿を必要とする業務のために行う飛行
6) リモート ID 機器の概要及び発信情報
リモート ID 機能は、識別情報を電波で遠隔発信するためのものであり(内蔵型と外付型がある)、当該機器は技術規格書に準拠して開発・製造される。
リモート ID 機能により発信される情報には、静的情報として無人航空機の製造番号及び登録記号、動的情報として位置、速度、高度、時刻などの情報が含まれており(所有者や使用者の情報は含まれない)、1秒に1回以上発信される。

リモートID機器について、下記で詳しく説明しています。
無人航空機(ドローン)に搭載するリモートID機器(令和4(2022)年6月20日義務化) サイト内リンク


(2) 規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)の補足事項等

1) 規制対象となる飛行の空域

a. 空港等の周辺の空域
航空法に基づき原則として無人航空機の飛行が禁止されている「空港等の周辺の空域」は、空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域である。
ただし、航空機の離着陸が頻繁に実施される新千歳空港・成田国際空港・東京国際空港・中部国際空港・関西国際空港・大阪国際空港・福岡空港・那覇空港では、進入表面等の上空の空域に加えて、進入表面若しくは転移表面の下の空域又は空港の敷地の上空の空域についても飛行禁止空域となっている。
b. 緊急用務空域
国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関その他の関係機関の使用する航空機のうち捜索、救助その他の緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保するため、国土交通省が緊急用務を行う航空機が飛行する空域(緊急用務空域)を指定し、この空域では、原則、無人航空機の飛行が禁止される(重量100グラム未満の模型航空機も飛行禁止の対象となる)。
災害等の規模に応じ、緊急用務を行う航空機の飛行が想定される場合には、国土交通省がその都度「緊急用務空域」を指定し、国土交通省のホームページ・Twitter にて公示する。
無人航空機の操縦者は、飛行を開始する前に、当該空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認することが義務付けられている。空港等の周辺の空域、地表若しくは水面から150m以上の高さの空域又は人口集中地区の上空の飛行許可があっても、緊急用務空域を飛行させることはできない。
c. 高度150メートル以上の空域
「高度150メートル以上の飛行禁止空域」とは、海抜高度ではなく、無人航空機が飛行している直下の地表又は水面からの高度差が150メートル以上の空域を指す。このため、山岳部などの起伏の激しい地形の上空で無人航空機を飛行させる場合には、意図せず150メートル以上の高度差になるおそれがあるので注意が必要である。
d. 人口集中地区
「人口集中地区(DID:Densely Inhabited District)」は、5年毎に実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域であり、現在は令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区が適用されている。

2) 規制対象となる飛行の方法

a. 日中における飛行
無人航空機の操縦者は、日中(日出から日没までの間)における飛行が原則とされ、それ以外の飛行の方法(夜間飛行)は、航空法に基づく規制の対象となる。
「日中」とは、国立天文台が発表する日の出の時刻から日の入りの時刻までの間を指す。
b. 目視による常時監視
無人航空機の操縦者は、当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させることが原則とされ、それ以外の飛行の方法(目視外飛行)は、航空法に基づく規制の対象となる。
「目視により常時監視」とは、飛行させる者が自分の目で見ることを指し、双眼鏡やモニター(FPV(First Person View)を含む。)による監視や補助者による監視は含まない(眼鏡やコンタクトレンズの使用は「目視」に含まれる)。
c. 人又は物件との距離
無人航空機の操縦者は、当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に30メートル以上の距離(無人航空機と人又は物件との間の直線距離)を保って飛行させることが原則とされ、それ以外の飛行の方法は、航空法に基づく規制の対象となる。
「人又は物件」とは、第三者又は第三者の物件を指し、無人航空機を飛行させる者及びその関係者並びにその物件は該当しない。
また、「物件」とは、(a)中に人が存在することが想定される機器、(b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物等を指す。具体的な「物件」の例は次のとおり。
車両等:自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン 等
工作物:ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等
なお、土地や自然物(樹木、雑草等)などは、「物件」に該当しない。
d. 催し場所上空
無人航空機の操縦者は、多数の者の集合する催しが行われている場所の上空における飛行が原則禁止されている。
「多数の者の集合する催し」とは、特定の場所や日時に開催される多数の者が集まるものを指す。その該当の有無については、催し場所上空において無人航空機が落下することにより地上等の人に危害を及ぼすことを防止するという趣旨に照らし、集合する者の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるかどうかによって総合的に判断される。具体的には、次のとおり。
● 該当する例
祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート、町内会の盆踊り大会、デモ(示威行為) 等
● 該当しない例
自然発生的なもの(信号待ちや混雑により生じる人混み 等)
また、多数の者の集合する催しが行われている場所の上空における飛行に際しては、風速 5m/s 以上の場合は飛行を中止することや、機体が第三者及び物件に接触した場合の危害を軽減する構造を用意していることが必要である。

e. 危険物の輸送
無人航空機の操縦者は、当該無人航空機により危険物を輸送することが原則禁止されている。 「危険物」とは、火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質、酸化性物質類、毒物類、放射性物質、 腐食性物質などが該当する。 無人航空機の飛行のため当該無人航空機で輸送する物件は、「危険物」の対象とならない。例えば、 無人航空機の飛行のために必要な燃料や電池、安全装置としてのパラシュートを開傘するために必要 な火薬類や高圧ガス、業務用機器(カメラ等)に用いられる電池が該当する。

 f. 物件の投下
無人航空機の操縦者は、当該無人航空機から物件を投下させることが原則禁止されている。 物件の投下には、水や農薬等の液体や霧状のものの散布も含まれる。無人航空機を使って物件を設 置する(置く)行為は、物件の投下には含まれない。

3) 規制対象となる飛行の空域及び方法の例外

a. 捜索、救助等のための特例
国や地方公共団体又はこれらから依頼を受けた者が、事故、災害等に際し、捜索、救助等の緊急性のある目的のために無人航空機を飛行させる場合には、特例として飛行の空域及び方法の規制が適用されない。災害時の対応であっても、国や地方公共団体にかかわらない独自の活動にあっては、特例の対象とはならず、国の飛行の許可・承認などの手続き等が必要となる。

b. 高度150メートル以上の空域の例外
地表又は水面から150メートル以上の高さの空域に関しては、航空機の空域と分離する観点から原則として飛行が禁止されているが、煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺は、航空機の飛行が想定されないことから、高度150メートル以上の空域であっても、当該構造物から30メートル以内の空域については、無人航空機の飛行禁止空域から除外されている。ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる。

航空法・航空法施行規則によって、航空機(有人航空機)の最低高度が定められています。地域によって異なりますが、最低150m以上の高度であることから、この最低高度と重複させないため、無人航空機の最高高度を150mに定めています。ただし、航空局に許可を得ることで、飛行させることは出来ます。(許可なしに飛行できません)
以下に航空法と航空法施行規則で定められている最低高度について定められている部分を抜粋しています。


航空法 第六章 航空機の運航
(最低安全高度)
第八十一条 航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
(捜索又は救助のための特例)
第八十一条の二 前三条の規定は、国土交通省令で定める航空機が航空機の事故、海難その他の事故に際し捜索又は救助のために行なう航行については、適用しない。
出典:航空法 | e-Gov法令検索

航空法施行規則 第六章 航空機の運航
(最低安全高度)
第百七十四条 法第八十一条の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする。
一 有視界飛行方式により飛行する航空機にあつては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの
イ 人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度
ロ 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあつては、地上又は水上の人又は物件から百五十メートル以上の距離を保つて飛行することのできる高度
ハ イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあつては、地表面又は水面から百五十メートル以上の高度
二 計器飛行方式により飛行する航空機にあつては、告示で定める高度
(捜索又は救助のための特例)
第百七十六条 法第八十一条の二の国土交通省令で定める航空機は、次のとおりとする。
一 国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関の使用する航空機であつて捜索又は救助を任務とするもの
二 前号に掲げる機関の依頼又は通報により捜索又は救助を行なう航空機
三 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成十九年法律第百三号)第五条第一項に規定する病院の使用する救急医療用ヘリコプター(同法第二条に規定する救急医療用ヘリコプターをいう。)であつて救助を業務とするもの
出典:航空法施行規則 | e-Gov法令検索


c. 十分な強度を有する紐等で係留した場合の例外
十分な強度を有する紐(ひも)等(30メートル以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて無人航空機を飛行させる場合は、人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、第三者から30メートル以内の飛行及び物件投下に係る手続き等が不要である。
自動車、航空機等の移動する物件に紐等を固定して又は人が紐等を持って移動しながら無人航空機を飛行させる行為(えい航)は、係留には該当しない。

2021年9月24日施行の改正航空法で、認められるようになった例外です。
十分な強度を有する紐等(30m以下)で係留し、第三者の立入管理等の措置を講じてドローン等を飛行させる場合は、「人口集中地区・夜間飛行・目視外飛行・第三者や物件から30m以内の飛行・物件投下」に該当する飛行の場合であっても許可・承認が必要なくなりました。係留し、第三者の立入管理をすることで、許可・承認なしでフライトできる規制緩和と言えるかもしれません。

4) その他の補足事項等
a. 第三者の定義
「第三者」とは、無人航空機の飛行に直接又は間接的に関与していない者をいう。
次に掲げる者は無人航空機の飛行に直接又は間接的に関与しており、「第三者」には該当しない。
(a)無人航空機の飛行に直接関与している者
直接関与している者とは、操縦者、現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者、補助者等無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員とする。
(b)無人航空機の飛行に間接的に関与している者
間接的に関与している者(以下「間接関与者」という。)とは、飛行目的について無人航空機を飛行させる者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者とする。
a. 無人航空機を飛行させる者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
b. 間接関与者が、無人航空機を飛行させる者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、無人航空機を飛行させる者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。
c. 間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。

b. 立入管理措置
特定飛行に関しては、無人航空機の飛行経路下において第三者の立入りを管理する措置(立入管理措置)を講ずるか否かにより、カテゴリーⅡ飛行とカテゴリーⅢ飛行に区分され、必要となる手続き等が異なる。
立入管理措置の内容は、第三者の立入りを制限する区画(立入管理区画)を設定し、当該区画の範囲を明示するために必要な標識の設置等としており、例えば、関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示、補助者による監視及び口頭警告などが該当する。

(3) 無人航空機の操縦者等の義務

1) 無人航空機の操縦者が遵守する必要がある運航ルール

a. アルコール又は薬物の影響下での飛行禁止
アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。
「アルコール」とはアルコール飲料やアルコールを含む食べ物を指し、「薬物」とは麻薬や覚せい剤等の規制薬物に限らず、医薬品も含まれる。
アルコールによる身体への影響は、個人の体質やその日の体調により異なるため、体内に保有するアルコールが微量であっても無人航空機の正常な飛行に影響を与えるおそれがあるため、体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず体内にアルコールを保有する状態では無人航空機の飛行を行ってはならない。

b. 飛行前の確認
無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整っていることを確認した後において飛行させること。
(a) 外部点検及び作動点検による無人航空機の状況の確認
各機器の取付状況(ネジ等の脱落やゆるみ等)、発動機・モーター等の異音の有無、機体(プロペラ、フレーム等)の損傷や歪みの有無、通信系統・推進系統・電源系統・自動制御系統等の作動状況などの確認が挙げられる。

飛行前の点検については、以下で詳しく説明しています。
無人航空機の「飛行日誌」の作成と記載方法(令和4年12月5日施行)
(b) 無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況の確認
飛行空域や周囲における航空機や他の無人航空機の飛行状況、飛行空域や周囲の地上又は水上の人(第三者の有無)又は物件(障害物等の有無)の状況、航空法その他の法令等の必要な手続き等の状況、緊急用務空域・飛行自粛要請空域の該当の有無、立入管理措置・安全確保措置等の準備状況などの確認が挙げられる。
(c) 飛行に必要な気象情報の確認
天候、風速、視程など当該無人航空機の飛行に適した天候にあるか否かを確認する。
(d) 燃料の搭載量又はバッテリーの残量の確認
(e) リモート ID 機能の作動状況(リモート ID 機能の搭載の例外となっている場合を除く。)

c. 航空機又は他の無人航空機との衝突防止
飛行前において、航行中の航空機を確認した場合には、飛行を行わないこと。また、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行うこと。
飛行中において、航行中の航空機を確認した場合には、地上に降下させるなど、接近又は衝突を回避するための適切な措置を取ること。また、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、当該無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させ、接近又は衝突のおそれがあると認められる場合には地上に降下させるなど適切な措置を取るとともに、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行うこと。

d. 他人に迷惑を及ぼす方法での飛行禁止
飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは、人に向かって無人航空機を急接近させることなどを指す。

e. 使用者の整備及び改造の義務
登録を受けた無人航空機の使用者は、整備及び必要に応じて改造をし、当該無人航空機が安全上の問題から登録を受けることができない無人航空機とならないように維持しなければならない。登録記号の機体への表示も維持しなければならない。

f. 事故等の場合の措置
ア) 事故の場合の措置
次に掲げる無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、直ちに当該無人航空機の飛行を中止するとともに、負傷者がいる場合にはその救護・通報、事故等の状況に応じた警察への通報、火災が発生している場合の消防への通報など、危険を防止するための必要な措置を講じなければならない。また、当該事故が発生した日時及び場所等の必要事項を国土交通大臣に報告しなければならない。
a. 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊
人の死傷に関しては重傷以上を対象とする。物件の損壊に関しては第三者の所有物を対象と
するが、その損傷の規模や損害額を問わず全ての損傷を対象とする。
b. 航空機との衝突又は接触
航空機又は無人航空機のいずれか又は両方に損傷が確認できるものを対象とする。

イ) 重大インシデントの報告
上記事故が発生するおそれがあると認める事態(重大インシデント)が発生した場合にあっても、国土交通省への報告が義務付けられている。重大インシデントの対象としては、飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めた事態、重傷に至らない無人航空機による人の負傷、無人航空機の制御が不能となった事態及び無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る。)が含まれる。

2) 特定飛行をする場合に遵守する必要がある運航ルール

a. 飛行計画の通報等
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、あらかじめ、次に掲げる事項等を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報しなければならない(あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合には事後の通報でも可)。具体的には、国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」に入力することにより通報する。
a. 無人航空機の登録記号及び種類並びに型式(型式認証を受けたものに限る。)
b. 無人航空機を飛行させる者の氏名並びに技能証明書番号(技能証明を受けた者に限る。)及び飛行の許可・承認の番号(許可・承認を受けた場合に限る。)
c. 飛行の目的、高度及び速度
d. 飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法
e. 出発地、目的地、目的地に到着するまでの所要時間
f. 立入管理措置の有無及びその内容
g. 損害賠償のための保険契約の有無及びその内容
無人航空機を飛行させる者は、通報した飛行計画に従って特定飛行をしなければならない。国土交通省は、当該飛行計画の通報を受けた場合に安全の確保のために必要と認めるときは、特定飛行の日時又は経路の変更など必要な措置を講ずるよう指示する場合があり、当該指示を受けた場合にはその指示に従わなければならない。ただし、安全を確保するためにやむを得ない場合はこの限りではない。なお、特定飛行に該当しない無人航空機の飛行を行う場合であっても、飛行計画を通報することが望ましい。

飛行計画の通報について詳しくは、下記にまとめています。
無人航空機の飛行計画の通報 ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)(令和4年12月5日施行)


b. 飛行日誌の携行及び記載
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行をする場合には、飛行日誌を携帯することが義務付けられる。飛行日誌は、紙又は電子データ(システム管理を含む。)の形態を問わないが、特定飛行を行う場合には、必要に応じ速やかに参照や提示できるようにする必要がある。
特定飛行を行う者は、無人航空機に関する情報(登録記号、種類、型式、製造者・製造番号等)に加え、次に掲げる事項等を遅滞なく飛行日誌に記載しなければならない。特定飛行に該当しない無人航空機の飛行を行う場合であっても、飛行日誌に記載することが望ましい。
a. 飛行記録
飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合及びその対応 等
b. 日常点検記録
日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果 等
c. 点検整備記録
点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由 等

飛行日誌については、以下で詳しく説明しています。

無人航空機の「飛行日誌」の作成と記載方法(令和4年12月5日施行)

3) 機体認証を受けた無人航空機を飛行させる者が遵守する必要がある運航ルール

a. 使用の条件の遵守
無人航空機の機体認証を行う場合は、無人航空機飛行規程に定めた無人航空機の安全性を確保するための限界事項等(最大離陸重量、飛行可能高度、飛行可能速度等)を「使用の条件」として指定し、使用条件等指定書として交付することとしている。機体認証を受けた無人航空機を飛行させる者は、当該使用の条件の範囲内で特定飛行しなければならない。
b. 必要な整備の義務
機体認証を受けた無人航空機の使用者は、必要な整備をすることにより、当該無人航空機を安全基準に適合するように維持しなければならない。具体的には、無人航空機の機体認証を行う場合に設定される無人航空機整備手順書(機体メーカーの取扱説明書等)に従って整備をすることが義務付けられる。

4) 罰則
航空法令の規定に違反した場合には、次の罰則の対象となる可能性がある(技能証明を有する者は、罰則に加えて、技能証明の取消し等の行政処分の対象にもなる可能性がある)。
法令違反の罰則が、以下のように定められています。違反の危険性などよって、罰則の重さが、変わります。自動車の交通違反のように、反則金制度などはありませんので、交通違反のように軽く考えるのは大変危険です。事故時の負傷者の救護や、飲酒での飛行など、直感的に違反行為とわかるものだけでなく、登録していない機体や、登録記号を表示していない機体、リモートIDを搭載しない機体での飛行など、多くの違反行為がありますので、しっかり、把握しておく必要があると思います。

違反行為 罰 則
事故が発生した場合に飛行を中止し負傷者を救護するなどの危険を防止するための措置を講じなかったとき2年以下の懲役又は
100万円以下の罰金
登録を受けていない無人航空機を飛行させたとき 1年以下の懲役又は
50万円以下の罰金
アルコール又は薬物の影響下で無人航空機を飛行させたとき 1年以下の懲役又は
30万円以下の罰金
登録記号の表示又はリモート ID の搭載をせずに飛行させたとき
規制対象となる飛行の区域又は方法に違反して飛行させたとき
飛行前の確認をせずに飛行させたとき
航空機又は他の無人航空機との衝突防止をしなかったとき
航空機又は他の無人航空機との衝突防止をしなかったとき
他人に迷惑を及ぼす飛行を行ったとき
機体認証で指定された使用の条件の範囲を超えて特定飛行をおこなったとき 等
50万円以下の罰金
飛行計画を通報せずに特定飛行を行ったとき
事故が発生した場合に報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき 等
30万円以下の罰金
技能証明を携帯せずに特定飛行を行ったとき
飛行日誌を備えずに特定飛行を行ったとき
飛行日誌に記載せず、又は虚偽の記載をしたとき
10万円以下の罰金

(4) 運航管理体制(安全確保措置・リスク管理等)

1) 安全確保措置等

カテゴリーⅡ飛行のうち、カテゴリーⅡB 飛行については、技能証明を受けた操縦者が機体認証を有する無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続きなく飛行可能である。この場合には、安全確保措置として次に掲げる事項等を記載した飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。
a. 無人航空機の定期的な点検及び整備に関する事項
b. 無人航空機を飛行させる者の技能の維持に関する事項
c. 当該無人航空機の飛行前の確認に関する事項
d. 無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項
e. 事故等が発生した場合における連絡体制の整備等に関する事項
カテゴリーⅡ飛行のうち、カテゴリーⅡA飛行については、技能証明を受けた操縦者が機体認証を有する無人航空機を飛行させる場合であっても、あらかじめ「運航管理の方法」について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受ける必要がある。

2) カテゴリーⅢ飛行を行う場合の運航管理体制

カテゴリーⅢ飛行を行う場合には、一等無人航空機操縦士資格を受けた操縦者が第一種機体認証を有する無人航空機を飛行させることが求められることに加え、あらかじめ「運航管理の方法」について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受ける必要がある。
具体的には、無人航空機を飛行させる者は、第三者上空飛行に当たり想定されるリスクの分析と評価を実施し、非常時の対処方針や緊急着陸場所の設定などの必要なリスク軽減策を講じることとし、これらのリスク評価結果に基づき作成された飛行マニュアルを含めて、運航の管理が適切に行われることを審査される。また、飛行の許可・承認の審査において、無人航空機を飛行させる者が適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認を行うこととしている。

3) カテゴリーⅢ飛行を行う場合のリスク管理〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行を行う場合に、その運航の管理が適切に行われることについては、運航形態に応じたリスク評価を行い、その結果に応じて必要な措置を講じることによって行う。当該リスク評価の手法についてはリスク評価に関するガイドラインが作成される予定である。

(5) 無人航空機操縦者技能証明制度

1) 制度概要

無人航空機操縦者技能証明(技能証明)制度は、無人航空機を飛行させるのに必要な技能(知識及び能力)を有することを国が証明する資格制度である。国が指定した民間試験機関(指定試験機関)による学科試験、実地試験及び身体検査により知識及び能力を判定し、これらの試験等に合格した場合には、国が技能証明を行う。
技能証明は、カテゴリーⅢ飛行に必要な技能に係る一等無人航空機操縦士カテゴリーⅡ飛行に必要な技能に係る二等無人航空機操縦士の2つの資格に区分され、それぞれの資格において、無人航空機の種類(6種類)及び飛行の方法(3種類)について限定をすることとしている。
パワードリフト機(Powered-lift)の飛行にあたっては、回転翼航空機(マルチローター)及び飛行機の両方の種類の限定に係る資格が必要となる

パワード・リフト機(Powered-lift)
:垂直離着陸を行い、水平飛行には固定翼を用いる航空機で、代表的な物でベル・ボーイングV-22オスプレイを想像するとわかりやすいです。V-22オスプレイはティルトローター(ローターを傾ける方式)ですが、それ以外にティルトウイング(ロータが翼に固定されており、ローターだけではなく、翼全体を傾ける方式)などがあります。それ以外のものとして、英国のハリアーのようなダイレクト・スラストなどがあります。

資格の区分  無人航空機の種類の限定飛行の方法の限定
1. 一等無人航空機
操縦士資格

2. 二等無人航空機
操縦士資格
1-1. 回転翼航空機(マルチローター)
(重量制限なし)
1-2 回転翼航空機(マルチローター)
(最大離陸重量 25kg 未満)
2-1. 回転翼航空機(ヘリコプター)
(重量制限なし)
2-2 回転翼航空機(ヘリコプター)
(最大離陸重量 25kg 未満)
3-1. 飛行機(重量制限なし)
3-2 飛行機(最大離陸重量 25kg 未満)
1. 日中飛行・目視内飛行
2. 夜間飛行
3. 目視外飛行

2) 技能証明の資格要件

次に掲げる項目のいずれかに該当する場合には、技能証明の申請をすることができない。
a. 16歳に満たない者
b. 航空法の規定に基づき技能証明を拒否された日から1年以内の者又は技能証明を保留されている者(航空法等に違反する行為をした場合や無人航空機の飛行に当たり非行又は重大な過失があった場合に係るものに限る。)
c. 航空法の規定に基づき技能証明を取り消された日から2年以内の者又は技能証明の効力を停止されている者(航空法等に違反する行為をした場合や無人航空機の飛行に当たり非行又は重大な過失があった場合に係るものに限る。)
次に掲げる項目のいずれかに該当する場合には、技能証明試験に合格した者であっても技能証明を拒否又は保留することができる。
a. てんかんや認知症等の無人航空機の飛行に支障を及ぼすおそれがある病気にかかっている者
b. アルコールや大麻、覚せい剤等の中毒者
c. 航空法等に違反する行為をした者
d. 無人航空機の飛行に当たり非行又は重大な過失があった者

3) 技能証明の交付手続き

技能証明を受けようとする者は、「指定試験機関」が実施する学科試験、実地試験及び身体検査に合格したうえで、国土交通大臣に技能証明書の交付の申請手続きを行う必要がある。この場合において、学科試験に合格しなければ、実地試験を受けることができない。
無人航空機の民間講習機関のうち国の登録を受けた「登録講習機関」の無人航空機講習(学科講習・実地講習)を修了した者にあっては、技能証明試験のうち実地試験を免除することができる。
技能証明試験に関して不正の行為が認められた場合には、当該不正行為と関係のある者について、その試験を停止し、又はその合格を無効にすることができる。この場合において、当該者に対し一定期間試験を拒否することができる。
これらの手続きについては、技能証明の新規交付に係る場合のほか、技能証明を有する者がその限定を変更しようとする場合も同様である。
また、技能証明の有効期間は3年であり、その更新を申請する者は、「登録更新講習機関」が実施する無人航空機更新講習を有効期間の更新の申請をする日以前3月以内に修了したうえで、有効期間が満了する日以前6月以内に国土交通大臣に対し技能証明の更新を申請しなければならない。

4) 技能証明を受けた者の義務

技能証明を受けた者は、その限定をされた種類の無人航空機又は飛行の方法でなければ特定飛行を行ってはならない(飛行の許可・承認を受けて特定飛行を行う場合を除く。)。
技能証明を行うにあたって、国土交通大臣は技能証明に係る身体状態に応じ、無人航空機を飛行させる際の必要な条件(眼鏡・コンタクトレンズや補聴器の着用等)を付すことができることとしており、当該条件が付された技能証明を受けた者は、その条件の範囲内でなければ特定飛行を行ってはならない(飛行の許可・承認を受けて特定飛行を行う場合を除く。)。
技能証明を受けた者は、特定飛行を行う場合には、技能証明書を携帯しなければならない。

5) 技能証明の取消し等

技能証明を受けた者が次に掲げる項目のいずれかに該当する場合には、技能証明の取消し又は1年以内の技能証明の効力の停止を受けることがある。
a. てんかんや認知症等の無人航空機の飛行に支障を及ぼすおそれがある病気にかかっている又は身体の障害であることが判明したとき
b. アルコールや大麻、覚せい剤等の中毒者であることが判明したとき
c. 航空法等に違反する行為をしたとき
d. 無人航空機の飛行に当たり非行又は重大な過失があったとき

2. 無人航空機操縦者の心得
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自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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