無人航空機の「飛行日誌」の作成と記載方法 書式のダウンロード(令和4年12月5日施行)
2022年12月9日
2024年10月10日
ドローンの飛行日誌(飛行記録、日常点検記録、点検整備記録)の作成について
航空法・施行規則で定められている事
令和4年(2022年)12月5日から施行された改正航空法で明文化されました。この制度は、無人航空機を特定飛行させる者が、飛行・整備・改造などの情報を遅滞なく飛行日誌に記載しなければならない制度です。
特定飛行を行う際に飛行日誌を備えない、飛行日誌に記載すべき事項を記載しない又は虚偽の記載を行った場合、航空法第157条の11に従い、10万円以下の罰金が科せられます。
飛行日誌は、下記、三種類の記録を指します。
- 飛行記録
- 日常点検記録
- 点検整備記録
「飛行日誌」とは具体的にどのような物なのでしょうか?
飛行日誌(飛行記録、日常点検記録、点検整備記録)のフォーマット
国交省航空局から出されている飛行日誌の取扱要領に、具体的に飛行日誌の書式が例として示されています。(様式1)飛行記録、(様式2)日常点検記録、(様式3)点検整備記録で、エクセルのファイルで管理したいという要望を頂きましたので、それぞれのフォーマットのエクセルファイルを作りました。グーグルドライブにアップしましたので、もしよろしければダウンロードしてお使いください。沢山の方に配る場合は当サイトを紹介いただけると嬉しいです。
ダウンロードの際、共有のリクエストをいただくことがありますが、共有の承認をしてしまいますと情報セキュリティ上問題があるため、ファイルのタブからダウンロードを選択してローカルデバイスにダウンロードしてご使用ください。(グーグルスプレッドシートでご利用になる場合はご自身のアカウントでアップロードしなおしてご使用ください)
(様式1)飛行記録のエクセルファイル(xlsx) ダウンロード
(様式2)日常点検記録のエクセルファイル(xlsx) ダウンロード
(様式3)点検整備記録のエクセルファイル(xlsx) ダウンロード
上の画像を右クリックでダウンロードして活用ください。
飛行記録の記載内容だけでなく記載方法まで細かく定められています。これらに沿って記載していく必要があります。
- 飛行記録は1飛行毎に記載する。
- 飛行記録における1飛行とは、無人航空機の電源を作動させた後に出発地から離陸させ、目的地に着陸後、電源を停止させたときまで。
例えば、目的地に着陸後、荷物等の積み卸しやバッテリーの交換等のために電源を停止させた場合は1飛行。電源を作動させた状態で更に別の地点に出発する場合や継続的に離着陸を行う場合等は最終目的地に着陸し電源を停止させたときまでが1飛行となり、途中、別の地点で継続的な離着陸を含む着陸を行った場合は、この地点を経由地として記載する。
通報した飛行計画との整合性(厳密な所要時間の一致等)は必ずしも取る必要はなく、あくまで実際の飛行実績を記録する。ただし、通報した1つの飛行計画の中で複数回の飛行を行った場合は、1飛行毎に飛行記録を記載する。
無人航空機の概要として飛行記録の冒頭にまとめて記載できるもの(飛行記録の各ページに記載する必要はない。)
- 無人航空機の登録記号(試験飛行機等で登録記号を受けていない場合は当該試験飛行に係る届出番号。)、種類及び型式(型式認証を受けた型式の無人航空機の場合)
- 無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機の場合)
- 機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機の場合)
- 無人航空機の設計製造者及び製造番号
飛行年月日
飛行を行った年月日を西暦で記入する。
飛行させた者の氏名
操縦者の氏名を記入する。無人航空機操縦者技能証明を受けている者にあっては、氏名に加えて技能証明書番号も記入する。
飛行概要
飛行目的、経由地等の経路の情報等、飛行の概要を記入する。飛行目的については、次の例にならって記入する。
例:空撮、報道取材、警備、農林水産業、測量、環境調査、設備メンテナンス、インフラ点検・保守、資材管理、輸送・宅配、自然観測、事故・災害、趣味、研究開発、その他
特定飛行を行った場合は、対象となる飛行の形態を次の例にならってあわせて記入する。
例:空港等周辺、地表又は水面から150m 以上、人口集中地区(DID)上空、夜間、目視外、人又は物件から30m 未満、催し場所上空、危険物輸送、物件投下の飛行
離陸場所・着陸場所
離陸・着陸した場所として、離陸地点の緯度/経度(世界測地系)又は正確な位置が把握可能な地名・固有名称等の情報を次の例にならって記入する。
例:地名の場合は都道府県名+市区郡名+町村名(必要に応じ丁目・番地等のより詳細な情報)を、固有名称の場合は○○運動場、○○公園、○○工場等の情報
離陸時刻・着陸時刻
時刻を日本標準時(JST)の24 時間制(00:00~23:59)の1分単位で記入する。
経由地の着陸時刻の記入は必須ではない。
飛行時間
離陸から着陸までに要した時間を1 分単位で記入する。
総飛行時間
積算飛行時間を1分単位で記入する。
飛行の安全に影響のあった事項
飛行の安全に影響を及ぼした場合又は及ぼすおそれのあった場合は、その内容に加えて当該事象に係る飛行前後の機体の状況についても記入する。
記 事
無人航空機の飛行に係る不具合事項が発生した場合、その内容及びこれに対する処置の内容を記入する。
- 発生年月日:不具合事項が発生した年月日を西暦で記入。
- 不具合事項:不具合事項の内容(概要)
- 処置年月日:不具合事項に対し処置を行った年月日を西暦。
- 処置その他:不具合事項に対し行った処置の内容(概要)。
- 確 認 者:不具合事項に対する処置の内容の確認を行った者が記名。
画像ファイルです。直にプリントして手書き記入の場合
上の画像を右クリックでダウンロードして活用ください。
日常点検記録の記載要領について
日常点検記録は記載内容だけでなく記載方法まで細かく定められています。これらに沿って記載していく必要があります。
- 操縦者が無人航空機を飛行させる都度記載することとする。
- 日常点検の項目は様式2に記載するものとするが、無人航空機の設計製造者が日常点検項目を指定している場合はこれに従うものとする。また、設計製造者が指定する日常点検様式がある場合は、様式2に代えてこれを日常点検記録とすることができる。
- 紙媒体で日常点検記録を作成・管理する場合、操縦者は無人航空機を飛行させるにあたり、直近の点検整備以降の日常点検記録を携行し、当該期間外の記録については、使用者の責任において、必要に応じ参照又は提示が可能な状態で適切に保管するものとする。
日常点検記録には、次の事項を記載しなければならない。
なお、飛行記録と同様に、機体の定められた事項は無人航空機の概要として日常点検記録の冒頭にまとめて記載できるものとし、日常点検記録の各ページに記載する必要はない。
無人航空機の登録記号
法第 131 条の6第3項の規定に基づき、国土交通大臣により通知された無人航空機の登録記号を記入する。
点検結果
日常点検表の各項目を実施し、それぞれの結果欄に「正常」又は「異常」等の文言で記入する。
備 考
日常点検に関しての補足事項を記入する。
特記事項
日常点検において発見した不具合事項等を記入する。また、飛行後点検を行った場合は、「飛行後点検:異常なし」等の結果も記入することとし、不具合等が認められた場合は、不具合箇所、事象等の内容も記入する。なお、日常点検で発見した不具合等及び是正に係る整備処置等の実施記録ついては、点検整備記録に適切に記入しなければならない。
実施場所
日常点検を行った場所を記入する。
実施年月日
日常点検を実施した年月日を西暦で記入する。
実施者
日常点検を実施した者が記名する。
画像ファイルです。直にプリントして手書き記入の場合
上の画像を右クリックでダウンロードして活用ください。
パソコンで記入する場合は(様式3)点検整備記録のエクセル(xlsx)ファイル ダウンロード
点検整備記録の記載要領について
点検整備記録は記載内容だけでなく記載方法まで細かく定められています。これらに沿って記載していく必要があります。
- 使用者及び当該使用者の点検整備等に係る業務を受託する無人航空機の設計製造者等が、定期的な点検整備又は改造を行った都度記載するものとする。使用者は設計製造者等が指示する点検整備等の内容以外に、無人航空機の故障等の不具合に起因する故障探求、是正処置等に関する整備作業の実施状況についても記載しなければならない。
- 紙媒体又は電磁的記録での作成・管理に関わらず、操縦者は無人航空機を飛行させるにあたり、全ての点検整備記録を他の記録とともに携行する。
- 無人航空機の設計製造者等により点検整備等が行われ、専用の様式に点検整備の記録が記載された場合、様式3に代えてこれを点検整備記録とすることができる。
点検整備記録
無人航空機の点検整備等を実施した者により記入するものとする。なお、前回の点検整備等との区別を容易にするため、上下各1行を空けて記載し、空行には「〆」を記載すること。
点検整備記録には、次の事項を記載しなければならない。なお、飛行記録、日常点検記録と同様に機体の定められた各事項は無人航空機の概要として点検整備記録の冒頭にまとめて記載できるものとし、点検整備記録の各ページに記載する必要はない。
無人航空機の登録記号
法第 131 条の6第3項の規定に基づき、国土交通大臣により通知された無人航空機の登録記号を記入する。
実施年月日
作業を開始した年月日を西暦で記入する。
最近の機体認証後の総飛行時間
前回の機体認証に係る検査を受検するにあたり実施した点検整備以降の総飛行時間を記入する。機体認証を受けていない無人航空機は、点検整備作業を実施した時点での総飛行時間を記入する。
点検、修理、改造及び整備の内容
- 装備品等の交換記録(交換された部品名、部位等)
- 定期点検の実施記録
- 空撮用カメラ、薬剤散布装置等の取付け・取卸し記録
- その他点検整備等の記録
実施理由
点検整備等を行った理由を記入する。
実施場所
点検整備等を行った場所を記入する。
実施者
点検整備等を実施した者が記名する。
その他特記事項
次回予定している直近の点検整備等の実施期限に関しての補足事項を記入する。
無人航空機の飛行日誌の取扱要領 国土交通省航空局安全部 [pdf]
航空安全:飛行計画の通報・飛行日誌の作成 - 国土交通省
航空局からは「特定飛行以外の飛行を行う場合においても、飛行日誌の記載を行っていただくことを推奨します。」とのことですので、特定飛行を行う場合は義務ですが、それ以外の飛行を行った場合でも記載を行っておくと、機体の総飛行時間などを把握するためのも記録しておくと定められた飛行時間後の整備などの際、後々役立つと思います。
飛行日誌の記載が義務付け対象外の場合
飛行日誌の記載が義務付けられない場合(法第132 条の87 に規定する特定飛行を行わない場合)で言うところの「特定飛行」とはどのような飛行なのでしょうか。航空法では下記のように定義されています。
航空法(第三者が立ち入つた場合の措置)
航空法(第三者が立ち入つた場合の措置)
第百三十二条の八十七 無人航空機を飛行させる者は、第百三十二条の八十五第一項各号に掲げる空域における飛行又は前条第二項各号に掲げる方法のいずれかによらない飛行(以下「特定飛行」という。)を行う場合(立入管理措置を講ずることなく飛行を行う場合を除く。)において、当該特定飛行中の無人航空機の下に人の立入り又はそのおそれのあることを確認したときは、直ちに当該無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならない。
航空法(飛行の方法)
第百三十二条の八十六 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。
一 アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。
二 国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。
三 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。
四 飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。
2 無人航空機を飛行させる者は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)を除き、次に掲げる方法により、これを飛行させなければならない。
一 日出から日没までの間において飛行させること。
二 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
四 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
五 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
六 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
3 前項に規定する場合において、同項各号に掲げる方法のいずれか(立入管理措置を講じた上で無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる場合にあつては、同項第四号から第六号までに掲げる方法のいずれか)によらずに無人航空機を飛行させる者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その運航の管理が適切に行われることについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させなければならない。
4 第二項に規定する場合において、立入管理措置を講じた上で同項第一号から第三号までに掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置を講じなければならない。
5 前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。
一 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合
二 前号に掲げるもののほか、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、第二項各号に掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させる場合
要 約
要約すると、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合と、それ以外のものが、無人航空機を国土交通大臣の承認を受けて、飛行させる場合には、飛行日誌を記載する義務があるという事になると思います。現在、一般的に空撮ドローンを、包括許可承認で飛行させている場合は、この「特定飛行」を行っている事になりますので、注意が必要です。ただし、包括許可承認が必要ないとされている飛行(例えば、人口密集地でない場所で人、物件などと30m以上の距離がとれる飛行など)では、飛行日誌の記載義務が発生ないことになります。ただし、航空局では、安全な運航管理の観点から、記載を推奨(あくまで義務ではない)しています。後になって何時、どこで飛ばしたかは貴重な情報なので記載してく方がよいと思います。飛行日誌の記載義務に関しての法的根拠
飛行日誌をなぜ記載しなければならないのか、記載しない場合どうなってしますのかは、以下のように航空法に定められています。
航空法(飛行日誌)
第百三十二条の八十九 無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、飛行日誌を備えなければならない。
2 特定飛行を行う者は、無人航空機を航空の用に供し、又は整備し、若しくは改造した場合には、遅滞なく飛行日誌に国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
航空法施行規則(飛行日誌)
第二百三十六条の八十四 法第百三十二条の八十九第一項の規定により無人航空機を飛行させる者が備えなければならない飛行日誌は、飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録とする。
2 法第百三十二条の八十九第二項の規定により飛行日誌に記載すべき事項は、次のとおりとする。
一 飛行記録
イ 無人航空機の登録記号、種類及び型式
ロ 無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る。)
ハ 機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る。)
ニ 無人航空機の製造者及び製造番号
ホ 無人航空機の飛行に関する次の記録
(1) 飛行年月日
(2) 飛行させた者の氏名及び無人航空機操縦者技能証明書番号
(3) 飛行の目的及び経路
(4) 飛行させた飛行禁止空域及び飛行の方法
(5) 離陸場所及び離陸時刻
(6) 着陸場所及び着陸時刻
(7) 飛行時間
(8) 製造後の総飛行時間
(9) 飛行の安全に影響のあつた事項の有無及びその内容
ヘ 不具合及びその対応に関する次の記録
(1) 不具合の発生年月日及びその内容
(2) 対応を行つた年月日及びその内容並びに確認を行つた者の氏名
二 日常点検記録
イ 前号イからニまでに掲げる事項
ロ 日常点検に関する次の記録
(1) 実施の年月日及び場所
(2) 実施者の氏名
(3) 点検項目ごとの日常点検の結果
(4) その他特記事項
三 点検整備記録
イ 第一号イからニまでに掲げる事項
ロ 点検、修理、改造又は整備に関する次の記録
(1) 実施の年月日及び場所
(2) 実施者の氏名
(3) 点検、修理、改造及び整備の内容
(部品を交換した場合にあつては、当該交換部品名を含む。)
(部品を交換した場合にあつては、当該交換部品名を含む。)
(4) 実施の理由
(5) 最近の機体認証後の総飛行時間
(6) その他特記事項
ー記事をシェアするー