無人航空機(ドローン)に搭載するリモートID機器
ドローン(無人航空機)のリモートID機器について
令和4年(2022年)6月20日の航空法改正により、無人航空機の登録制度がスタートし、フライト中はリモートID機器によるリモート ID 信号の送出が航空法により義務化されました。これは、飛行する無人航空機の登録記号を識別(すなわち機体所有者を識別)するのが目的で、機体に表示された登録記号では、目視確認が難しいので、情報を電波に乗せて送出することによって、その信号を受信することによって識別するという仕組みです。
この、リモートID機器はこの登録制度が、施行される以前の大半の機体には、標準的に搭載されていません。すなわち、リモート ID 信号を送出する機器を別途搭載する必要があるという事になります。ただ、この制度が、施行されるまでの期間が短期間だったこともあり、機器の開発が、制度導入ギリギリになってしまったようです。このように、制度開始当初の混乱を避ける意味合いもあり、2022年6月20日以前に登録された機体はこの「リモートID機器」搭載が、免除されています。
注意が必要なのは「2022年6月20日以前に登録された機体」のみが、猶予の対象ですので、現在、登録されていない「リモート ID 信号を送出機能を持っていない機体」は必ず、登録とリモートID機器の搭載が、必要になります。
この「リモート ID 信号を送出するリモートID機器」とはどのような物か、調べてみました。
適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧
掲載日 | 製造者名 | 型式名 | 備考 |
2024/5/26 | Skydio Inc. | Skydio X10 | |
2024/5/10 | ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社 | ソニーグループ式ARS-S1型 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2024/3/22 | DJI | DJI Avata 2 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2024/3/8 | DJI | Matrice 3TD | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2024/3/8 | DJI | Matrice 3D | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2024/3/6 | 株式会社NTT e-Drone Technology | EC101 connect-YS | |
2024/2/10 | ヤマハ発動機株式会社 | CONT.BOX ASSY(L97-8721A-0) | |
2023/12/12 | DJI | DJI FlyCart 30 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/12/2 | Holy Stone Toys | HS175D-RID | |
2023/12/2 | Holy Stone Toys | HS175-RID | |
2023/11/23 | DJI/(株)クボタ | T25K | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/10/20 | 株式会社ナイルワークス | Nile-JZ | |
2023/10/20 | ソラロボ株式会社 | SR-R01 | 外付け型 |
2023/10/14 | 株式会社NTT e-Drone Technology | AC101 connect | |
2023/9/11 | DJI | DJI Mini 4 Pro | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/8/18 | Holy Stone Toys | HS720E-RID | |
2023/8/18 | Holy Stone Toys | HS700E-RID | |
2023/7/26 | Autel Robotics | EVO MAX | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/7/20 | DJI | DJI Air 3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/6/14 | DJI | Agras T50 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/6/14 | DJI | Agras T25 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/5/23 | DJI | Matrice 350 RTK | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/5/16 | Xiamen Huoshiquan Import & Export CO., LTD | HSRID01 | 外付け型 |
2023/5/11 | DJI | DJI Mavic 3 Classic | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/5/10 | 双葉電子工業株式会社 | FRID-1 | 外付け型 |
2023/4/28 | DJI JAPAN株式会社 | DJI Mavic 3 Pro Cine | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/4/28 | DJI JAPAN株式会社 | DJI Mavic 3 Pro | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/4/14 | DJI JAPAN株式会社 | DJI Inspire 3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/4/11 | DJI JAPAN株式会社 | DJI Mini 2 SE | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/2/21 | 株式会社Braveridge | BVRPT | 外付け型、専用アプリケーション同梱 |
2023/1/12 | Autel Robotics | EVO 2 Pro V3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/1/12 | Autel Robotics | EVO 2 Dual 640T V3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/1/12 | Autel Robotics | EVO 2 Dual 640T RTK V3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/1/12 | Autel Robotics | EVO 2 Pro RTK V3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/1/12 | Autel Robotics | EVO 2 Dual 640T Enterprise V3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2023/1/12 | Autel Robotics | EVO 2 Pro Enterprise V3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/12/12 | DJI JAPAN株式会社 | DJI Mini 3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/11/29 | DJI JAPAN株式会社 | Mavic 3 Multispectral | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/11/7 | TEAD株式会社 | TD-RID-M | |
2022/11/7 | DJI JAPAN株式会社 | Mavic 3 Classic | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/10/4 | エアロエントリー株式会社 | AERO-D-X | 外付け型 |
2022/9/28 | DJI JAPAN株式会社 | Mavic 3 Therma | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/28 | DJI JAPAN株式会社 | Mavic 3 Enterprise | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/26 | Autel Robotics | EVO nano | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/26 | Autel Robotics | EVO nano+ | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/13 | DJI JAPAN株式会社 | DJI FPV | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/13 | Autel Robotics | Autel Robotics EVO Lite | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/13 | Autel Robotics | EVO Lite+ | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/9/2 | 本郷飛行機株式会社 | harid-1 | 外付け型 |
2022/7/11 | 株式会社Braveridge | BVRPN | 外付け型、専用アプリケーション同梱 |
2022/7/11 | 株式会社Braveridge | BVRPA | 外付け型、専用アプリケーション同梱 |
2022/7/6 | DJI JAPAN株式会社 | MAVIC AIR 2 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/23 | 株式会社クボタ | T30K | 内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/23 | 株式会社クボタ | T10K | 専用アプリケーション同梱 |
2022/6/22 | 株式会社 ACSL | RIDM1.0-C | 外付け型 |
2022/6/22 | 株式会社 ACSL | RIDM1.0 | 外付け型 |
2022/6/21 | DJI JAPAN株式会社 | AGRAS T30 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/21 | DJI JAPAN株式会社 | AGRAS T10 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/20 | DJI JAPAN株式会社 | MATRICE 30T | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/20 | DJI JAPAN株式会社 | MATRICE 30 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/20 | DJI JAPAN株式会社 | MATRICE 300 RTK | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/20 | DJI JAPAN株式会社 | DJI AIR 2S | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/20 | DJI JAPAN株式会社 | DJI MINI 2 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/20 | DJI JAPAN株式会社 | DJI Mini 3 Pro | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/17 | ヤマハ発動機株式会社 | TRANSMITTING UNIT(L31-8A2F0-0) | 外付け型 |
2022/6/14 | Skydio 合同会社 | Skydio X2 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/14 | Skydio 合同会社 | Skydio 2+ | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/14 | Skydio 合同会社 | Skydio 2 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/7 | DJI JAPAN株式会社 | DJI MAVIC 3 CINE | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/7 | DJI JAPAN株式会社 | DJI MAVIC 3 | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
2022/6/2 | 株式会社 ACSL | S0TEN | 機体へ内蔵 |
2022/6/1 | イームズロボティクス株式会社 | RID-UAV 100EJ | 外付け型 |
2022/6/1 | TEAD株式会社 | TD-RID | 外付け型 |
2022/6/1 | ソニーグループ株式会社 | Airpeak S1 (ARS-S1) | 機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱 |
現在、入手可能な外付けリモートID機器
全てではないと思いますが、代表的な製品です。後から、機体へ取り付ける関係上、機器の大きさと、重量が重要になると思います。価格は流通価格で2万円~7万円くらいと幅があります。新規登録の旧機体などはこれらの機器を搭載するコストも含めて、検討する必要があります。
イームズロボティクス株式会社/リモートID
https://eams-robo.co.jp/remoteid.html
「EAMS REMOTE ID」スペック
外形寸法 | 60mm×30mm×22mm(W-H-D) |
本体重量 | 約33g |
表 示 | LED×2 2色 1灯(赤/緑 および中間色) |
スイッチ | プッシュスイッチ ×1 |
コネクタ | USB TYPE C |
動作温度 | -10~60℃ |
動作湿度 | 85%以下(結露無きこと) |
防塵防水性能 | IP54 相当 |
耐震・耐衝撃性能 | 1mの高さからの落下で発煙・発火はしないこと(PSE準拠) |
電 源 | 電池 DC3.7V 内臓LIPO 電池 570mAh |
充電時間 | 1時間 |
稼働時間 | 8時間以上 |
充電回数 | 300回以上 |
充電方式 | DC5V USB充電 |
無線方式 | BLUETOOTH5.0 LE CLASS1.5 |
アンテナ | 外出し リード型モノポールアンテナ |
長 さ | 約120mm |
センサ | GNSS、気圧センサ内臓 |
認証等 | 電波法 工事設計認証 BLUETOOTH SIG 認証 ROHS 指令 |
周波数帯域 | 2420~2483.5MHz |
送信電力 | +10dBm以下 |
対応プロファイル | GATT (GENERIC ATTRIBUTE PROFILE) GAP (GENERIC ACCESS PROFILE) |
リモートID (外付け型 発信機) 製品情報│TEAD CO.,LTD
https://www.tead.co.jp/product/remote-id/
サイズ・材質 | 40×30×14mm(ポリカーボネート) |
重 量 | 12g |
電 源/モードスイッチ | 電源ON/OFFを切り替え リモートID書き込み、発信モードを切り替え |
動作ランプ | 電源、機器状態、モードを点灯、点滅パターンで表示 |
充電ランプ | 充電状態を表示 |
無線方式 | Bluetooth 5.1 Low Energy (GPSモジュール内蔵) |
周 波 数 | 2402~2480MHz |
送信電力 | 5dBm |
動作時間 | 約6時間 |
電 池 | LiPo充電池 (充電時間 約2時間、micro USB充電) |
防塵・防水 | IP54相当 |
仕様環境条件 | -10~-50℃ 湿度90%以下 |
飛 距 離 | 300m以上(地上見通し) |
規格適合 | 日本電波法、 SIG認証 |
PRODUCT 製品情報 - AEROENTRY
https://aeroentry.co.jp/info/product/228/
「AERO-D-X1」スペック
サイズ | 36.4mm × 32mm × 14mm |
重 量 | 11.5g |
通信距離 | 300m以上(屋外開放状態) |
接続方法 | Long Range Wireless |
周 波 数 | 2,402 – 2,480 Mhz |
送信電力 | 8 dBm |
測 位 | GPS、BDS、GLONASS |
測位精度 | 半径 30m |
バッテリー | 充電式リチウムバッテリー 200mAh |
充電時間 | 30分以内 |
動作時間 | 6時間以上 |
動作環境 | 動作温度 -10℃ ~ 50℃ 保管温度 -20℃ ~ 70℃ 動作湿度 10% ~ 90%(結露しないこと) |
防水・防塵 | IP54 |
認 証 | TELEC |
リモートID|製品情報|株式会社Braveridge
https://www.braveridge.com/product/archives/49
「BVRPA」スペック
外形寸法 | 40 x 40 mm(ネジ止め寸法:20 x 20 mm) |
本体重量 | 8.5 g |
表 示 | フルカラーLED×2 |
スイッチ | 1個 |
電源コネクタ | GHコネクタ2極(JST SM02B-GHS-TB) (対応コネクタ:GHR-02V-S) |
電 源 | ドローン本体より供給(3.6~9V、6~55Vの2系統) |
無 線 | Bluetooth® 5.0 LongRange(BVMCN52840CFSLR) |
センサー | GNSS(BVMGPS5605S) |
認 証 | 日本電波法、Bluetooth® SIG認証 |
これらのリモートID機器は購入後に登録記号などのリモートID情報を書き込んでから利用します。書き込みには、「DIPS APP」 と呼ばれる国土交通省が出しているスマホアプリやリモートID機器メーカーが出しているスマホアプリを使用して書き込みます。リモートID情報と登録している個人情報を紐づけする為、DIPSへのログインが必要になります。インターネット接続されたスマホをBluetoothを経由してリモートID機器と接続して書き込みを行う流れです。リモートID情報を厳格に管理する為、これらのリモートID機器に関するルールが決められています。
ファームウェアアップデートにより内蔵リモートID機能に対応させる。
近年、発売された機体には、リモートIDに対応可能な、BluetoothやWi-Fiのモジュールをすでに搭載している機体もあります。これらの中には、ファームウェア(ハードウェアを制御するために内蔵されたソフトウェア)の更新によって、リモートIDの機能を得ることができる機体が存在します。
一般向けドローン | DJI Mini 3 Pro、 DJI Mavic 3 シリーズ、DJI Air2S、 Mavic Air 2、 DJI Mini 2、 DJI FPV |
業務用ドローン | Matrice 30シリーズ Matrice 300 RTK |
農業用ドローン | AGRAS T30、 AGRAS T10 |
リモートID対応機種に対するリモートID書込み方法 – DJIオフィシャルWEBサイト
となっており、かなりの数の機体が外付型リモートIDで対応が必要になると考えられます。上記以外の機種は、リモートID機能の対応を予定していません。従いまして、使用にあたっては、ユーザー様において以下の対応により、航空法を遵守していただく必要があります。要件に適合する外付型リモートID機器を購入し、ドローンに搭載して使用する。詳細は国土交通省HP等をご確認下さい。なお、純正品でない外付型リモートID機器の動作保証は弊社ではしておりません。
国交省からの情報
国土交通省より公開されている無人航空機の登録制度とリモートID機器に関する情報が下記です。これらの中で、リモートID機器の詳細な仕様などが示されています。ドローン(無人航空機)のリモートIDについて
航空安全:無人航空機の登録制度 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
リモート ID (RID) 機器等の性能要件 国土交通省
無人航空機リモートID機器等及びアプリケーションが備えるべき要件[PDF]
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001444589.pdf
無人航空機リモートID機器のシステム概要
リモートID機器は法律により定められた規則に基づき、1秒に1回の間隔で機体周辺に対して無線を使用して情報を発信します。その情報は専用受信機と専用スマホアプリなどを使用して取得・表示することができます。Bluetooth 5.x LE Long Range |
Wi-Fi Aware (Neighbor Awareness Networking) |
Wi-Fi Beacon |
日本のリモートIDでは、標準的な規格のBluetooth5.xのほか
Wi-Fi Awareは、DJIのドローンが採用しています。Wi-Fi Beaconは、Parrotが採用していますが、日本のリモートIDには、未対応です。これら、3つの規格は、主に専用受信機で受信可能です。
送信される情報は定められており、最低限以下の情報を、1 秒に 1 回以上、飛行している間、自動的に発信し続けるようにしなければならない。また、位置、時刻等の動的情報については、情報を取得してから 1秒以内を目安に発信しなければならない。と定められています。
- 登録記号
- 製造者の定める製造番号
- 無人航空機の位置・速度情報及び時刻情報
- 認証情報
利用されている通信方式の規格について
Bluetooth 5.x LE Long Range
1996年、インテル、エリクソン、ノキアの3つの業界リーダーが集まり、さまざまなデバイス間の接続とコラボレーションをサポートするために、短距離無線技術の標準化を計画したのがきっかけになり、Bluetooth Special Interest Group (SIG)という規格の標準化団体がアメリカに作られました。パソコンとマウスやキーボード、スマホとヘッドホンなど様々なデバイス間を短距離で結ぶ無線を中心に規格化されています。規格化された技術を利用したデバイスを製品化するためには、SIG認証と呼ばれる認証を受ける必要があります。無線LANなどの規格で馴染み深い、米国電気電子学会(IEEE)の標準化の規格にも、2002年3月に後発ながら、先に製品化して普及が進んでいたBluetooth1.1の仕様を流用する形でIEEE 802.15.1として正式に採択されています。Bluetooth規格も歴史を重ねるごとに進化して行き、Bluetoothバージョンが上がるごとにデータの転送速度や省電力化機能が向上してきました。バージョンが違っても通信自体は可能ですが、4.0のデバイスと3.0のデバイスを接続した場合には、3.0(低いバージョン)の機能に合わせて接続されます。
Wi-Fi Aware (Neighbor Awareness Networking)
Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Aware™は、従来のWi-Fi ネットワーク インフラストラクチャやインターネット接続、GPS信号を必要とせずに他のWi-Fi デバイスの迅速な発見と接続、データ交換を実現します。また、Wi-Fi Aware™はユーザーの現在地と設定に基づいて、あらゆる場所でネットワークに依存しないピア・ツー・ピア(P2P)のWi-Fi接続を提供します。Wi-Fi Beacon
SSIDスタッフィング[SSID stuffing]とも呼ばれる技術を使用するものです。定められた飛行情報をSSIDブロードキャストに追加して送信します。対応する受信機は、接続することなくSSIDをスキャンすることで、この情報を受信することができるようになります。Wi-Fi Alliance
参考:
Wi-Fi Aware | Wi-Fi Alliance
無人航空機リモートID機器等及びアプリケーションが備えるべき要件
無人航空機リモートID機器等及びアプリケーションが備えるべき要件
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001444589.pdf
以下資料の本文を黒色に、独自に追記した補足説明や注釈を別色で記載しています。(1) リモート ID 信号(以下「RID 信号」という。)は、Bluetooth 5.x Bluetooth LE Long Range(以下「Bluetooth 5.x」という。)、Wi-Fi Neighbor Awareness Networking(以下「Wi-Fi Aware」という。)又はWi-Fi Beacon による直接放送方式(RID 機器等から発信された RID 信号を受信機能を有する端末が直接受信する通信方式)により発信されるものでなければならない。
(2) RID 信号は、「3.RID 信号のデータ形式」に従って少なくとも以下の情報を含むものでなければならない。
② 製造者の定める製造番号
③ 無人航空機の位置・速度情報及び時刻情報
④ 認証情報
EIRP(Equivalent Isotropic Radiated Power」「Effective Isotropic Radiated Power)は
実効等方輻射電力とも言われています。 等方性アンテナ[アイソトロピック・アンテナ]と呼ばれる、どの方向にも等しく電波を放射すると仮定した、仮想アンテナで放射した電力を示すもので、「等しく電波を放射するアンテナから実際に放射される電力」という事で、実効等方輻射電力と呼ばれています。空間に放射される電力を計算したり、アンテナの効率の基準に利用されることがあります。電波法上の定義では、実効等方輻射電力を等価等方輻射電力と定義しています。
電波法施行規則 第2条第1項第75号
「空中線の絶対利得」とは、基準空中線が空間に隔離された等方性空中線であるときの与えられた方向における空中線の利得をいう。電波法施行規則 第2条第1項第78の2号
「等価等方輻射電力」とは、空中線に供給される電力に、与えられた方向における空中線の絶対利得を乗じたものをいう。
このリモート ID (RID) 機器は電波法で定められる、小電力データ通信システムの無線局の扱いになります。これは、無線設備規則第49条の20(小電力データ通信システムの無線局の無線設備)にて定められています。
無線局の免許や、扱う為の無線従事者の免許は必要ありませんが、特定の技術基準に則った認証を受けた(技術基準適合証明を受けた)「機器」である必要があります。
4. RID 機器等の製造要件
[ANSI/CTA-2063-A] 小型無人航空機システムのシリアル番号、国際的なUAS当局による採用を促進するために
3.2 電子シリアル番号
ASTM 規格 リモートIDとトラッキングの標準仕様
世界中の空域システムにおいて、無人航空機システム(通称:ドローン)の識別と追跡をより良くしたいという要望を満たすことを目的とした、規格です。リモートID規格は、自動車のナンバープレートの機能と同様に、一般市民や公安当局が、操縦者の個人識別情報のプライバシーを保護しながら、割り当てられたIDを使用してドローンを識別できるようにする技術をサポートするものです。この標準規格は85ドルで販売されています。規格のすべてを引用することは著作権の観点からもできないので、規格の概要の説明のみ書いておきます。
ASTMとは、世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials: ASTM)が策定する規格のことです。
この仕様は、無人航空機システム(UAS)の遠隔識別(Remote ID)の性能要件をカバーしています。リモートIDは、安全、セキュリティ、およびコンプライアンス目的のために、政府および民間のUASの識別を可能にします。その目的は、遠隔操縦者、企業、およびその顧客の操作上のプライバシーを維持しながら、匿名性を排除することによって、UAS遠隔操縦者の説明責任を高めることである。リモートIDは、目視外(BVLOS)操作や人の上空での操作など、より高度な操作を可能にするものである。「本仕様では、ブロードキャストとネットワークの2種類のリモートIDのメッセージフォーマット、送信方法、最低性能基準を定義している。放送型リモートIDは、UASからUAS周辺の受信機への直接の無線信号の送信に基づくものである。ネットワークリモート ID は、UAS と直接または間接的にインタフェースするネットワークリモート ID サービスプロバイダ(Net-RID SP)からのインターネットによる通信、または非搭載のネットワーク参加者の場合の他のソースに基づくものである。本仕様は、UAS および Net-RID SP システムにおけるブロードキャストリモート ID またはネットワークリモート ID、あるいはその両方の通信および試験要件に対応するものである。「本仕様は、空域クラスに関係なく、地方、都市、ネットワーク、ネットワーク劣化、ネットワーク拒否環境など多様な環境上の超低レベル(VLL)空域で動作するUASに適用可能である。「本仕様は、ADS-B または二次監視レーダー・トランスポンダの使用を承認されて運用される UAS を扱うことを意図しておらず、また、すべての運用に対する UAS の ID ニーズを解決することを意図していない。特に、本仕様は、リモート ID に参加していない UAS やリモート ID を故意に回避する運用者の識別ニーズに対応することを意図していない。
上記のとおり、ADS-Bトランスポンダを利用する、有人航空機と同じクラスの無人航空機(日本の航空法で言うところの「無操縦者航空機」など)は、対象としておらず、超低レベル空域を対象とした規格であることがわかります。この国際規格に則って、日本の規格が作られています。
Standard Specification for Remote ID and Tracking
ASTM International F3411-19 “Standard Specification for Remote ID and Tracking” リモートID・トラッキングの標準仕様
参照:ASTM International F3411-19より
小電力データ通信システムの無線局に関する法律
リモートID機器の送信する電波に関する法規制は、電波法・無線設備規則の小電力データ通信システムの無線局に関するものになります。その中で、リモートID機器に関するもののみ抜粋し、漢数字で表記されている物を、アラビア数字に変えて、単位の表示を一部変更して読みやすくしました。電波法施行規則
無線設備規則
第四十九条の二十 小電力データ通信システムの無線局の無線設備は、次の各号の区別に従い、それぞれに掲げる条件に適合するものでなければならない。
占有周波数帯幅 | 信号伝送速度 |
ア 20MHz以下 | 毎秒20メガビット以上 |
イ 20MHzを超え40MHz以下 | 毎秒40メガビット以上 |
ウ 40MHzを超え80MHz以下(ハ(3)に規定する場合に限る。) | 毎秒80メガビット以上 |
エ 80MHzを超え160MHz以下 | 毎秒160メガビット以上 |
オ 40MHzを超え80MHz以下(ハ(5)に規定する場合に限る。) | 毎秒160メガビット以上 |
送信装置 | 占有周波数帯幅 | 空中線電力(注) |
ア 直接拡散方式を使用するスペクトル拡散方式を使用するもの | 20MHz以下(5150MHzを超え5350MHz以下の周波数の電波を使用するものにあつては、18MHz以下) | 10mW以下 |
イ 振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式若しくはパルス変調方式又はこれらの複合方式を使用するもの | 20MHz以下(5150MHzを超え5350MHz以下の周波数の電波を使用するものにあつては、18MHz以下) | 10mW以下 |
ウ 直交周波数分割多重方式を使用するもの(エの項に掲げるものを除く。) | 20MHz以下 | 10mW以下 |
20MHzを超え40MHz以下 | 5mW以下 | |
40MHzを超え80MHz以下(ハ(3)に規定する場合に限る。) | 2.5mW以下 | |
80MHzを超え160MHz以下 | 1.25mW以下 | |
40MHzを超え80MHz以下(ハ(5)に規定する場合に限る。) | 1.25mW以下 | |
エ 直交周波数分割多重方式を使用するもの(自動車内に設置するものに限る。) | 20MHz以下 | 2mW以下 |
20MHzを超え40MHz以下 | 1mW以下 | |
40MHzを超え80MHz以下 | 0.5mW以下 |
周波数帯 | 占有周波数帯幅 | 1MHzの帯域幅における等価等方輻射電力 |
ア 5150MHzを超え5350MHz以下(イの項に掲げるものを除く。) | 20MHz以下 | 10mW |
20MHzを超え40MHz以下 | 5mW | |
40MHzを超え80MHz以下(ハ(3)に規定する場合に限る。) | 2.5mW | |
80MHzを超え160MHz以下 | 1.25mW | |
40MHzを超え80MHz以下(ハ(5)に規定する場合に限る。) | 1.25mW | |
イ 5150MHzを超え5250MHz以下(自動車内に設置するものに限る。) | 20MHz以下 | 2mW |
20MHzを超え40MHz以下 | 1mW | |
40MHzを超え80MHz以下 | 0.5mW | |
ウ 5470MHzを超え5730MHz以下 | 20MHz以下 | 50mW |
20MHzを超え40MHz以下 | 25mW | |
40MHzを超え80MHz以下(ハ(3)に規定する場合に限る。) | 12.5mW | |
80MHzを超え160MHz以下 | 6.25mW | |
40MHzを超え80MHz以下(ハ(5)に規定する場合に限る。) | 1.25mW |
周波数帯 | 1MHzの帯域幅における等価等方輻射電力 |
24.705GHz以上24.74GHz未満及び25.26GHzを超え25.295GHz以下 | 1μW以下 |
24.74GHz以上24.75GHz未満及び25.25GHzを超え25.26GHz以下 | 16μW以下 |
特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則
参照:電波法施行規則 | e-Gov法令検索
無線設備規則 | e-Gov法令検索
特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則 | e-Gov法令検索