6.2 気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画の立案【教則学習】
2023年1月21日
2024年4月16日
6. 運航上のリスク管理 6.2 気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価
及び運航の計画の立案
令和6年(2024年)4月14日(日)以降に無⼈航空機操縦士の学科試験を受験される方は下記の「第3版」をご覧ください。
教則の本文を黒色に、独自に追記した補足説明や注釈を別色で記載しています。
6.2.1 気象の重要性及び情報源
(1) 無人航空機における気象の重要性
無人航空機を安全に飛行させるための重要な要素の一つが気象である。
航空法では「当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。」とされている。これは目視可能な距離外での無人航空機の飛行を禁止するだけではなく、近距離であっても無人航空機の飛行状況や他の物件との安全な距離が確保されていることを目視で確認できない雲中や濃霧等の気象状態では無人航空機を飛行させてはならないことを意味する。
(2) 安全な飛行を行うために確認すべき気象の情報源
参考となる気象情報には、以下が挙げられる。
● アメダス
● 気象レーダー
● 実況天気図、予報天気図、悪天解析図
アメダス(AMeDAS:Automated Meteorological Data Acquisition System)
日本国内、約1,300か所の気象観測所で構成される気象庁の無人観測施設「地域気象観測システム」の通称で、自動気象データ収集システムとも呼ばれています。
システムの名称を決める際に、気象庁では"Automatic Meteorological Data Acquisition System"の略称であるAMDAS(アムダス)をはじめいくつかの略称が候補に上がったそうですが、「MeteorologicalのMeを採って、「雨ダス」とも聞こえるAMeDAS(アメダス)の方がおもしろいとの理由で、決定されたと言われています。その後、英語の名称がAutomaticからAutomatedに変更されたが略称は現在でもそのまま使用されています。
アメダスは1974年11月1日に運用を開始し、現在、降水量を観測する観測所は全国に約1,300か所(約17km間隔)あり、このうち、約840か所(約21km間隔)では降水量に加えて、風向・風速、気温、湿度を観測しているほか、雪の多い地方の約330か所では積雪の深さも観測しています。
アメダスはその名称から、降水量の観測イメージが強いですが、風向・風速なども、約21km間隔で計測され、一時間と10分毎に公開されている為、降水量だけでなく、これらの風のデータも有用だと思います。
気象レーダーアメダスはその名称から、降水量の観測イメージが強いですが、風向・風速なども、約21km間隔で計測され、一時間と10分毎に公開されている為、降水量だけでなく、これらの風のデータも有用だと思います。
気象レーダーの情報を用いたリアルタイム雨量情報は地図上で分かりやすく確認できる複数のシステムが公開されています。
- 気象庁の高解像度降水ナウキャスト(雨雲レーダー)
全国20箇所に設置された気象庁の気象ドップラーレーダーで日本全国の雨量観測を行っています。これら気象ドップラーレーダーの観測データに加え、気象庁・国土交通省・地方自治体が保有する全国の雨量計のデータ、ウィンドプロファイラやラジオゾンデの高層観測データ、国土交通省レーダ雨量計のデータも活用し、降水域の内部を立体的に解析し、降雨の実況と250m解像度で5分間隔で30分先までの降水短時間予測を公開しています。高解像度化と速報性を両立するために、陸上と海岸近くの海上では250m解像度の降水予測を、その他の海上では1km解像度により降水予測を提供しています。また、250mの予測期間は30分ですが、予測時間35分先から60分先までは、30分までと同じアルゴリズムで予測した1kmの解像度で予測が提供されています。 - 国土交通省のXRAIN(エックスレイン)
国土交通省が設置した気象用Xバンドレーダーを用いたリアルタイム雨量観測システムで、観測されたデータを、250m解像度で1分間隔で、ほぼリアルタイム(数分遅れ)に実況しています。実況のみでこれからの予測はしていません。 - 防災科学技術研究所の首都圏Xバンド気象レーダネットワーク
国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門が運営するXバンド気象レーダのネットワークで、2006年より、首都圏の大学や試験研究機関の所有するXバンド気象レーダをネットワーク化し、首都圏における豪雨・強風の監視を行うネットワークとして、降雨強度、風向・風速をリアルタイムに観測しています。観測範囲は首都圏のみを対象として、ゲリラ豪雨の発生の可能性の高い夏期のみ公開されています。500m解像度で5分間隔で、実況のみの運用をしています。
現在のリアルタイムの降雨状態の確認にはXRAINが、今後の降雨状態がどうなるかの予測には高解像度降水ナウキャストが適しいます。状況によって使い分けることをおすすめします。
気象庁から出されている実況天気図、予報天気図、悪天解析図その他の雨雲レーダー
その他にも雨雲レーダーと呼ばれる気象レーダーの雨雲の観測値を用いて地図上に雨量の情報を表示するサービスが気象予報会社、各社より出されています。基本的には気象庁が発表する同じデータに基づいていると思われるので大差はないのですが、WEBサイトのナビゲーションや表示方法などのUIに違いがある為、好みによって使い分けできます。
その他にも雨雲レーダーと呼ばれる気象レーダーの雨雲の観測値を用いて地図上に雨量の情報を表示するサービスが気象予報会社、各社より出されています。基本的には気象庁が発表する同じデータに基づいていると思われるので大差はないのですが、WEBサイトのナビゲーションや表示方法などのUIに違いがある為、好みによって使い分けできます。
- 雨雲レーダー(旧:豪雨レーダー) - 日本気象協会 tenki.jp 一般財団法人日本気象協会が提供するサイトで、5分間隔、タイムラグ最大約10分1時間前(観測値)~現在(リアルタイム観測値)~15時間後(予測)を表示させることができます。マップは半径500mの同心円までズームすることができます。表示マップを白地図、カラー地図、航空写真に切り替えることができます。
- 雨雲レーダー/雨・雨雲の動き 予想といまの様子 - ウェザーニュース ウェザーニュース社が提供する雨雲レーダーサイトで、5分間隔、タイムラグ最大約10分1時間前(観測値)~現在(リアルタイム観測値)~1時間後(予測)を表示させることができます。降雨・降雪の表示に切り替えることができます。
- 雨雲レーダー スーパーズーム ‐ ウェザーニュース
ウェザーニュース社が提供する雨雲レーダーサイト スーパーズーム5分間隔、タイムラグ最大約10分1時間前(観測値)~現在(リアルタイム観測値)~15時間後(予測)を表示させることができます。ウェザーニュース社のもう一つの雨雲レーダーサイトより予測時間が長いのが特徴です。熱中症警戒、雷発生確率、ゲリラ雷雨発生確率の表示に切り替えることができ、より具体的に警戒感を感じられるように工夫されています。
日本周辺域 実況天気図
一日7回(3、6、9、12、15、18、21時)の3時間間隔(深夜は6時間間隔)の観測データをもとに、日本周辺域における実況天気図の解析を行い、観測時刻の約2時間10分後に発表しています。
日本周辺域 実況天気図 - 気象庁
アジア太平洋域 実況天気図
一日4回(3、9、15、21時)の観測データをもとに、日本周辺域よりも広いアジア太平洋域の実況天気図の解析を行い、気象庁が船舶向けの予報警報を担当している海域(赤道~北緯60度 東経100度~東経180度)における警報事項(海上台風、海上暴風、海上強風、海上風、海上濃霧)や、陸上及び海上の観測データ(気温、風向風速、雲形雲量等)を英語や記号で付加し、観測時刻の約2時間30分後に発表しています。この天気図は国内だけでなく国外の気象業務を行う機関、船舶、航空機等において広く利用されることを主な目的としているため、高気圧や低気圧の記号や速度、台風(熱帯低気圧)等のコメント文はすべて英文表記になっています。時刻も世界共通の協定世界時 (UTC)が用いられています。
協定世界時 (UTC)について下記に詳しく説明しています。
「世界の時間とタイムゾーン・JST、UTCとズールータイム【教則学習・周辺知識】 」
予報天気図
気象庁が24時間先と48時間先の予想天気図を1日2回、9時と21時の観測データを基に作成して公開しています。この天気図は、アジア太平洋域の実況天気図と同様に国内だけでなく国外の気象業務を行う機関、船舶、航空機などにおいて広く利用されることを主な目的としています。気象庁ホームページでは、拡大した白黒の「最新24時間予想図(PDF) 」および「最新48時間予想図(PDF) 」を見ることができます。
気象庁が24時間先と48時間先の予想天気図を1日2回、9時と21時の観測データを基に作成して公開しています。この天気図は、アジア太平洋域の実況天気図と同様に国内だけでなく国外の気象業務を行う機関、船舶、航空機などにおいて広く利用されることを主な目的としています。気象庁ホームページでは、拡大した白黒の「最新24時間予想図(PDF) 」および「最新48時間予想図(PDF) 」を見ることができます。
国内悪天予想図(FBJP)
日本周辺の空域などの悪天候を予想するもので、日本時間の 3時、9時、15時、 21時を対象時刻として、おおむね6時間先を予想するものとして、対象時刻の 5時間 30分前に発表されています。
地上からおよそ150hPa気圧面(約14,000m)までの高度に予想される、雷電や乱気流など航空機の運航に重要な影響を及ぼす悪天域、地上の低気圧・高気圧などの位置や中心気圧、移動方向・速度、前線、5,000ft(約1,500m)と10,000ft(約3,000m)の0℃の等温線などの予想を図示したもので、6時間ごとに一日4回作成されています。
国内悪天予想図(FBJP)- 気象庁
国内悪天予想図(FBJP)- 気象庁
国内悪天解析図(ABJP)
気象レーダーや気象衛星画像に、航空機から通報された乱気流や着氷などの実況を重ね合わせ、それに予報官によるジェット気流の解析や悪天域に関する簡潔なコメント文を加えた図情報で、国内航空機の主な運航時間となる6時から21時(日本時間)まで3時間ごとに一日6回作成されています。空域の実況を記載した国内悪天実況図、空域の実況の悪天域に関するコメントを付した「国内悪天解析図」を航空関係機関に提供しています。
気象レーダーや気象衛星画像に、航空機から通報された乱気流や着氷などの実況を重ね合わせ、それに予報官によるジェット気流の解析や悪天域に関する簡潔なコメント文を加えた図情報で、国内航空機の主な運航時間となる6時から21時(日本時間)まで3時間ごとに一日6回作成されています。空域の実況を記載した国内悪天実況図、空域の実況の悪天域に関するコメントを付した「国内悪天解析図」を航空関係機関に提供しています。
下層悪天予想図
下層悪天予想図は、天気予報等の基礎資料である数値予報の計算結果から自動作成(画像化)したものですので、気象庁が実際に発表する飛行場予報や台風予報等と異なる内容が含まれる場合があるので注意が必要ですが、3、6、9時間後の上空 5,000ft(地上約 1,500 メートル)付近の風向・風速及び雷の予想を3時間毎に発表しています。WEBページのの上方の「FT3」3時間後、「FT6」6時間後、「FT9」9時間後のボタンで、切り替えてみることができます。下層悪天予想図(詳細版)では、1 つの図で、小型航空機の運航上重要な地上
付近の見通し、雲(雲頂及び雲底高度)、 上空 5,000ft(地上約 1,500 メートル)付近の風向・風速及び雷の予想を把握できるようになっています。
航空気象情報 - 気象庁
衛星画像からの気象情報
ウィンドプロファイラ(Wind Profiler)
「ウィンド(風)のプロファイル(横顔・輪郭・側面図)を描くもの」という意味の英語の合成語です。ウィンドプロファイラは、地上から上空に向けて電波を発射し、大気中の風の乱れなどによって散乱され戻ってくる電波を受信・処理することで、上空の風向・風速を測定するものです。実際の観測では上空の5つの方向に電波を発射しているので、風の立体的な流れがわかります。2001年4月に運用を開始し、現在全国に33か所あります。この33箇所は日本列島の輪郭に沿うように設置されています。 観測データは、きめ細かな天気予報のもとになる数値予報などに利用されています。 この観測・処理システムは総称して「局地的気象監視システム」(略称:ウィンダス・WINDAS:WInd profiler Network and Data Acquisition System)と呼びます。この観測データを公開しているので、直接見ることもできるます。観測地点が少ないので限定的ですが、風のデータとして利用できる場合もあるのではないかと思います。
ウィンドプロファイラ - 気象庁 「ウィンド(風)のプロファイル(横顔・輪郭・側面図)を描くもの」という意味の英語の合成語です。ウィンドプロファイラは、地上から上空に向けて電波を発射し、大気中の風の乱れなどによって散乱され戻ってくる電波を受信・処理することで、上空の風向・風速を測定するものです。実際の観測では上空の5つの方向に電波を発射しているので、風の立体的な流れがわかります。2001年4月に運用を開始し、現在全国に33か所あります。この33箇所は日本列島の輪郭に沿うように設置されています。 観測データは、きめ細かな天気予報のもとになる数値予報などに利用されています。 この観測・処理システムは総称して「局地的気象監視システム」(略称:ウィンダス・WINDAS:WInd profiler Network and Data Acquisition System)と呼びます。この観測データを公開しているので、直接見ることもできるます。観測地点が少ないので限定的ですが、風のデータとして利用できる場合もあるのではないかと思います。
気象衛星ひまわり画像
静止気象衛星「ひまわり」により観測した画像を見ることができます。10分と30分毎の画像が公開されています。最新で10分前の画像から公開されています。雲のかかり具合など目視で確認することができます。夜間は赤外線カメラの画像に切り替えることで見ることができます。最も拡大した画像は日本域のみを表示可能です。
JAXA ひまわりモニタ宇宙航空研究開発機構(JAXA) 地球観測研究センターが公開している、気象庁から提供されている静止気象衛星ひまわり標準データと、JAXAがひまわり標準データから作成する物理量データを地図上で分かりやすく公開しています。エアロゾル特性、雲特性、海面水温、海面水温(夜間)、日射量/光合成有効放射量などを公開しています。特に有用だと思われるのは、雲特性の情報で気象衛星ひまわりの撮影した画像データから雲の光学的厚さや雲のタイプをマップ上に表示させることができます。雲タイプは、ISCCP(International Satellite Cloud Climatology Project)の雲分類方法に基づいたもので、ひまわりから推定した雲光学的厚さと雲頂気圧を用いて、下表のように分類されています。
(3) 天気図の見方
天気図には、各地で観測した天気、気圧、気温、風向、風力や高気圧、低気圧、前線の位置及び等圧線などが描かれている。実況天気図、予想天気図から気圧配置、前線の位置、移動速度などを確認する。
等圧線の間隔から風の強弱を知ることができ、等圧線の間隔が狭いほど風は強まる。
1) 天気記号
快晴・晴・曇・雨・雪・霧などを表す記号である。
「快晴」「晴れ」「曇」の区別は、空全体を10としたとき、空にしめる雲の量が、0~1のとき「快晴」、2~8のとき「晴れ」、9~10のとき「曇」となります。したがって、「晴れ」の場合、雲の量が2~8とかなり幅があります。
「快晴」「晴れ」「曇」の区別は、空全体を10としたとき、空にしめる雲の量が、0~1のとき「快晴」、2~8のとき「晴れ」、9~10のとき「曇」となります。したがって、「晴れ」の場合、雲の量が2~8とかなり幅があります。
2) 風
天気記号に付いた矢の向きが風向を表す。風が吹いてくる方向に矢が突き出しており、観測では 16 又は 36 方位を用いているが、予報では 8 方位で表す。矢羽根の数が風力(気象庁風力階級表による風力の尺度)を表す。風力0~12 までの 13 段階で表す。
風力階級表
風 力 | 相当風速(m/s) | 相当風速(ノット) | 名 称 | 陸上の状態 | 海上の状態 |
0 | 0.0 から 0.3未満 | 1未満 | 平穏(へいおん)Calm | 煙はまっすぐ昇る。 | 水面は鏡のように穏やか。 |
1 | 0.3 以上 1.6未満 | 1以上 4未満 | 至軽風(しけいふう)Light Air | 煙は風向きが分かる程度にたなびく。 | うろこのようなさざ波が立つ。 |
2 | 1.6 以上 3.4未満 | 4以上 7未満 | 軽風(けいふう)Light Breeze | 顔に風を感じる。木の葉が揺れる。 | はっきりしたさざ波が立つ。 |
3 | 3.4 以上 5.5未満 | 7以上 11未満 | 軟風(なんぷう)Gentle Breeze | 木の葉や小枝が揺れる。 | 波頭が砕ける。白波が現われ始める。 |
4 | 5.5 以上 8.0未満 | 11以上 17未満 | 和風(わふう)Moderate Breeze | 小さなゴミや落ち葉が宙に舞う。 | 小さな波が立つ。白波が増える。 |
5 | 8.0 以上 10.8未満 | 17以上 22未満 | 疾風(しっぷう)Fresh Breeze | 葉のあるかん木が揺れ始める。 | 水面に波頭が立つ。 |
6 | 10.8 以上 13.9未満 | 22以上 28未満 | 雄風(ゆうふう)Strong Breeze | 木の大枝が揺れ、傘がさしにくくなる。電線が唸る。 | 白く泡立った波頭が広がる。 |
7 | 13.9 以上 17.2未満 | 28以上 34未満 | 強風(きょうふう)Near Gale | 大きな木の全体が揺れ、風に向かって歩きにくい。 | 波頭が砕けて白い泡が風に吹き流される。 |
8 | 17.2 以上 20.8未満 | 34以上 41未満 | 疾強風(しっきょうふう)Gale | 小枝が折れる。風に向かって歩けない。 | 大波のやや小さいもの。波頭が砕けて水煙となり、泡は筋を引いて吹き流される。 |
9 | 20.8 以上 24.5未満 | 41以上 48未満 | 大強風(だいきょうふう)Strong Gale | 屋根瓦が飛ぶ。人家に被害が出始める。 | 大波。泡が筋を引く。波頭が崩れて逆巻き始める。 |
10 | 24.5 以上 28.5未満 | 48以上 56未満 | 全強風(ぜんきょうふう)Storm | 内陸部では稀。根こそぎ倒される木が出始める。人家に大きな被害が起こる。 | のしかかるような大波。白い泡が筋を引いて海面は白く見え、波は激しく崩れて視界が悪くなる。 |
11 | 28.5 以上 32.7未満 | 56以上 64未満 | 暴風(ぼうふう)Violent storm | めったに起こらない。広い範囲の被害を伴う。 | 山のような大波。海面は白い泡ですっかり覆われる。波頭は風に吹き飛ばされて水煙となり、視界は悪くなる。 |
12 | 32.7 以上 | 64以上 | 颶風(ぐふう)Hurricane | 被害が更に甚大になる。 | 大気は泡としぶきに満たされ、海面は完全に白くなる。視界は非常に悪くなる。 |
3) 気温
天気記号の左上の数字で、摂氏の度数を表す。
4) 気圧
大気の圧力をいい、単位はヘクトパスカル(hPa)で標準大気圧(1気圧)は、1013hPa である。
5) 等圧線
気圧の等しい点を結んだ線をいう。
6) 高気圧
周囲よりも相対的に気圧が高いところを高圧部といい、その中で閉じた等圧線で囲まれたところを高気圧という。北半球では時計回りに等圧線と約 30 度の角度で中心から外へ向かって風を吹き出している。高気圧の中心部では下降気流が発生し一般的に天気はよい。
7) 低気圧
周囲よりも相対的に気圧が低いところを低圧部といい、その中で閉じた等圧線で囲まれたところを低気圧という。北半球では反時計回りに低気圧の中心に向かって周囲から風が吹き込む。中心部では上昇気流が起こり、雲が発生し一般的に天気は悪い。
8) 冬の天気
冬の悪い天気の代表は「雪」と「風」である。シベリア高気圧が優勢になり冬の季節風の吹き出しが始まると、まず気象衛星の雲写真に沿海州から日本海へ流れる帯状の雲が現れる。冬型の天気の典型は西高東低といわれるもので、天気図では西側に高気圧、東側に低気圧という気圧配置で、日本海側に雪をもたらす。
9) 春と秋の天気
日本の天気を支配するのは冬のシベリア高気圧と夏の太平洋高気圧であり、春と秋は両高気圧の勢力が入れ替わるときである。このとき日本付近に両気団の境界ができ、前線が停滞し、広い範囲に悪い天気をもたらし、1週間くらい雨が降り続き、低い雲高や視程障害をもたらす。
10) 前線
温度や湿度の異なる気団(空気の塊)が出会った場合、二つの気団はすぐには混ざらないで境界ができる。境界が地表と接するところを前線という。
a. 寒冷前線
発達した積乱雲により、突風や雷を伴い短時間で断続的に強い雨が降る。前線が接近してくると南から南東よりの風が通過後は風向きが急変し、西から北西よりの風に変わり、気温が下がる。
b. 温暖前線
層状の厚い雲が段々と広がり近づくと気温、湿度は次第に高くなり、時には雷雨を伴うときもあるが、弱い雨が絶え間なく降る。通過後は北東の風が南寄りに変わる。
c. 閉塞前線
寒冷前線が温暖前線に追いついた前線で、閉塞が進むと次第に低気圧の勢力が弱くなる。
d. 停滞前線
気団同士の勢力が変わらないため、ほぼ同じ位置に留まっている前線で、長雨をもたらす梅雨前線や秋雨前線がこれにあたる。
e. 梅雨前線
梅雨前線とは、四季の変わり目に出現する長雨(菜種梅雨、梅雨、秋霖など)のうち、とくに顕著な長雨、大雨をもたらす停滞前線のことである。
6.2.2 気象の影響
(1) 安全な⾶⾏のために知っておくべき気象現象
1) 雲と降水について
雲には10種雲形と呼ばれる10種類の雲の形がある。
上層雲として巻雲・巻層雲・巻積雲が、中層雲として高層雲・乱層雲・高積雲が、低層雲と下層から発達する雲として積雲・積乱雲・層積雲・層雲がある。このうち層雲系の雲では連続的な降水が、積雲系であれば断続的でしゅう雨性の降水を伴う傾向がある。
10種雲形
世界気象機関[WMO:World Meteorogical Organaization]が、発行している気象学における雲の分類(雲形分類)の基準を示した、の学術資料の「国際雲図帳(International Cloud Atlas)」でまとめらています。WMOをはじめとした世界の気象学者の協議によって定められた雲の分類を、世界中の気象観測者向けに解説したものです。
10種雲形
世界気象機関[WMO:World Meteorogical Organaization]が、発行している気象学における雲の分類(雲形分類)の基準を示した、の学術資料の「国際雲図帳(International Cloud Atlas)」でまとめらています。WMOをはじめとした世界の気象学者の協議によって定められた雲の分類を、世界中の気象観測者向けに解説したものです。
雲をその大まかな形から10種の「類」に分類しており、これを十種雲形(十種雲級)と呼びます。それぞれの「類」は、形の特徴や雲塊の組成などからさらに「種」に分類されます。また、雲塊の配列、雲の透明度による細分類は「変種」と呼ばれ、さらに、部分的な特徴や、付随する雲がある場合には「副変種」として記されます。また、地形などによって発生する雲は、十種雲形には含まれません。
基 本 形 | 種 | 変 種 | 副 変 種 | |
上層雲 | 巻雲(Ci) | 毛状雲 鉤状雲 濃密雲 塔状雲 房状雲 | もつれ雲 放射状雲 肋骨雲 二重雲 | 乳房雲 |
巻積雲(Cc) | 層状雲 レンズ雲 塔状雲 房状雲 | 波状雲 蜂の巣状雲 | 尾流雲 乳房雲 | |
巻層雲(Cs) | 毛状雲 霧状雲 | 二重雲 波状雲 | ||
中層雲 | 高積雲(Ac) | 層状雲 レンズ雲 塔状雲 房状雲 | 半透明雲 隙間雲 不透明雲 二重雲 波状雲 放射状雲 蜂の巣状雲 | 尾流雲 乳房雲 |
高層雲(As) | 半透明雲 不透明雲 二重雲 波状雲 放射状雲 | 尾流雲 降水雲 ちぎれ雲 乳房雲 | ||
乱層雲(Ns) | 降水雲 尾流雲 ちぎれ雲 | |||
下層雲 | 層積雲(Sc) | 層状雲 レンズ雲 塔状雲 | 半透明雲 隙間雲 不透明雲 二重雲 波状雲 放射状雲 蜂の巣状雲 | 乳房雲 尾流雲 降水雲 |
層雲(St) | 霧状雲 断片雲 | 不透明雲 半透明雲 波状雲 | 降水雲 | |
対流雲 | 積雲(Cu) | 扁平雲 並雲 雄大雲 断片雲 | 放射状雲 | 頭巾雲 ベール雲 尾流雲 降水雲 アーチ雲 ちぎれ雲 漏斗雲 |
積乱雲(Cb) | 無毛雲 多毛雲 | 降水雲 尾流雲 ちぎれ雲 かなとこ雲 乳房雲 頭巾雲 ベール雲 アーチ雲 漏斗雲 |
国際雲図帳(International Cloud Atlas)
1897年に初版が発刊されました。その後、改定が重ねられ、その最新版は、第I巻は1975年版、第II巻は1987年版で、現在まで採用されています。
現在は、WMOのオフィシャルサイトで国際雲図帳を基にした情報が体系的に見ることができるようにまとめられています。
International Cloud Atlas
WMOのオフィシャルサイトで公開されている国際雲図帳のPDFです。
WMOのオフィシャルサイトで公開されている国際雲図帳のPDFです。
2) 風
a. 風と気圧
風とは、空気の水平方向の流れをいい、風向と風速で表す。空気は、気圧の高いほうから低いほうに向かうが、この流れが風である。等圧線の間隔が狭いほど風は強く吹く。
b. 風向
風向は、風が吹いてくる方向で、例えば、北の風とは北から南に向かって吹く風をいう。風向は 360度を 16等分し、北から時計回りに北→北北東→北東→東北東→東のように表す。
方位について
360度を 16等分した方位を16方位と呼びます。8等分した方位は8方位と呼びます。
8方位の中間にある16方位はどちらに寄っているかを頭に付けて分類します。例えば、北北東(NNE)の場合、北寄りの北東という事で北北東という事になります。英語ではnorth-northeastと表しますがハイフン(ー)が間に入っているのも、このような理由です。
ですから、北東でも東に寄っていれば東北東という事になります。
図に示します。
方位について
360度を 16等分した方位を16方位と呼びます。8等分した方位は8方位と呼びます。
8方位の中間にある16方位はどちらに寄っているかを頭に付けて分類します。例えば、北北東(NNE)の場合、北寄りの北東という事で北北東という事になります。英語ではnorth-northeastと表しますがハイフン(ー)が間に入っているのも、このような理由です。
ですから、北東でも東に寄っていれば東北東という事になります。
図に示します。
c. 風速
風速は空気の動く早さで、メートル毎秒(m/s)で表す。風は必ずしも一定の強さで吹いているわけではなく、単に風速と言えば、観測時の前 10分間における平均風速のことをいう。
また、平均風速の最大値を最大風速、瞬間風速の最大値を最大瞬間風速という。
風は地面の摩擦を受けるため、一般的に上空では強く地表に近づくにつれて弱くなる。変化の度合いは地表の粗度(樹木や建物などによる凸凹の程度)や風速の大きさによって異なる。一般に地表の粗度が大きいほど、高さによる風速の変化は大きくなる。
d. 突風
低気圧が接近すると、寒冷前線付近の上昇気流によって発達した積乱雲により、強い雨や雷とともに突風が発生することがある。日本付近では、天気は西から東に変わるため、西から寒冷前線を伴う低気圧が接近するときは、突風が発生する時間帯を予測することができる。
e. 海陸風
気温差があると、気圧差が生じて風が吹く。海陸風は海と陸との気温差によって生じる局地的な風で、日本では、日差しの強い夏の沿岸部で顕著に見られる。地表付近において、日中は、暖まりやすい陸上に向かって風が吹き、夜間は、冷めにくい海上に向かって風が吹く。風が入れ替わるときには、ほぼ無風状態になり、「朝凪」「夕凪」と呼ばれる。
f. 山谷風
山岳地帯に現れる風の一種。昼間は、日射で暖められた空気が谷を這い上がる谷風が吹き、夜間は冷えた空気が山から降りる山風が吹く。
g. 風力
風力は、気象庁風力階級表(ビューフォート風力階級)により、風力0から風力 12 までの 13 階級で表す。
ビューフォート風力階級(Beaufort scale)
1805年、イギリス海軍の、フランシス・ボーフォートによって提唱された、武装帆船での航海において、海上の風の強さを表現するため、風力を0から12までの13段階に区分、各段階における海の状況(波浪など)を記した表が基になり、1838年にはイギリス海軍全体で採用され風力を記録することが定められました。その後、陸上にも対応するよう改正され、1874年には国際気象委員会で国際気象通報式に採用されました。20世紀に入ると風速の物理値との関係式も定められ、さらに改正を経て、1964年に世界気象機関 (WMO)の風力の標準尺度に採用されました。日本の気象庁の採用している気象庁風力階級はこのビューフォート風力階級を翻訳したもので、内容は同一のものです。
WMOにおける 風力階級B と 風速V は、経験的関係(実測を元にした関係)から、下記の関係式で表されます。
V = 0.836 B3/2 [m/s]
h. ビル風
高層ビルや容積の大きい建物などが数多く近接している場所及び周辺に発生する風で、強さや建物周辺に流れる風の特徴により分類される(剥離流、吹き降ろし、逆流、谷間風、街路風などがある)。
ビル風は周辺の風より風速が速く継続して吹いていて、その建物群の配置や構成によって吹く風の種類が異なる。
ビル風
剥離流
街路風
ビル風
剥離流
建物に当った風が向きを変えて、建物の角部を過ぎて、壁面に沿って流れることができなくなり、建物から剥がれて流れる風のことを剥離流と言います。この建物角部から剥がれた風はその周囲の風よりも風速が大きいためビル風の主要因となっています。
吹き降ろし
風は建物に当たると、建物高さの60~70%付近で上下左右に分かれます。その中の、下方向に分かれて建物の前面を上方から下方に向かう強い流れが吹き降ろしです。吹き降ろしの現象は建物が高層であるほど顕著となり、それだけ上空の速い風を地上方向に降ろすことになります。高層建物の地上付近では、吹き降ろしと剥離流が合流してより強い風が吹くことになります。
吹き降ろし
風は建物に当たると、建物高さの60~70%付近で上下左右に分かれます。その中の、下方向に分かれて建物の前面を上方から下方に向かう強い流れが吹き降ろしです。吹き降ろしの現象は建物が高層であるほど顕著となり、それだけ上空の速い風を地上方向に降ろすことになります。高層建物の地上付近では、吹き降ろしと剥離流が合流してより強い風が吹くことになります。
逆流
吹き降ろしの風は、地面に到達した後、建物風上面で渦を形成し、上空の風とは逆方向に向かいます。この流れを逆流と呼び、高層建物の周囲に低層建物があるような場合は、より強い風速になります。
谷間風
建物が隣接して2棟並んでいると、それぞれの建物から発生する剥離流、吹き降ろしが重ね合わされることにより、風速が高くなります。このような現象を谷間風といい、各建物の高さ、隣棟間隔や建物形状が風速強弱へ影響を与えるパラメーターになります。
街路風
市街地での風は街路や路地に沿って流れようとします。規則正しく配置された建物が並んでいる様な街並みであるほど、建物にさえぎられた風は街路に沿って吹きぬけやすくなります。このような性質をもつ風は一般に、街路風や道路風と呼ばれています。
開口部風(ピロティ風)
建物の一部にピロティのような開口部分が設けられていると、建物に吹き付ける風によって建物前後に圧力差が生じます。この結果、建物下層にピロティーなどの開口部では、強風が吹き抜けやすくなります。この部分を風が吹き抜ける強い風を開口部風(ピロティ風)と呼びます。
部屋の窓から玄関までが開口部になるような構造のマンションなどでは、ベランダ側の窓と玄関ドアを開放するとそれほど風の強くない日でも強力な風が通る現象(玄関のドアの開閉がしにくい様な)が起こることがありますが、これも、開口部風と同様な現象だという事ができます。このケースでは開口部の手前は陽圧、開口部の下流側は負圧となります。このためこの建物前後の圧力差が原動力となって、ダクトに流れが生じるような原理により、開口部の全ての場所で風速が速くなります。そして、風に慣性力が付きますので、建物の後ろ側の離れたところまで到達するような流れが生じる場合があります。
部屋の窓から玄関までが開口部になるような構造のマンションなどでは、ベランダ側の窓と玄関ドアを開放するとそれほど風の強くない日でも強力な風が通る現象(玄関のドアの開閉がしにくい様な)が起こることがありますが、これも、開口部風と同様な現象だという事ができます。このケースでは開口部の手前は陽圧、開口部の下流側は負圧となります。このためこの建物前後の圧力差が原動力となって、ダクトに流れが生じるような原理により、開口部の全ての場所で風速が速くなります。そして、風に慣性力が付きますので、建物の後ろ側の離れたところまで到達するような流れが生じる場合があります。
i. ダウンバーストについて
ダウンバーストとは、積乱雲や積雲内に発生する強烈な下降流が地表にぶつかり、水平方向にドーナツ状に渦を巻きながら四方に広がってゆく状態をいう。その大きさは数百m から10km にもおよぶ。その中でマイクロバーストと呼ばれるものは、直径が4km程度以下の下降流で、範囲は小さいが下降流はダウンバーストより強烈なものがある。発生時間は数分から10分程度のものが多く、通常の観測網では探知されない局地的なものである。
ダウンバーストやマイクロバーストの発生によって、航空機の離着陸の安全が脅かされないように、現在、空港では、滑走路の進入路での局地的なダウンバーストやマイクロバーストを観測するために、気象ライダーなどを導入して監視しています。
ダウンバーストやマイクロバーストの発生によって、航空機の離着陸の安全が脅かされないように、現在、空港では、滑走路の進入路での局地的なダウンバーストやマイクロバーストを観測するために、気象ライダーなどを導入して監視しています。
(2) 気象に関する注意事項
無人航空機は、運用可能な動作環境が具体的に明示されている。運用可能な範囲内であっても、低温時や高温時には大きな影響をうけることが予想される。特に気温の低い場合はバッテリーの持続時間(飛行可能時間)が普段より短くなる可能性があるため注意が必要である。
地表面が暖められると上昇気流が発生するため、広い面積の太陽光パネルやアスファルト・コンクリートの地面が多い市街地は注意が必要である。また、広い運動場のような場所では、強い日射により上昇気流がおこりつむじ風が発生する可能性がある。
6.2.3 安全のための気象状況の確認及び飛行の実施の判断
(1) 気象状況の把握と飛行の実施の判断
安全のため気象条件を考慮した判断をする場合、降雨時、降雪時、霧の発生時や雷鳴が聞こえる時は飛行の延期や中止が望ましい。
安全のため気象条件を考慮した判断をする場合、飛行の延期や中止が望ましいと、判断する場合 その判断をしやすくするための工夫を事前にしておくことを、お勧めします。事前の計画の段階で、具体的な中止・延期条件を設定し、効率を優先させて無理な飛行を実行しようとするプレッシャーやストレスを取り除く努力をしておくことで、中止・延期の決定がしやすくなるのではないかと考えます。
安全のため気象条件を考慮した判断をする場合、飛行の延期や中止が望ましいと、判断する場合 その判断をしやすくするための工夫を事前にしておくことを、お勧めします。事前の計画の段階で、具体的な中止・延期条件を設定し、効率を優先させて無理な飛行を実行しようとするプレッシャーやストレスを取り除く努力をしておくことで、中止・延期の決定がしやすくなるのではないかと考えます。
「無人航空機の飛行の安全に関する教則」 令和4(2022)年11月2日第2版【教則学習】目次
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