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全地球測位システム Global Positioning System (GPS)【教則学習・詳細】

2023年2月20日  2024年4月19日 
GPSはドローンの飛行精度に直結する重要な要素のひとつです。もし、GPSシステムが青樹に機能しなければ、場合によっては、フライトを安全上あきらめなければならないかもしれません。現にGPSシステムの機能の補助で機体コントロール質が大きく異なるのは、無人航空機の飛行訓練を経験するとお分かりだと思います。

この重要なGPSがどのようなシステムなのか意外に詳しく知ることがないのではないでしょうか。少し詳しく書いていきます。

GPSはGlobal Positioning System グローバル・ポジショニング・システムの略で、日本語では全地球測位システムと呼ばれます。世界中で最も広く使用されている衛星ナビゲーションシステムで、位置情報、時間、速度情報などを提供するグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)の1つです。最新のGPS受信機は、30センチメートルの精度で位置情報を提供しています。使用される人工衛星は、正式名称は「ナブスター(NAVSTAR: Navigation Satellites with Time And Ranging)衛星」といいます。初めての衛星ナブスター1が1978年2月22日に打ち上げられ、当初は軍事用として使用されていましたが。1993年から民間にも開放され、世界中で利用されています。GPSシステムは米国政府によって所有され、米国宇宙軍が維持をしています。米国のシステムを利用させてもらっているという性質上避けられない事ですが、過去には米国の事情によりGPSの精度が意図的に落とされることもありました。

GPSシステムの構成概要

GPSは、30機以上の中軌道衛星: Medium Earth Orbit (MEO) satellite(高度20200km)、ナブスター衛星のネットワークです。GPSの仕組みは、衛星から送信される信号を受信機が受け取り、その信号の到達時間と衛星の位置情報を用いて、自分自身の位置を算出することです。複数の衛星から信号を送信しており、受信機はこれらの信号を受信して自分自身の位置を算出します。
最新のGPS受信機は、非常に高い精度で位置情報を提供できます。一般的に、GPSは数メートルの精度で位置情報を提供しますが、最新のGPS受信機は30センチメートルの精度で位置情報を提供することができます。
GPSシステムは米国政府によって所有され、米国宇宙軍が維持をしています。GPSの利用は、ドローンの自機の位置、高度を得るような使い方をはじめ、軍事、民間航空、海上航行、地形調査、カーナビゲーションなど、様々な分野で活用されています。

ナブスター(GPS)をはじめとする人工衛星と地球との距離の図
ナブスター(GPS)をはじめとする人工衛星と地球との距離の図

中軌道衛星と静止軌道衛星や低軌道衛星またISSを比較すると距離感がつかめると思います。
図の表現の関係から地球を少し傾けております。静止軌道衛星がいる場所が赤道の上空です。
高度20,200km、軌道傾斜角55度、周期12時間の準同期軌道上に位置し、6種類の軌道面(PLANE A-F)毎に4基が配置され、合計24基で基本となる衛星コンステレーションが形成されます。各衛星は、昇交点経度が60度おきに配置されています。
運用数は基本配置の数より多く、衛星が増えることで測定精度が向上するという利点があります。また、基本となる衛星コンステレーション以外の軌道上に予備機が控えており、複数の衛星が故障した場合でも、運用に支障がない信頼性、有用性、冗長性を確保しています。衛星の軌道配置によって、地上のどこからでも、遮蔽されない限り6基以上の衛星が同時に視界に入るような仕組みになっています。

GPSの構成要素

GPSは以下の3つのセグメントから構成されています。

宇宙セグメント

30機以上のGPS衛星からなり、高度約2万kmの軌道を12時間周期で周回しています。これにより世界中を常時カバーしています。
宇宙セグメント(SS)は、中軌道上に24〜32個の人工衛星から構成されています。人工衛星をロケットに搭載して軌道に打ち上げるのに必要なアダプターも含まれています。GPSの当初の設計では、3つの円形に近い軌道にそれぞれ8個ずつ、合計24個の人工衛星が必要とされていました。しかし、これは6つの軌道面にそれぞれ4個ずつの人工衛星を配置するように変更されました。6つの軌道面は、約55度の傾斜角(地球の赤道面に対する傾き)を持ち、上昇ノード(軌道面が赤道面を通過する線)が60度ずつ離れています。公転周期は恒星日の半分の11時間58分で、人工衛星は毎日同じ場所を通過します。軌道面は、地表のどの位置からも少なくとも6個の人工衛星が見えるように配置されています。そのため、各軌道面上の4個の人工衛星は等間隔にはありません。一般的に、各軌道面上の人工衛星の相対的な角度は30度、105度、120度、105度となっていて、合計すると360度になります。

2023年の時点で、GPS衛星コンステレーションは31機の衛星で構成されています。
そのうち27機は特定の時間に利用されており、残りは待機衛星として割り当てられています。さらに多くの運用終了した衛星が軌道上に残っており、予備として利用可能です。
追加の衛星は、冗長な測定を提供することでGPS受信機の計算精度を向上させます。
衛星数が増えるにつれて、コンステレーションは不均一な配置に変更されました。
このような配置は、精度向上のみならず、複数の衛星が故障した場合でも、均一なシステムと比較してシステムの信頼性と可用性が向上することが確認されています。
拡張されたコンステレーションにより、通常9機の衛星が地球上のどの地点からでも常に地平線上に見えるため、位置測定に必要な最小4機の衛星に対してかなりの冗長性が確保されています。

制御セグメント

地上の管制局で、GPS衛星の軌道監視、制御、維持を行い、軌道からの逸脱が許容範囲内にあることを確認しています。 
制御セグメント(CS)は、以下で構成されています。


- マスター制御局(MCS)
- 代替のマスター制御局
- 4つの専用地上アンテナ
- 6つの専用モニター局

マスター制御局(MCS)は、衛星管制ネットワークの地上アンテナ(追加の指令・制御機能用)および国家地理空間情報局(NGA)のモニター局にもアクセスできます。
衛星の軌道は、アメリカ空軍の専用モニター局(ハワイ、クェゼリン環礁、アセンション島、ディエゴガルシア、コロラドスプリングス、ケープカナベラル)と、NGAの共用モニター局(イギリス、アルゼンチン、エクアドル、バーレーン、オーストラリア、ワシントンDC)によって追跡されています。
追跡情報はコロラドスプリングスのシュリーバー空軍基地にあるMCSに送信され、第2宇宙作戦飛行隊(2 SOPS)によって運用されています。
次に、2つのSOPSが専用または共用の地上アンテナを使用して各GPS衛星と定期的に通信し、ナビゲーションの更新を行います(GPS専用アンテナはクェゼリン、アセンション島、ディエゴガルシア、ケープカナベラルにあります)。
これらの更新により、衛星に搭載された原子時計が数ナノ秒以内に同期し、各衛星の内部軌道モデルが調整されます。
更新は、地上モニター局からの入力、宇宙天気情報、その他の様々な入力を用いたカルマンフィルターによって作成されます。
衛星の軌道が調整されている間、その衛星は異常としてマークされるため、受信機はその衛星を使用しません。
マニューバ後、技術者は地上から新しい軌道を追跡し、新しい軌道データをアップロードして、衛星を再び正常な状態にします。

ユーザーセグメント

 GPS受信機です。4機以上のGPS衛星からの電波を受信して自身の位置と時刻を取得します。最大12機のGPS衛星が常に受信可能なように軌道が設定されています。衛星からの情報は1.1~1.5GHzの周波数帯域を使用しています。
ユーザーセグメントは、安全なGPS高精度測位サービスの数十万人の米国および同盟国の軍事ユーザーと、標準測位サービスの数千万人の民間、商業、科学ユーザーで構成されています。
一般的に、GPS受信機は、衛星が送信する周波数に合わせたアンテナ、受信機プロセッサ、そして非常に安定したクロック(多くの場合は水晶発振器)で構成されています。また、ユーザーに位置と速度情報を提供するディスプレイも含まれることがあります。
GPS受信機には、RTCM SC-104フォーマットを用いた差分補正入力が含まれている場合があります。これは通常、4,800ビット/秒の速度のRS-232ポート形式です。実際に送信される信号の精度は、RTCM経由で送信される信号レートが非常に低いために制限されます。内蔵DGPS受信機は、外部RTCMデータを使用する受信機より優れた性能を発揮します。2006年現在でも、低コストのユニットにはWAAS受信機が含まれるのが一般的です。 
多くのGPS受信機は、NMEA0183プロトコルを用いてPCやその他のデバイスに位置データを中継できます。このプロトコルはNMEAによって公式定義されています。gpsdなどのオープンソースツールでプロトコルを読み取ることができます。SiRFやMTKなどの独自プロトコルも存在します。受信機はシリアル接続、USB、Bluetoothなどで他デバイスと接続できます。

GPS測位のしくみ

上空のGPS4つの衛星から正確な位置・時間情報を得る。
(4つ以上の衛星電波を受信できないと使用できない)

GPS測位のしくみ
GPS測位は、上空にある4つ以上のGPS衛星から送信される情報を使用して、受信機の正確な位置情報を得る技術です。GPS衛星は、極めて正確な原子時計を搭載しており、軌道位置や到着時間などの情報を送信します。
GPS受信機は、この情報を使用して衛星との距離を計算します。3つの固定点までの距離がわかっている場合、受信地点の絶対位置を把握することができます。ただし、時刻と位置を正確に見つけるには、少なくとも4つのGPS衛星が必要です。4番目の衛星との距離は、GPS受信機の時計の時間誤差を補償するために使用されます。
GPS受信機は、3つのGPS衛星で距離を計算することによって位置情報を計算し、補正と精度のために4つ目以上の他のGPS衛星との距離を使用します。少なくとも4つのGPS衛星が受信機に見える場合、それはロックまたは修正中(フィックス)であると言われています。GPS受信機は、少なくとも4つの衛星で距離を計算することで、位置情報(緯度と経度)と現在(UTC)タイムスタンプ(時刻情報)を正確に把握することができます。


GPS信号

GPS(Global Positioning System)信号は、GPS衛星が2つのキャリア周波数で信号を送信していることから始まります。L1(1,575.42 MHz)とL2(1,227.60 MHz)と呼ばれるこれらの周波数により、GPS信号は送信されます。この信号には、一般に公開されている信号波であるC/A(Coarse/Acquisition)コードでエンコードされるものと、米軍のみが使用する信号波であるP(Precise)コードでエンコードされるものがあります。
通常の運用状態では、PコードはYコードによって暗号化されてP(Y)コードを作り、有効な暗号解読鍵を持つ解読機だけが解読できるようになっています。C/Aコードには、各衛星およびナビゲーションメッセージの識別コードが含まれています。GPS衛星からのL1信号は、C/Aコードで位相変調され、C/Aコードはデジタル信号で、0と1は1023パターンの連続したデジタルパルスによって符号化されます。
ナビゲーションメッセージは25フレームで構成され、それぞれに300ビットの5つのサブフレームがあります。したがって、各フレームには1500ビット(0と1)があります。各ビットのデータ長は20ミリ秒であり(つまり、ビットのC/A信号の合計パルス幅は20ミリ秒)、それぞれの衛星はC/Aコードに固有の拡散符号を使っているので、同じ周波数で同時に送信しても受信時に分離することが可能になっています。
各衛星は、荒い精度のC/Aコードと高精度のPコードの少なくとも2種類の信号を、直接拡散スペクトラム・コードによって送信しています。Mコードは、軍用のコードであり、GPS信号に対するスプーフィング(なりすまし)攻撃や妨害電波(ジャミング)に対する耐性が強化されたコードです。2021年中に使用が始まるっています。

GPSの使用周波数

GPSの周波数には、L1、L2、L3、L4、L5の5つがあります。

L1 (1575.42MHz): 1つ目の民用信号で、ナビゲーション・メッセージ、C/Aコード、P(Y)コードを送信しています。また、ブロック2R-MよりMコードを乗せた軍用信号もL1周波数上で送信しています。新しいブロック3衛星からは、L1C(L1より高強度)民用信号を混合して送信することが計画されています。


L2 (1227.60MHz):P (Y) コードを送信しており、ブロック2R-M衛星より2つ目の民用信号L2C(L2より高強度)を混合して送信しています。L2に対してもMコードを乗せて軍用に送信しています。

L3 (1381.05MHz):核爆発探知システム (Nuclear Detonation Detection System, NDS) が使用しています。

L4 (1379.913MHz):電離圏層の情報を収集して研究に使用しています。

L5 (1176.45MHz):2009年に打ち上げられたGPS衛星2R-20Mから試験が開始され、本格的な運用は2010年以降のブロック2F衛星の打ち上げ以降になります。L1/L2に比べて10倍のバンド幅を持ち、3dB(2倍)の尖頭電波強度を持つ民用の3つ目の信号です。10倍の長さの拡散コードを使い、信号体系も向上させたことで、より高精度の位置測定が可能になりました。また、人命救助等にも活用される他、航空関係者もこれによって、L2よりL5で通信妨害や混信に対して効果的に対応できるようになりました。

各衛星の軌道

GPS衛星の正確な位置を知るためには、各衛星の軌道データが必要です。この軌道データは、エフェメリスと呼ばれる天体観測図から生成されます。GPS受信機は、これらのデータを使用して自分の現在位置を計算します。
衛星の軌道情報は、アルマナックと呼ばれる年鑑にも収録されています。アルマナックには、GPSネットワーク内のすべての衛星の粗い軌道とステータス情報が含まれており、GPS受信機が現在の時刻と位置を知るために必要な情報を提供します。受信機は、アルマナックから利用可能な衛星を見つけ、それらを使用して現在位置を計算することができます。

GPSの精度

GPSの位置精度は、様々な要因に影響を受けます。一つは、GPS信号が電離層を通過することによって生じる位置誤差です。また、対流圏でのラジオ反射や、建物や地面などからの反射によっても誤差が生じます。さらに、GPS受信機自体のノイズも位置精度に影響します。GPS位置の精度は、DoP(精度の希薄化)という指標で表されます。DoPは、GPS衛星の配置や追跡される衛星の数によって決まります。追跡される衛星が空に等間隔に配置されている場合、DoPの値が小さく、位置精度が高いことを示します。逆に、衛星の間隔が不釣り合いに離れている場合、位置精度が低下します。
GPS受信機は、少なくとも4つの衛星を追跡する必要があります。受信機は、最初のロックや修正中(フィックス)でアルマナック情報を取得し、他のどの衛星を受信できるかを知ることができます。受信機から見える衛星の数が多いほど、信号強度が高く、位置精度が向上します。最大12個の衛星がGPS受信機から見えるようになります。

アシストGPS Assisted GPS(A‐GPS)

アシストGPS(Assisted GPS, A-GPS)は、GPS信号が弱い場合や到達不能な場合に、地上ベースの無線ネットワーク(例えば、携帯電話のモバイルネットワークなど)がGPS受信機とGPS衛星を仲介する方法です。A-GPSは、GPS受信機にアルマナック(年鑑)データと正確な時間を提供し、GPS衛星を追跡できるようにするため、位置精度を向上させることができます。また、地上基地からの計算能力と衛星信号を補完することで、GPS受信機が受信した弱い信号や断片化された衛星データを補償することができます。A-GPSは、携帯電話、カメラ、自動車などで広く使用されており、特に高層ビルが密集した都市部では、建物や構造物からの反射によるマルチパス伝播が問題になるため、非常に有効な技術です。

差動GPS Differential GPS (DGPS)

差動GPS・ディファレンシャルGPS(DGPS)は、GPS衛星の位置情報を受信するために必要な信号の誤差を補正することで、GPSの測位精度を向上させるための技術です。DGPSでは、GPS受信機と地上局を用いて、GPS衛星からの信号を同時に受信し、その信号の誤差を計測して補正します。この方法によって、GPS位置情報の誤差を大幅に低減し、より正確な位置情報を得ることができます。DGPSは、航空機や船舶の航行など、高精度の位置情報が必要な分野で広く使用されています。ただし、地上局が必要であり、GPS受信機に回路やアンテナを取り付ける必要があるため、高価で大型のものが一般的です。DGPSは、WAASやEGNOSなどの拡張システムの一部で使用されることが多く、測位精度を向上させるための重要な技術の一つです。

日本では海上保安庁が2007年にDGPSの運用を開始しました。全国に設置するDGPSの基準局から中波帯の電波により補正データが発信されており、ほぼ全国の海上でDGPS方式での観測が可能です。ただし、海上保安庁では航行船舶の安全を確保することを目的としているため、DGPSの基準局は沿岸部に設置されています。そのため内陸部においてはビルや山などの障害物の影響等で中波帯の電波による補正データを受信できない場合がありました。
その後、GPSをはじめとするGNSSの精度が格段に向上し、役割を終えたとして、2019年に運用を停止しました。しかし、近年では気象衛星ひまわりなどの静止衛星からも補正データを発信しており、その補正データを受信することにより、どこでも1m程度の測位が可能となっています。DGPS方式は工事や測量といった場面でも広く用いられています。


GPSデータ

GPSデータは、GPS受信機が受信した情報をさまざまな形式で通信するものです。標準データ形式には、すべてのGPS受信機で使用されているNMEAというデータ形式があります。NMEAデータは、メッセージ文字列で構成され、コンマで区切られたデータフィールドで構成されています。GPS受信機は、NMEAデータに加えて、独自のデータ形式を使用することもできます。GPSデータは、一定の間隔で送信されるため、更新レートと呼ばれます。多くのGPS受信機は、1秒ごとにGPSデータを更新しますが、現在は5Hzから20Hzの更新レートを持つGPS受信機もあります。GPSデータには、チェックサム・バイトが含まれ、復帰と改行で終了します。


打上げ済みの衛星


ブロックIシリーズ

打ち上げ日:1978-02-221985-10-09 運用終了
GPS衛星の第1世代シリーズ「ナブスター・ブロックI」これらの衛星は、1978年から1985年にかけて11機が打ち上げられ、10機が成功しました。GPSシステムの実用性を検証するための実験衛星で、航法開発衛星(NDS:Navigational Development Satellite)とも呼ばれていました。打ち上げ時の重量は759kgで、設計寿命は5年間でした。2つの周波数帯(L1とL2)を使用して位置情報を送信していましたが、L1が民生用、L2が軍用と使い分けられていました。ブロックIシリーズは既に運用を終了し、新しい衛星に置き換えられています。

ブロックIIシリーズ

打ち上げ日:1989-02-141990-10-01 運用終了
ブロックIIシリーズのGPS衛星は、実用化された最初の衛星です。重量が1660kgと大型化され、寿命も7.5年に延長されました。1989年から1990年にかけて9機が打ち上げられました。ブロックIIシリーズはすでに運用を終了し、新しい衛星に置き換えられています。



BLOCK IIA
BLOCK IIA パブリックドメイン
出典 United States Government

ブロックIIAシリーズ

打ち上げ日:1990-11-261997-11-06 運用終了
ブロックIIAシリーズのGPS衛星は、ブロックIIと基本設計は同じですが、改良され自律制御機能が加えられました。
これまでの衛星は地上からの監視と制御が必要でしたが、ブロックIIAでは最大180日間、地上からの指令なしで自動運用が可能になりました。衛星の重量は1815kgと、ブロックIIから増加しました。
1990年から1997年にかけてブロックIIAシリーズの衛星が19機打ち上げられ、ブロックIIと合わせてGPSの実用システムが完成しました。  
ブロックIIAシリーズもすでに運用を終了し、新しい衛星に置き換えられています。





BLOCK IIR
BLOCK IIR パブリックドメイン
出典 United States Government

ブロックIIRシリーズ

打ち上げ日:1997-01-162004-11-06 現在6機運用中
ブロックIIRシリーズのRは、補充(Replenishment)を意味しています。
これまでのブロックIからIIAまではロックウェル社が製造していましたが、ブロックIIRはGEアストロ社(のちにロッキード・マーチン社に買収)が受注しました。
ブロックIIRは、これまでの型と比較して大きな進歩を遂げた設計で、電子系統が一新され、自律運用期間が延長されました。また、他のブロックIIR衛星からの電波を受信して自身の軌道を決定する機能も加わりました。重量は2030kgと増加しましたが、寿命は10年に延長されました。
1997年7月の初号機の打ち上げは「デルタ(Delta)II」ロケットの爆発事故で失敗しました打ち上げ直後に爆発し、燃える固体推進剤の破片を大量に地表へばらまくという、宇宙開発史上に残る大事故を起こしましたが、その後は順調に打ち上げが進み、2004年までに12機が軌道に就きました。




BLOCK IIR-M
BLOCK IIR-M パブリックドメイン
出典 United States Government

ブロックIIRMシリーズ

打ち上げ日:2005-09-262009-08-17 現在7機運用中
ブロックIIRMシリーズのMは、Military(軍用)を意味しています。
元々のロッキード・マーチン社との契約は21機の製造打ち上げでしたが、1機の失敗と12機の打ち上げ後、残り8機がブロックIIRMに改造されました。ブロックIIRMでは、妨害に強い軍用Mコード信号の送信と、民生用のL2C信号の追加が行われました。2005年から2009年にかけてこの8機が全機無事に打ち上げられ、運用を開始しました。




BLOCK IIF
BLOCK IIF パブリックドメイン
出典 United States Government

ブロックIIFシリーズ

打ち上げ日:2010-05-282016-01-26 現在12機運用中
ブロックIIFのFは後継(Follow on)を意味しています。製造はボーイング社に変更されました。
ブロックIIFでは、これまでのデルタ2ロケットからデルタ4とアトラスVロケットに切り替わりました。従来のデルタ2では衛星側のアポジモーターを使って軌道投入していましたが、新ロケットではロケット側の第2段が直接目的軌道に投入できるため、アポジモーターが不要となりました。
この結果、打ち上げ時の重量が1630kgに軽量化され、寿命も12年に延長されました。また新周波数のL5で高精度な信号送信が可能になり、搭載原子時計の高精度化によって測位精度が向上しました。2010年から2016年の間に12機のブロックIIFが打ち上げられました。




BLOCK III/IIIF
BLOCK III/IIIF パブリックドメイン
出典 United States Government

ブロックIIIシリーズ

打ち上げ日:2018-12-232021-6-17  現在6機運用中
ブロックIIIシリーズの検討は1995年に開始されました。これは24機のブロックIIA衛星が軌道上に揃い、本格的なGPS運用が始まった年です。開発は2008年に着手されました。つまり、ブロックIIIは長年の経験を踏まえて検討・研究された次世代GPS衛星です。
製造はブロックIIRのロッキードマーチン社が担当します。当初はIII-A、B、Cの3型32機の計画でしたが、開発遅延を受け10機のIII-A相当を優先する計画に変更されました。2018年から打ち上げが開始され、2022年までに10機を投入する予定です。
ブロックIIIは重量3680kgと大型化し、強力な測位信号を発信できるようになりました。ノイズ耐性が向上し、受信が容易になりました。寿命は15年に延長され、高精度な測位が可能です。GPSとガリレオの両システムに互換性を持ち、有事の際には特定地域の上空で地域限定のサービス停止もできます。

現在運用されているGPS衛星の一覧

PRN SVN 衛星名 打上日(UTC) 軌 道 測位信号 時 計
1343GPS 2R-21997/7/23MEOL1C/ARB
2051GPS 2R-42000/5/11MEOL1C/ARB
2241GPS 2R-62000/11/10MEOL1C/ARB
1656GPS 2R-82003/1/29MEOL1C/ARB
2145GPS 2R-92003/3/31MEOL1C/ARB
1959GPS 2R-112004/3/20MEOL1C/ARB
261GPS 2R-132004/11/6MEOL1C/ARB
1753GPS 2R-14M2005/9/26MEOL1C/A, L2CRB
3152GPS 2R-15M2006/9/25MEOL1C/A, L2CRB
12 58GPS 2R-16M2006/11/17MEOL1C/A, L2CRB
1555GPS 2R-17M2007/10/17MEOL1C/A, L2CRB
2957GPS 2R-18M2007/12/20MEOL1C/A, L2CRB
748GPS 2R-19M2008/3/15MEOL1C/A, L2CRB
550GPS 2R-21M2009/8/17MEOL1C/A, L2CRB
2562GPS 2F-12010/5/28MEOL1C/A, L2C, L5RB
163GPS 2F-22011/7/16MEOL1C/A, L2C, L5RB
2465GPS 2F-32012/10/4MEOL1C/A, L2C, L5CS
2766GPS 2F-42013/5/15MEOL1C/A, L2C, L5RB
3064GPS 2F-52014/2/21MEOL1C/A, L2C, L5RB
667GPS 2F-62014/5/17MEOL1C/A, L2C, L5RB
968GPS 2F-72014/8/2MEOL1C/A, L2C, L5RB
369GPS 2F-82014/10/29MEOL1C/A, L2C, L5RB
2671GPS 2F-92015/3/25MEOL1C/A, L2C, L5RB
872GPS 2F-102015/7/15MEOL1C/A, L2C, L5CS
1073GPS 2F-112015/10/31MEOL1C/A, L2C, L5RB
3270GPS 2F-122016/2/5MEOL1C/A, L2C, L5RB
474GPS 3-12018/12/23MEOL1C/A, L2C, L5RB
1875GPS 3-22019/8/22MEOL1C/A, L2C, L5RB
2376GPS 3-32020/6/30MEOL1C/A, L2C, L5RB
1477GPS 3-42020/11/5MEOL1C/A, L2C, L5RB
1178GPS 3-52021/6/17MEOL1C/A, L2C, L5RB
2379GPS 3-62023/1/18MEOL1C/A, L2C, L5RB
MEO=中高度軌道
RB=ルビジウム原子時計、CS=セシウム原子時計

参考

GPSコンステレーション |ナビゲーションセンター 
https://www.navcen.uscg.gov/gps-constellation 外部リンク
GPS.gov:宇宙セグメント
https://www.gps.gov/systems/gps/space/#generations 外部リンク
GPS衛星 |ロッキードマーチン 
https://www.lockheedmartin.com/en-us/products/gps.html 外部リンク


GPSのジャミング、スプーフィング・ミーコニングについて詳しくは
アンチドローンシステムの高度な手法 GPSジャミング(Jamming )、スプーフィング(Spoofing)・ミーコニング(Meaconing)

GPSジャミングが影響しているエリアについて詳しくは以下にまとめています。
GPSジャミングマップ(GPS jamming map) 現在のジャミングを地図上に表示

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ノータムとは ノータム【NOTAM ( Notice to Airmen)】:航空従事者への通知 国が管理する航空当局(日本の場合は国土交通省航空局)が、航空従事者に対して発行する情報で、航空機の運航のために必要な情報を提供しています。 「NOTAM」ノータムは、 NO tice T o A ir M en の略称で、日本語に訳すなら「航空従事者へのお知らせ」という事です。航空情報の一つで、飛行場、航空保安施設、運航に関連する業務方式の変更、軍事演習のような危険の存在などについての情報で、書面による航空情報では時宜を得た提供が不可能な(端的にいえば間に合わない)場合にテレタイプ通信回線(CADIN及びAFTN)により配布されるものです。 ノータム【NOTAM (Notice to Air Mission)】:航空任務への通知 アメリカ連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)は2021年12月2日から、NOTAM の頭字語を、Notice to Airmen から Notice to Air Mission に変更しました。この変更は名称によるジェンダー中立性を保つとともに、より広範囲な分野を包括する事を見据えてより正確な名称にするためのもので、小型無人航空システム (sUAS) 、無人気球など、他のいくつかの分野も含まれるためです。 女性もたくさん活躍している事や、無人機には人間が乗っていません(当然ですが)ので、旧名称の「Airmen」はないだろうという事です。したがって、航空任務への通知( Notice to Air Mission )という名称は、より実態に即した正確な名称に変更されたという事になります。 無人航空機のフライトプランのノータムへの掲載について詳しい説明を説明しています。 ノータムへの無人航空機のフライトプランの掲載   もよろしければご覧ください。 NOTAM の歴史 NOTAM は、附属書 15:国際民間航空条約(CICA)の航空情報サービスで指定されたガイドラインに基づいて、政府 機関および空港運営者によって作成および送信されます。1947年4 月4日に発効した CICA の批准に伴い一般的に使用されるようになりました。 航空の業界では、より歴史のある船舶のシステムや名称などの慣習が引き継

人口集中地区(DID)の新しいデータの確認方法(令和4(2022)年6月25日~)

人口集中地区 DID(Densely Inhabited District) ドローンを飛行させる場合の許可が必要な飛行なのかどうかを判断する為の重要な基準になっている統計データの人口集中地区(DID)データが、 2022年6月25日から これまで利用していた平成27年版から、新しい 令和2年版 に、変更になりました。 これまで人口集中地区でなかった場所でも新たに人口集中地区とされている場合やその逆など、変更されている場合があるので注意が必要です。 日本の国勢調査において設定される統計上の地区で、英語の"Densely Inhabited District"を略して「DID」とも呼ばれています。市区町村の区域内で人口密度が4,000人/ km² 以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定されます。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれています。都市的地域と農村的地域の区分けや、狭義の都市としての市街地の規模を示す指標として使用されます。 令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区は、国土地理院が提供している「地理院地図」、および政府統計の総合窓口が提供している、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を利用して確認可能です。 情報の内容はは同じですので使いやすいお好みの物を利用すると良いと思います。 国土地理院 地理院地図    ・  人口集中地区令和2年 (総務省統計局)    e-Stat 政府統計の総合窓口  ・  地図で見る統計 (jSTAT MAP)    国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局) 確認方法 人口集中地区令和2年 (総務省統計局)    国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局)のキャプチャ

二等無人航空機操縦士 学科試験問題 模擬試験

無人航空機操縦者技能証明 学科試験(二等無人航空機操縦士)の学科試験とサンプル問題 新しいライセンス制度と詳細の発表が航空局よりありました。 無人航空機操縦士 学科試験のサンプル問題は下記PDFです。 操縦ライセンス制度 学科試験(二等)サンプル問題 https://www.mlit.go.jp/common/001493224.pdf <実施方法> 全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT  (Computer Based Testing) <形 式> 三肢択一式(一等:70問 二等:50問) <試験時間> 一等:75分 二等:30分 <試験科目> 無人航空機に関する規則、無人航空機のシステム、無人航空機の操縦者及び運航体制、運航上のリスク管理 ※令和6年(2024年)4月14日(日)より、 学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 (第3版)」に準拠します。 と発表されました。 詳細は「 【重要!!】無人航空機操縦士・学科試験の内容が、変わります 」にアップしました。 無人航空機の飛行の安全に関する教則 新しくできた無人航空機操縦者技能証明の制度で「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」の国家試験の学科の教科書の基になるものです。この教則の内容や範囲から試験問題も作られるています。 令和5年(2023年)4月13日に改訂された、 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版) は以下にリンクします。 https://www.mlit.go.jp/common/001602108.pdf 無⼈航空機操縦士の学科試験のための教則について詳しく解説を、以下でご覧ください。 「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第3版) 令和5年(2023年)4月13日【教則学習】 教則の読み上げ動画を作成しました 詳しくは 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第3版 読み上げ動画 二等無人航空機操縦士 学科試験 模擬試験 「二等無人航空機操縦士」のサンプル問題に基づいて模擬テストを作りました。 回答終了後に 「送信」 をクリックして続いて出てくる 「スコアを表示」 をクリックすると採点結果が表示されます。発表によるとCBT式試験というコンピュータを利用した試験になるようですので、似た雰囲気ではないかと思います。メールアドレスの情報は収集しておりませんので気軽

フォネティックコード「アルファー・ブラボー・チャーリー」通話表【教則学習・周辺知識】

アルファベットや数字を無線通信・電話(口頭)で正しく伝える方法 「アルファー」「ブラボー」「チャーリー」このような、暗号のような、呪文のような言葉を航空業界では使用されることが比較的多いので耳にする機会があるのではないでしょうか。これは、フォネティックコード(Phonetic Code)と呼ばれるアルファベットや数字を正しく伝える為の工夫です。スペリングアルファベットとも呼ばれ、アルファベットにどのような言葉を当てはめるかは、国際規格として定められています。ですから、通常は世界どこに行っても通用するものとされています。通信で使用されるだけでなく、共通の知識として前触れなくあられることがありますので、知っておいて損はないと思います。 第一次世界大戦後、音声を利用する双方向無線が開発され、普及する以前、低品質の長距離電話回線での通信を改善するために、電話のスペルアルファベット(Spelling Alphabet)が開発されたました。 アルファベットの「B」ビーと「D」ディーや「M」エムと「N」エヌのように、発音が似ているものを聞き間違えることなく伝えることを目的として、定められたアルファベットの通話表での置き換えます、航空機や船舶などの通信で主に利用されています。また、コールセンターなど対面できない際の電話での通話の間違いを防ぐためにも、利用されているようです。航空業界に関わり合いのある、旅行業界やホテル業界などでも利用されることがあるそうです。 このフォネティックコードを用いると、BとDは「ブラボー」と「デルタ」、MとNは「マイク」と「ノベンバー」になりますので、発音が似ているアルファベットも間違えずに伝えることが出来ます。 フォネティックコード表 アルファベット 読 み A ALFA アルファ B BRAVO ブラボー C CHARLIE チャーリー D DELTA デルタ E ECHO エコー F FOXTROT フォックストロット G GOLF ゴルフ H HOTEL ホテル I INDIA インディア J JULIETT ジュリエット K KILO キロ L LIMA リマ M MIKE マイク N NOVEMBER

「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第3版) 令和5年(2023年)4月13日【教則学習】

無人航空機操縦者技能証明の「一等無⼈航空機操縦士」と「二等無⼈航空機操縦士」の学科試験の土台となる教則 無人航空機の飛行の安全に関する教則が令和5年(2023年)4月13日に改訂 され(第3版)が公開されました。 無⼈航空機操縦士の学科試験のベースになる教則ですが、これまで、学科試験の内容は「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)」に準拠していましたが、 ※令和6年(2024年)4月14日(日)より、 学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 (第3版)」に準拠します。 と発表されました。 詳細は「 【重要!!】無人航空機操縦士・学科試験の内容が、変わります 」にアップしました 教則の読み上げ動画を作成しました 詳しくは 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第3版 読み上げ動画 試験の予約・実施スケジュールなど詳しくは下記、指定試験機関の日本海事協会サイトで確認してください 【重要!!】「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の改訂に伴う無人航空機操縦士試験における学科試験の内容変更についてのお知らせ – 無人航空機操縦士試験案内サイト  令和6年(2024年)4月14日(日)より 以前に受験される方 については引き続き以下でご覧ください。 「無人航空機の飛行の安全に関する教則」 令和4年(2022年)11月2日第2版【教則学習】 令和5年(2023年)4月13日に改訂された(第3版)については以下にリンクします。 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版) https://www.mlit.go.jp/common/001602108.pdf 第2版からの変更履歴【参照用】 https://www.mlit.go.jp/common/001602110.pdf 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)から(第3版)への変更内容 細かな表現の変更とともに、 「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」及び「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド発行)の発行に伴う カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価に関する記述の見直し が行われました。5章と6章が大きく変更されています。変更箇所は下記の項目です。 (第 5 章

無人航空機の飛行形態「カテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ」 と 飛行レベル「レベル1~4」

無人航空機の法改正が続きドローンの規制や、操縦資格など、新しい制度が、作られる過程で、様々な飛行ケースを表す言葉として、「カテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ」や「レベル1、2、3、4」といった用語を目にすることが、多くなりました。「ドローンを「レベル4」で初飛行」とニュースで大きく報じられました。このように「レベル4」がなぜ画期的な事なのか、またそもそもこのレベルとは、何を表しているのか、改めて整理してみたいと思います。余談になりますが、法改正のタイミングで、ニュースなどでも、同じタイミングで取り上げられていたこともあり、全く別なのですが、自動車の自動運転に関する自動運転レベル(こちらはレベル0~5で表される)などと、混同してしまいそうです。 無人航空機の飛行レベル は飛行する条件をリスクに合わせてレベル分けしたカテゴリで、レベルが上がるほど、安全性リスクが増すものです。そのため、飛行レベルの高い飛行を行う場合は、より安全性に配慮した飛行が求められることになります。したがって、自律飛行(自動運転)もリスクを伴うものですが、自動車の自動運転ほどの精密な位置制御が必要ないであろうドローンの場合、他のリスク要因(目視外の飛行)と比較してさほど高くならないという事でしょう。したがって、この飛行レベルは自律飛行(自動運転)について語られている物ではく、自律飛行(自動運転)についての要素は入っていません。きわめて極端に言えば、空には道路もなく、歩行者もいない。(落とさなければいいだけ)という事ができると思います。また、有人航空機では、オートパイロットなど自動操縦の技術がすでにあることも、自動運転のリスク認識が、高くない一つの要因かもしれません。 2023年3月24日に日本国内で初めてレベル4飛行が実施されたニュースが流れましたがこれらのニュースの見出しでも「自動ドローン」や「自動飛行」などの見出しがいくつかありました。確かに、あらかじめルートや高度をプログラムして飛行させれば、自動と言えるのでしょうが、レベル4飛行を報じるのにはやや適切でない印象をうけました。手動だろうが自動だろうがレベル4の飛行はあるわけですし、ましてやドローンが状況判断をして自律飛行しているわけでもないですし。問題にすべきポイントがズレて伝わってしまう可能性があると思います。改めて、 無人航空機の飛行レベルは、自動操縦の

世界の時間とタイムゾーン・JST、UTCとズールータイム【教則学習・周辺知識】

協定世界時(UTC)、日本標準時(JST)、グリニッジ標準時(GMT)、国際原子時(TAI)、世界時(UT) 時間を表現するための基準が複数あります。これは、世界各国で、それぞれに昔から使用されていた、それぞれ文化にも深くかかわる時間の基準があり、これらを一度に切り替えることが難しかったためで、そのため、しばしば混乱が生じる場合がありました。人、物、そして、情報が世界を行きかう事により、徐々に世界中で統一した基準を用いるような流れになりました。また、科学技術の発展によって精度を増した基準の観測・利用方法が進みましたが、やはり全ての時刻を統一することは困難なため、複数の基準が存在しています。 観測データなど扱う場合必ず「何時(いつ)、when」測定した物なのかという情報は測定値とセットで扱われる大切な要素です。この要素が抜けたり、正しくなければ、データの価値がなくなってしまう場合もあります。 気象観測や、航空機の運航、コンピュータの時間など、昔より世界が狭くなってしまった現代、正確な時刻は当然、必要ですが、その時刻が、どの基準で示されているものなのかを意識しなければならいことも増えてきています。 Samuel P. Avery, 129 Fulton St, NY (wood engraving); Centpacrr (Digital image) ,  Public domain, via Wikimedia Commons 世界時が採用される前の「すべての国」の相対的な時間を示す1853年の「ユニバーサルダイヤルプレート」 グリニッジ標準時(GMT) G reenwich  M ean  T ime グリニッジ標準時(GMT)は、ロンドンのグリニッジにある王立天文台の平均太陽時で、真夜中から数えたものです。(真夜中が午前0時という事)過去には正午から計算されるなど、様々な方法で計算されていたようです。そのため、文脈がわからない限り、特定の時刻を指定するために使用することはできません。(時代によって時間が異なることがあります。)GMTという用語は、タイムゾーンUTC+00:00の名称の1つとしても使われ、イギリスの法律では、イギリスにおける市民時間(ローカルタイム)の基準となっています。 英語圏の人々はしばしば、GMTを協定世界時(UTC)の同義語として用いますが

自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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