Noman Flight Research Group 無人航空機(ドローン)の研究会です

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「空飛ぶクルマ」の試験飛行等に係る 航空法の適用関係のガイドライン

2024年1月4日  2024年1月7日 

「空飛ぶクルマ」は「大きいドローン」だけではない

形状や飛行形態や利用技術などから、一緒に語られることが多い「空飛ぶクルマ」と「ドローン(無人航空機)」ですが、航空法上受ける扱いは全く異なります。決定的に異なるのが「人を乗せる」という点で、この点の、ありなしで機体の設計や運航方法など、人を乗せるとなると、全てのことが、安全性の観点から1段上のフェーズになります。現在、「空飛ぶクルマ」を飛行させるためには、機体自体を作る必要があります。(一般に市販されている機体はないということです)機体を作成して、飛行させるためには航空局の許可が必要になります。これらのハードルは無人航空機とは全く別の厳しいものになります。「

「空飛ぶクルマ」の実現に向けて

試験飛行等に係る 航空法の適用関係のガイドラインというものが国から出されています。このガイドラインによると

航空法の適用範囲 国が考える「空飛ぶクルマ」とは

  • 「空飛ぶクルマ」の定義は明確ではありませんが、ドローンを大型化した形状のものを含む、電動であり、自動操縦や垂直離着陸が可能な航空機を想定しています。
    また、航空機が操縦者を乗り組ませないで飛行を行うことのできる装置を有する場合は無操縦者航空機となりますが、この場合、人が乗れるスペースが作られているか否かといった外形上の判断でなく、人が乗って航空の用に供することができる構造、性能等を有するか否かについて最大離陸重量等を考慮した上で判断することになります。
  • 試験飛行等を行う環境が、四方及び上方をネットで囲まれた空間や、屋内である場合には、航空法の規制は及びません。
  • 試験飛行等の内容が、エンジン単体のテストや地上滑走試験等(地上から機体が離れないで行うもの)である場合には、本ガイドラインは適用されません。
  • 機体の開発のために、小型のテスト機体(構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの)を飛行させる場合、航空機ではなく、無人航空機として航空法の規制が適用される場合があります。

空飛ぶクルマ 航空法上の適用範囲

試験飛行等

  • 試験飛行等については、空飛ぶクルマの開発や実証を目的として行うジャンプ飛行やホバリング、場周空域における飛行の他、実際のユースケースを想定して行う飛行、観客への展示を目的とした飛行等が含まれます。
  • 試験飛行等を行う場合にあたっては、プログラム全体を管理する責任者(試験飛行等統括責任者)を置かなければなりません。なお、試験飛行等統括責任者が主担当操縦者(機長/PIC)やエンジニア等を兼務することもできます。

航空機は、原則、空港等から離着陸 し、150m 以上の高度 を飛行することが必要です。一方、試験飛行等を行う場所は、民間企業や公的な研究機関等のグラウンド、公園や海上などの開けた場所が想定されます。また、試験飛行等の内容によっては飛行高度が基準以下となることも考えられます。

こうした場合、所要の安全上必要な措置を講じた上で航空法上の許可を受けることが必要です。さらに、開発中の機体であることを考慮し、試験実施区画に第三者が立ち入らないようにする等の追加の安全対策を講じる必要があります。

機体に関する安全性確認

航空機は、原則、法第 10 条に基づき耐空証明を受けていなければ航空の用に供すること
ができません。そのため、試験飛行等にあたっては、法第 11 条第1項ただし書きの許可を受ける必要があります。
  1. 識別記号
    試験飛行等の際に機体を識別する必要があるため、次世代航空モビリティ企画室に申請の上、識別記号の発行を受けてください。JX+数字4桁からなる番号が付与されます。なお、航空法第 3 条に基づき航空機の登録を受けた機体は、JA+英数字4桁からなる番号が付与されておりますので、識別記号の発行に係る申請は不要となります。
  2. 機体の安全性について
    航空法第 11 条第1項ただし書きの許可に際し、申請手続きは以下のとおりとなります。「自作航空機に関する試験飛行等の許可について」(平成 14年3月29 日制定 国空機第 1357号)に基づき所要の措置がとられているかどうかを確認することとなります。なお、型式証明活動の一環として社内試験の位置づけで総合テストや試験飛行等を行う場合は、「国産航空機の型式証明等について」(平成 17 年9月 30 日制定 国空機第 5029 号)に基づく型式証明活動の中で、「試験飛行等の許可について」(平成 13 年3月 30 日制定 国空機第 369号)に基づき所要の措置がとられているかどうかを確認することとなります。また、その型式の設計について国際民間航空条約の締約国たる外国が型式証明その他の行為をした航空機を用いて試験飛行等を行う場合は、「試験飛行等の許可について」(平成 13 年3月 30 日制定 国空機第 369 号)に基づき所要の措置がとられているかどうかを確認することとなります


これまで、なかったものだけに、機体自体はさることながら、航行のシステムや法整備などなども一体となって進めて行かなければ実現することが出来ないものです。現に20世紀に登場した空飛ぶクルマも社会制度が追い付ていない部分もあって実現できなかったのではないでしょうか。国の方から示されている「空の移動革命に向けたロードマップ」(いわゆる“空飛ぶクルマ”、電動・垂直離着陸型・自動操縦の航空機などによる身近で手軽な空の移動手段の実現が、都市や地方における課題の解決につながる可能性に着目し、官民が取り組んでいくべき技術開発や制度整備等についてまとめたもの。)によると大阪・関西万博を直近の目標として2030年代以降に「日常生活における自由な空の移動という新たな価値提供と社会課題解決の実現」を掲げています。自動車と同様かそれより簡単(もしくは自動で)に運転できる時代が来るなら、これまで、SF作品でしか見たことがない風景が現実のものとなるかもしれません。


空の移動革命に向けたロードマップ

参考:

「空飛ぶクルマ」の試験飛行等に係る 航空法の適用関係のガイドライン[PDF]令和4年3月25日 
「空飛ぶクルマ」の試験飛行等に係る法令・通達早見表(令和4年3月現在)[PDF]
空の移動革命に向けた官民協議会
空の移動革命に向けたロードマップ[PDF]


「空飛ぶクルマ」の歴史については以下にまとめました。

「空飛ぶクルマ」にタイヤがない理由

現代の「空飛ぶクルマ」のについては以下にまとめました。
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自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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