5.4 安全な運航のための意思決定体制(CRM 等の理解)【教則学習(第3版)】
2024年3月28日
2024年3月28日
5. 無人航空機の操縦者及び運航体制 5.4 安全な運航のための
意思決定体制(CRM 等の理解)
教則の本文を黒色に、独自に追記した補足説明や注釈を別色で記載しています。
5.4.1 CRM (Crew Resource Management)
事故等の防止のためには、操縦技量(テクニカルスキル)の向上は有効な対策だが、これだけでは人間の特性や能力の限界(ヒューマンファクター)の観点からヒューマンエラーを完全になくすことはできない。これに対処するためには、全ての利用可能な人的リソース、ハードウェア及び情報を活用した「CRM(Crew Resource Management)」というマネジメント手法が効果的である。
CRMを実現するために「TEM(Threat and Error Management)」という手法が取り入れられている。ここで「スレット(Threat)」は「エラー(Error)」を誘発する要因であり、操縦者だけではスレットやエラーの発生状況を把握することが困難な場合があり、この場合適切な対処がとれず事故等につながるおそれがある。このため、補助者や関係者との相互監視・確認、機体や送信機の警報、飛行空域周辺状況に関する最新情報の入手など、全ての利用可能なリソースを活用し、エラーにつながりかねないスレット(気象の変化、疲労、機材不具合など)の発生状況を早期に把握・管理し、万一エラーが発生しても事故等に至らないように適切に対処しようとする手法である。
CRM を効果的に機能させるための能力は、状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームの体制構築、コミュニケーションといったノンテクニカルスキルである。
CRM [Crew Resource Management]
CRM を効果的に機能させるための能力は、状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームの体制構築、コミュニケーションといったノンテクニカルスキルである。
CRM [Crew Resource Management]
クルー・リソース・マネジメントと呼ばれ、航空分野で安全な運航をするために開発された概念で、安全な運航のために利用可能な全てのリソース(人的資源や情報など)を有効活用するという考え方を言います。開発当初はコクピット・リソース・マネジメント[Cockpit Resource Management]と呼ばれ、航空機のコックピットの内コミュニケーションやリーダーシップ、意思決定などの考え方を示すものでしたが、概念が発展し、コックピット内だけでなく、客室乗務員や、航空の管制、航空機の整備など、その考え方を取り入れて拡張させていきました。それに合わせて現在の呼び方(クルー・リソース・マネジメント)に改められました。略称の「CRM」も、現在ではクルー・リソース・マネジメントの事を示します。
開発の背景にあるのは、人間は(たとえ訓練を受けたベテランパイロットであったとしても)間違いを起こすという事を前提に、この間違いをいかに事故につなげないようにするか。また、例えば、航空機の機長が間違った判断をした場合、それを指摘できるか。また、判断をしなければならない場面で判断をしなかった場合、判断を促すことができるか。これらが出来る空気を作ることと、安全を優先させ、航空機の操縦の最終責任者である機長に対してでも意見を述べることができるようにトレーニングをするものです。
最近では、安全が求められ、瞬間的に判断を求められるような状況が起こりえる現場でも、取り入れられています。(医療機関、鉄道・船舶の運航、火災消火の現場など)
「CRM」の学習
この訓練技法の歴史は1981年からアメリカのユナイテッド航空が最初に導入し、航空業界に広まったって行ったもので、経過するなかで、適用範囲を広げていく工夫がされて来ました。 ノンテクニカルスキルに焦点を当てたものですが、本格的な学習には、リスクマネジメントの知識も必要になるのではないかと思います。これらのテーマを扱った書籍などは500~600ページあるようなものが中心です。(アマゾンで2万円以上していました)日本語で書かれている物も少ないです。インタネット中心で学習を進めて行く際には公開されている情報は、アメリカを中心とする海外の物が多いです。また、現時点で手に入る書籍の場合、公開されている物は少ないと思います。結果的に、最新の情報ではない可能性が高いです。有人の航空機を対象としている物ですので、そのまま無人航空機に適用するのは、難しく、無人航空機に適用させる場合、別な知識も必要になりそうです。ですが、チーム一丸となってリスクを軽減するためにどのようにすればよいかを学ぶことは、医療の現場など航空業界と異なるとこでも取り入れられていることを考えるとかなり有益なことだと思います。
CRMについてより詳しく別ページで解説しています。
「CRM クルー・リソース・マネジメント 【教則学習・詳細】 」
開発の背景にあるのは、人間は(たとえ訓練を受けたベテランパイロットであったとしても)間違いを起こすという事を前提に、この間違いをいかに事故につなげないようにするか。また、例えば、航空機の機長が間違った判断をした場合、それを指摘できるか。また、判断をしなければならない場面で判断をしなかった場合、判断を促すことができるか。これらが出来る空気を作ることと、安全を優先させ、航空機の操縦の最終責任者である機長に対してでも意見を述べることができるようにトレーニングをするものです。
最近では、安全が求められ、瞬間的に判断を求められるような状況が起こりえる現場でも、取り入れられています。(医療機関、鉄道・船舶の運航、火災消火の現場など)
「CRM」の学習
この訓練技法の歴史は1981年からアメリカのユナイテッド航空が最初に導入し、航空業界に広まったって行ったもので、経過するなかで、適用範囲を広げていく工夫がされて来ました。 ノンテクニカルスキルに焦点を当てたものですが、本格的な学習には、リスクマネジメントの知識も必要になるのではないかと思います。これらのテーマを扱った書籍などは500~600ページあるようなものが中心です。(アマゾンで2万円以上していました)日本語で書かれている物も少ないです。インタネット中心で学習を進めて行く際には公開されている情報は、アメリカを中心とする海外の物が多いです。また、現時点で手に入る書籍の場合、公開されている物は少ないと思います。結果的に、最新の情報ではない可能性が高いです。有人の航空機を対象としている物ですので、そのまま無人航空機に適用するのは、難しく、無人航空機に適用させる場合、別な知識も必要になりそうです。ですが、チーム一丸となってリスクを軽減するためにどのようにすればよいかを学ぶことは、医療の現場など航空業界と異なるとこでも取り入れられていることを考えるとかなり有益なことだと思います。
CRMについてより詳しく別ページで解説しています。
「CRM クルー・リソース・マネジメント 【教則学習・詳細】 」
ノンテクニカルスキル[Non-Technical Skill]
業務を遂行する際に必要な専門的な技術的スキル(テクニカルスキル)を補い、業務を安全かつ効率的に実施するために必要とされる認知的、社会的スキルの事を言います。「状況認識」「コミュニケーション」「リーダーシップ」「疲労管理」など、業務と直接関係ないように見えるスキルですが、ヒューマンエラー発生を避け、安全を確保していくために現場スタッフが持つべきスキルとして、CRMでも重視されているものです。
5.4.2 安全な運航のための補助者の必要性、役割及び配置
無人航空機を飛行させる操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立ち入り管理などは補助者が主として行う必要がある。補助者は、離着陸場所や飛行経路周辺の地上や空域の安全確認行うほか、飛行前の事前確認で明らかになった障害物等の対処について手順に従い作業を行う。
操縦者とのコミュニケーションは予め決められた手段を用いて行い、危険予知の警告や緊急着陸地点への誘導、着陸後の機体回収や安全点検の補助も行う。
無人航空機の飛行経路や範囲に応じ補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく必要がある。
補助者の重要性 安全の確認・確保のサポートには様々なものがあります。
実際の飛行中には、様々な状況(予想していない様な)に出くわすことが、しばしばあります。その状況に対応しながら、フライトを安全に行う事は、非常に難しく危険な事でもあると思います。このような危険な状況を避ける為、安全確保のサポートをしてくれる補助者が重要で、必要ではないかと考えます。
実際によくあることですが、飛行操作中、お散歩中の地元の方に声をかけられます。(案内や注意書きなどをしたものを掲示していたとしてもです。。。)大半は好意的なもので、「ドローン初めて見た」とか「値段どの位するの?」とか「どの位、遠くまで行けるの?」などなど他愛のない話なのですが、この様な受け答えをしながら、飛行操作をすることを想像してみてください。ここで、安全のため話しかけるな、仕事の邪魔するな、的な態度で対応してしまいますと、無用なトラブルを招く可能性があるだけでなく「ドローンが生活の一部に入り込んでいく際の障害」になってしまいかねないと思います。最終的に、ドローンを飛ばしにくい世の中になってしまうのではないでしょうか。折角、ドローンに興味(野次馬的にでも)を持っていただいてるのですから、できるだけ丁寧に対応したいものです。このような時に、補助者の方に対応をお願いしましょう。事前に打ち合わせをし、場合によっては許可承認の書類を見せて説明するなど、ケースによって対応方法を決めて打ち合わせをしておくのがおススメです。背中に視線を感じながらフライトをさせるのも、安全にかかわるかどうかわかりませんが、私は、リスクの一つではないかと考えています。
無人航空機の飛行経路や範囲に応じ補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく必要がある。
補助者の重要性 安全の確認・確保のサポートには様々なものがあります。
実際の飛行中には、様々な状況(予想していない様な)に出くわすことが、しばしばあります。その状況に対応しながら、フライトを安全に行う事は、非常に難しく危険な事でもあると思います。このような危険な状況を避ける為、安全確保のサポートをしてくれる補助者が重要で、必要ではないかと考えます。
実際によくあることですが、飛行操作中、お散歩中の地元の方に声をかけられます。(案内や注意書きなどをしたものを掲示していたとしてもです。。。)大半は好意的なもので、「ドローン初めて見た」とか「値段どの位するの?」とか「どの位、遠くまで行けるの?」などなど他愛のない話なのですが、この様な受け答えをしながら、飛行操作をすることを想像してみてください。ここで、安全のため話しかけるな、仕事の邪魔するな、的な態度で対応してしまいますと、無用なトラブルを招く可能性があるだけでなく「ドローンが生活の一部に入り込んでいく際の障害」になってしまいかねないと思います。最終的に、ドローンを飛ばしにくい世の中になってしまうのではないでしょうか。折角、ドローンに興味(野次馬的にでも)を持っていただいてるのですから、できるだけ丁寧に対応したいものです。このような時に、補助者の方に対応をお願いしましょう。事前に打ち合わせをし、場合によっては許可承認の書類を見せて説明するなど、ケースによって対応方法を決めて打ち合わせをしておくのがおススメです。背中に視線を感じながらフライトをさせるのも、安全にかかわるかどうかわかりませんが、私は、リスクの一つではないかと考えています。
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