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免許不要の無線局 と ISMバンド(Industrial Scientific and Medical Band)

2024年7月29日  2024年8月2日 
無人航空機に関連のある無線として、無線LANや、ラジコンの無線操縦装置(プロポ)などが使用している2.4GHz帯の周波数の電波が挙げられると思いますが、この周波数帯は、ISMバンドと呼ばれる周波数帯を使用しています。

ISMバンド(Industrial, Scientific and Medical Band)

電気通信以外の「工業(Industry)」、「科学(Science)」、「医療(Medical)」に関連する用途のために割り当てられた無線通信の周波数帯です。国際電気通信連合(ITU)によって国際的に確保されたこの周波数帯で使われる機器を、一般的にISM機器と呼びます。

主に電子レンジ、医療機器、RF加熱装置などの強力な電波を発する機器で使用されるISMバンドは、本来、混信や干渉の可能性が高い周波数帯です。しかし、近年ではWi-Fi、Bluetooth、コードレス電話、ガレージのシャッターリモコン、ベビーモニターなどの短距離、低電力の無線通信システムでの使用が増加しています。

一見すると、混信や干渉の可能性が高い周波数帯をわざわざ利用する理由がわかりにくいかもしれません。しかし、この選択には重要な意味があります。ISMバンドを使用する通信機器は、他のISM機器からの干渉を受けても規制上の保護を受けられない代わりに、通常であれば必要となる無線局開設の免許を受けずに使用できるという大きな利点があるのです。この特例により、一般消費者でも容易にこれらの機器を利用できるようになっています。
これらの通信機器はISMバンドを使用していても、厳密にはISM機器とはみなされません。ISM機器は主に強力な電波を発する工業、科学、医療用途の機器のみを指します。

干渉の問題に対処するため、ISMバンドを使用する通信機器は周波数ホッピングやスペクトラム拡散などの技術を採用し、できるだけ干渉の影響を受けないよう工夫されています。この技術的な対応と、免許不要で利用できるという規制上の利点が相まって、ISMバンドは新しい無線通信技術の発展の場となっています。

ISMバンドを使用する通信機器に人気が集まる理由

無線局を開設し運用するためには、原則として「無線局免許」が必要です。ただし、その種類によって要件が異なりまが、通常の無線局の場合、免許には有効期限があり、期限切れ前に再免許申請が必要です。また、開設時には落成検査が、一定期間ごとに定期検査が必要な無線局もあります。年に一度、電波利用料もかかります。さらに、無線従事者(有資格者)による運用が必要な無線局も存在します。
一方、簡易な申請や運用が認められているものもあります。また、無線局の免許に代えて総務大臣の登録を受ける制度があり、登録のみで運用が認められる無線局もあります。

いずれにしても、無線局の開設・運用には人員的、事務的、金銭的に多大なコストがかかることがわかります。そのため、これらの手続きや要件が不要な、免許不要の無線局が人気を集めている状況が理解できます。

ISM機器からの干渉を受けても規制上の保護を受けられない意味

無線局の混信や干渉について

電波法第五十六条では、無線局の混信や干渉について以下のように規定されています。

(混信等の防止)
第五十六条 無線局は、他の無線局又は電波天文業務(宇宙から発する電波の受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう。)の用に供する受信設備その他の郵政省令で定める受信設備(無線局のものを除く。)で郵政大臣が指定するものにその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。但し、第五十二条第一号から第四号までに掲げる通信については、この限りでない。
2 前項に規定する指定は、当該指定に係る受信設備を設置している者の申請により行なう。
3 郵政大臣は、第一項に規定する指定をしたときは、当該指定に係る受信設備について、郵政省令で定める事項を公示しなければならない。
4 前二項に規定するもののほか、指定の申請の手続、指定の基準、指定の取消しその他の第一項に規定する指定に関し必要な事項は、郵政省令で定める。

つまり「無線局は、他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。」という事です。
この規定により、免許を受けた無線局同士の場合、混信を受けた側が与えた側に対策を求めるなど、調整の余地があります。実際、無線局の免許取得時には混信を避けるための検討が行われた上で周波数などが指定されるため、免許を受けた無線局同士の混信問題は比較的起こりにくいとされています。
一方、ISM機器からの混信や干渉の場合は状況が異なります。ISM機器の使用は「規制上の保護を受けられない条件」で行われているため、影響を受けた側が対策を求めることができません。つまり、混信や干渉の問題に対処するのは影響を受けた側の責任となります。

この状況に対応するため、ISMバンドを使用する通信機器は周波数ホッピングやスペクトラム拡散などの技術を採用し、できるだけ混信や干渉の影響を受けないよう工夫されています。この技術的な対応の必要性が、新しい無線通信技術を生み出す背景となるインセンティブとなっています。
逆に、ISM機器に対して無線通信機器が影響を与える場合についても考慮する必要があるでしょうか。例えば、2.4GHzを使用するISM機器である電子レンジの周辺で2.4GHz帯の無線LANを使用しても、電子レンジの温め時間が長くなったり短くなったりすることはありません。ISM機器は必ずしもISMバンドの無線受信の機能は必要ではないですし、搭載されていません。つまり、ISM機器にとっては混信や干渉を受ける機能そのものが存在しないということです。

ISMバンドの定義

ISMバンドは、国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)無線通信規則(第5条)の脚注5.138、5.150、および5.280で定義されています。これらのセクションで指定された周波数帯の各国での使用は、国内の無線規制の違いにより異なる場合があります。ISMバンドを使用する通信デバイスはISM機器からのあらゆる干渉を許容しなければならないため、無免許の運用はこれらの周波数帯での使用が一般的に許可されています。無免許の運用は通常、他のデバイスからの干渉を許容する必要があるためです。ISMバンドは無免許および免許された運用と割り当てを共有していますが、有害な干渉の可能性が高いため、周波数帯の免許された使用は通常少ないです。米国では、ISMバンドの使用は連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)規則のパート18で管理されており、一方でパート15には無免許の通信デバイスの規則が含まれており、ISM周波数を共有するものも含まれます。ヨーロッパでは、ETSIが短距離デバイスの使用基準を開発しており、その一部はISMバンドで運用されます。ISMバンドの使用は、CEPTのメンバーである国内の電波規制当局によって規制されています。

CEPT 欧州郵便電気通信主管庁会議 (European Conference of Postal and Telecommunications Administrations ) は、1959年6月26日に設立された、ヨーロッパの電気通信および郵便の標準化組織です。「CEPT」はフランス語表記 (Conférence européenne des administrations des postes et des télécommunications) の略称です。

ETSI(エッツィ) 欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standards Institute, )は欧州連合が後援する、情報通信技術に世界的に適用可能な標準を作成しているヨーロッパの電気通信の全般にかかわる標準化組織です。

周波数割り当て

無線周波数の割り当ては、ITU無線通信規則(2020年版)の第5条に従って割り当てられています。
ITU無線通信規則(2020年版)
The Radio Regulations, Edition of 2020, 
は以下でダウンロードしてみることが出来ます。
Radio Regulations (itu.int)
https://www.itu.int/pub/R-REG-RR-2020

RR1-2 第I章 - 用語と技術的特性  RR1-2 CHAPTER I  Terminology and technical characteristics
1.15 産業、科学および医療(ISM)用途(無線周波数エネルギーの):通信分野の用途を除く、産業、科学、医療、家庭またはそれに類する目的のために、局所的に無線周波数エネルギーを発生および使用するように設計された機器または装置の運用。

第II章 - 周波数 RR5-23  CHAPTER II  Frequencies RR5-23
5.138 以下の帯域:
6765-6795 kHz(中心周波数6780 kHz)、
433.05-434.79 MHz(中心周波数433.92 MHz)(5.280に記載されている国を除く第1地域)、
61-61.5 GHz(中心周波数61.25 GHz)、
122-123 GHz(中心周波数122.5 GHz)、
244-246 GHz(中心周波数245 GHz)
は産業、科学および医療(ISM)用途に指定されている。これらの周波数帯のISM用途での使用は、影響を受ける可能性のある他の主管庁の無線通信業務と合意の上、関係主管庁による特別な許可を条件とする。この規定を適用する際、主管庁は最新の関連ITU-R勧告を十分に考慮しなければならない。

第II章 - 周波数 RR5-29  CHAPTER II  Frequencies RR5-29
5.150 以下の帯域:
13553-13567 kHz(中心周波数13560 kHz)、
26957-27283 kHz(中心周波数27120 kHz)、
40.66-40.70 MHz(中心周波数40.68 MHz)、
902-928 MHz(第2地域、中心周波数915 MHz)、
2400-2500 MHz(中心周波数2450 MHz)、
5725-5875 MHz(中心周波数5800 MHz)、
24-24.25 GHz(中心周波数24.125 GHz)
も産業、科学および医療(ISM)用途に指定されている。これらの帯域内で運用される無線通信業務は、これらの用途によって引き起こされる可能性のある有害な干渉を受け入れなければならない。これらの帯域で運用されるISM機器は15.13の規定に従う。

RR5-56 第II章 - 周波数  RR5-56 CHAPTER II Frequencies
5.280 ドイツ、オーストリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、リヒテンシュタイン、北マケドニア、モンテネグロ、ポルトガル、セルビア、スロベニアおよびスイスでは、周波数帯433.05-434.79 MHz(中心周波数433.92 MHz)が産業、科学および医療(ISM)用途に指定されている。これらの国のこの周波数帯内で運用される無線通信業務は、これらの用途によって引き起こされる可能性のある有害な干渉を受け入れなければならない。この周波数帯で運用されるISM機器は15.13の規定に従う。(WRC-19)

RR15-2 第IV章 - 干渉  RR15-2 CHAPTER IV  Interferences
セクションIII - 産業、科学および医療用途に使用される機器からの干渉
15.13 § 9 主管庁は、産業、科学および医療用途に使用される機器からの放射が最小限であり、この機器の使用のために指定された帯域外では、そのような機器からの放射が無線通信業務、特にこれらの規則1の規定に従って運用される無線航行または他の安全業務に有害な干渉を引き起こさないレベルであることを確保するために、実行可能かつ必要なあらゆる措置を講じなければならない。


ITUのISMバンド周波数割り当て
周波数範囲 中心周波数 帯域幅 タイプ 利用の可能性 許可されたユーザ
6.765 MHz -
6.795 MHz
6.78 MHz 30 kHz A 現地での承認が必要 固定サービスとモバイルサービス
13.553 MHz -
13.567 MHz
13.56 MHz 14 kHz B Worldwide 航空移動(R)サービスを除く固定および移動サービス
26.957 MHz -
27.283 MHz
27.12 MHz 326 kHz B Worldwide 航空移動サービス、CBラジオを除く固定および移動サービス
40.66 MHz -
40.7 MHz
40.68 MHz 40 kHz B Worldwide 固定、移動サービスおよび地球探査衛星サービス
433.05 MHz -
434.79 MHz
433.92 MHz 1.74 MHz A 地域1(Region 1)のみ、現地での承認が必要 アマチュア業務および無線標定業務については、脚注5.280の規定が追加で適用される。
902 MHz -
928 MHz
915 MHz 26 MHz B 地域2(Region 2)のみ(一部例外あり) 固定、移動(航空移動および無線標定サービスを除く);地域2ではアマチュアサービスも追加
2.4 GHz -
2.5 GHz
2.45 GHz 100 MHz B Worldwide 固定、移動、無線測位、アマチュアおよびアマチュア衛星サービス
5.725 GHz -
5.875 GHz
5.8 GHz 150 MHz B Worldwide 固定衛星、無線測位、移動、アマチュア、アマチュア衛星サービス
24 GHz -
24.25 GHz
24.125 GHz 250 MHz B Worldwideアマチュア、アマチュア衛星、無線測位および地球探査衛星サービス(アクティブ)
61 GHz -
61.5 GHz
61.25 GHz 500 MHz A 現地での承認が必要固定、衛星間、移動および無線測位サービス
122 GHz -
123 GHz
122.5 GHz 1 GHz A 現地での承認が必要 地球探査衛星(パッシブ)、固定、衛星間、移動、宇宙研究(パッシブ)およびアマチュアサービス
244 GHz -
246 GHz
245 GHz 2 GHz A 現地での承認が必要無線測位、電波天文学、アマチュアおよびアマチュア衛星サービス

タイプA(脚注5.138)= これらの周波数帯はISM応用のために指定されています。これらの周波数帯のISM応用での使用は、関係する管理機関による特別な許可を必要とし、影響を受ける可能性のある他の管理機関の無線通信サービスとの合意が必要です。この規定を適用する際、管理機関は最新の関連するITU-R勧告を十分配慮する必要があります。

タイプB(脚注5.150)= これらの周波数帯もISM応用のために指定されています。これらの帯域内で運用される無線通信サービスは、これらの応用によって引き起こされる可能性のある有害な干渉を受け入れなければなりません。

ITU-RR(脚注5.280)= ドイツ、オーストリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、北マケドニア、リヒテンシュタイン、モンテネグロ、ポルトガル、セルビア、スロベニア、スイスでは、433.05–434.79 MHz帯(中心周波数433.92 MHz)がISM機器のために指定されています。この帯域内で運用されるこれらの国の無線通信サービスは、これらの利用によって引き起こされる可能性のある有害な干渉を受け入れなければなりません。

ISM機器

ISM(産業、科学、医療)機器とは、通信以外の目的で無線周波数エネルギーを局所的に発生させ使用する機器や装置の操作を指します。これは国際電気通信連合(ITU)によって、ITU無線通信規則(ITU-RR)の第1.15条で、「通信分野の応用を除く、産業、科学、医療、家庭またはこれに類する目的で、無線周波数エネルギーを局所的に発生させ使用するように設計された機器または装置の操作」と定義されています。
元々のISM仕様では、これらのバンドが主に加熱などの非通信目的で使用されることを想定していました。これらのバンドは今でもこれらの目的で広く使用されています。多くの人にとって、最も一般的に遭遇するISMデバイスは、2.45GHzで動作する家庭用電子レンジで、マイクロ波を使用して食品を調理します。産業用加熱は別の大きな応用分野です。例えば、誘導加熱、マイクロ波熱処理、プラスチック軟化、プラスチック溶接プロセスなどがあります。
当初、ISMバンドは主に加熱などの非通信目的での使用を想定していました。現在でも、家庭用電子レンジや産業用加熱装置、医療用ジアテルミー機器など、多くの分野で広く利用されています。例えば、2.45GHzで動作する電子レンジは多くの人々が日常的に使用するISM機器の一つです。産業用加熱は工場などで利用される応用分野で、誘導加熱、マイクロ波熱処理装置、プラスチック軟化装置、プラスチック溶融・接着機器の高周波ミシンなどがあります。医療現場では、短波およびマイクロ波ジアテルミー機器が、リラックスや治癒のために身体に深部加熱をするために使用されています。最近では、ハイパーサーミア療法がマイクロ波を使用して組織を加熱し、がん細胞を殺す方法として採用しています。

一部の無電極ランプ(無電極放電灯)はISM機器で、高周波電流を使用して蛍光管を励起します。マイクロ波駆動硫黄ランプは市販のプラズマランプで、2.45GHzのマグネトロンを使用して硫黄を明るく光るプラズマに加熱するようなものなどがあります。
宇宙工学の分野では、イオンエンジンが重要な推進装置として注目されています。イオンエンジンは推進剤をイオン化し、それを加速して推力を得る高効率の推進システムです。イオンエンジンには主に静電加速型と電磁加速型があります。
静電加速型イオンエンジンは、プラズマを生成し、静電場を使用してイオンを加速します。一般的な例としてグリッドイオンエンジンがあり、これは2枚ないし3枚からなる多孔状の電極に1000V程度の高電圧を印加させてイオンを加速します。プラズマ生成には様々な方法が用いられ、アーク放電やマイクロ波などが含まれます。
一方、電磁加速型イオンエンジンの一種として、ヘリコン二重層イオンスラスターがあります。これは13.56MHzの高周波を使用してガスを電離し、プラズマを生成します。従来の静電加速型とは異なり、電磁場の相互作用を利用してイオンを加速する試作段階の宇宙船推進エンジンです。このエンジンは電極グリッドを必要としないため、スパッタリング(イオン衝突による損耗)の問題が軽減され、潜在的に長寿命化や高効率化が期待されています。
その他にも、宇宙の太陽光発電衛星で発電した電力を地上へ伝送することを想定して、研究されている長距離ワイヤレス給電システムは、高出力送信機とレクテナ(整流アンテナの略称で、直接的に直流電力に変換する装置)を使用して遠隔地に電力を送る方法が提案されています。例えば、NASAは太陽光発電衛星で収集したエネルギーを地上に送り返すために、2.45GHzでのマイクロ波電力伝送を研究しています。
このように、ISMバンドは当初の想定を大きく超えて、現代の無線技術や産業、科学、医療分野で幅広く活用されており、私たちの生活に欠かせない存在となっています。

一般的な 非ISM機器

近年の無線周波数の混雑増加や技術の進歩により、ISMバンドは短距離通信システムや無線デバイスにも広く使用されるようになりました。これらは「非ISM」用途と呼ばれることもありますが、それは元々想定されていた「産業」「科学」「医療」の応用分野に該当しないためです。現在ではこれらのバンドの最大の用途となっています。
最も顕著な例はWi-Fiです。IEEE 802.11無線ネットワークプロトコルはISMバンドを使用しており、ほぼすべてのノートPC、タブレット、スマートフォンに搭載されています。
その他にも、Bluetoothは2.4 GHzバンドを使用する別のネットワーキング技術ですが、同じISMバンドを使用しているため干渉の可能性がときおり問題にされる場合もあります。近距離無線通信(NFC)デバイス(近接カードやコンタクトレススマートカードなど)は、より低い周波数の13および27MHz ISMバンドを使用していますし、無線周波数識別(RFID)機器にも広く使用されており、特に13.56 MHz帯は生体認証パスポートや非接触スマートカードなどのISO/IEC 14443準拠の規格を利用したシステムで一般的に使用されています。
ISMバンドを使用するその他の短距離デバイスには、ワイヤレスマイク、ベビーモニター、ガレージシャッタースイッチ、ワイヤレスドアチャイム、車両用キーレスエントリーシステム、UAV(ドローン)やラジコンの無線制御チャンネル、ワイヤレス監視システム、商品用RFIDシステム、野生動物追跡システムなどがあります。

アメリカでは、47 CFR Part 15.5に基づき、低電力通信デバイスはその周波数帯の許可されたユーザーからの干渉を受け入れなければならず、Part 15デバイスは許可されたユーザーに干渉を与えてはいけないという規制があります。915MHzバンドの使用は、主に第2地域(南北アメリカ)に限られており、オーストラリアやイスラエルなど特定の国を除き、他の地域では使用が制限されています。特に携帯電話にGSM-900バンドを使用している国では使用すべきではありません。ISMバンドは、無線周波数識別(RFID)アプリケーションにも広く使用されており、最も一般的に使用されているバンドは、生体認証パスポートや非接触スマートICカードなどで使用されているISO/IEC 14443準拠のシステムで使用されている13.56 MHzバンドです。

タイトル47 CFR パート97(47 CFR 97)
米国連邦規則集(CFR)のタイトル47の一部で、パート97は連邦通信委員会(FCC)の規則と規制のセクションで、アマチュア無線とアマチュア無線局の運用に関するものです。

タイトル47 CFR パート15(47 CFR 15)
米国連邦規則集(CFR)タイトル47のパート15は、免許不要な送信に関する連邦通信委員会(FCC)の規則と規制の中でよく引用される部分で、不要な電波放射から免許不要の低出力の放送まで、あらゆるものを規制しています。米国内で販売されるほぼすべての電子機器は意図しない電波を放射しており、米国市場で広告または販売される前に、パート15に準拠しているかどうかの審査を受けるよう定められています。

CFR 連邦規則集(the Code of Federal Regulations)とは、アメリカ合衆国の連邦政府により連邦官報の中で公布される、一般的かつ永続的な規則・規定を集成した法典です。アメリカ合衆国の行政法として位置づけられることもあります。

eCFR :: 47 CFR 15.5 -- General conditions of operation.
https://www.ecfr.gov/current/title-47/chapter-I/subchapter-A/part-15/subpart-A/section-15.5

eCFR :: 47 CFR Part 18 -- Industrial, Scientific, and Medical Equipment
https://www.ecfr.gov/current/title-47/chapter-I/subchapter-A/part-18

無線ネットワークデバイスでは、Wi-Fiが2450MHzと5800MHz帯を、Bluetoothが2450 MHz帯を使用しています。また、ZigbeeなどのIEEE 802.15.4準拠のパーソナルエリアネットワークは915MHzと2450MHz帯を利用しています。
その他の応用例として、ラジコンのコントローラなどの無線制御機器(2.4 GHz帯)、Worldwide Digital Cordless Telecommunications(WDCT)技術、GoogleのProject Loon(2.4および5.8 GHz帯)などがあります。
また、アマチュア無線運用者も47 CFR Part 97に従い、一部のISMバンドをアマチュアテレビ(ATV)を含む通信に使用しています。
このように、ISMバンドは様々な分野で広く活用されていますが、各国の規制や周波数帯の使用状況が異なるため、使用には注意が必要です。また、ISMバンド外の周波数帯を使用する技術(DECT電話や超広帯域LAN)もありますが、これらは時々誤ってISMバンドと呼ばれることがあります。

ヨーロッパでは、ISMバンドの使用はCEPTの技術的推奨事項とETSIの基準に基づく短距離デバイス規制でカバーされています。多くのヨーロッパ諸国では、PMR446に加えてLPD433の周波数帯が無許可無免許の音声通信に許可されています。

PMR446(プライベートモバイルラジオ、446 MHz) (Private Mobile Radio, 446 MHz) は、UHF無線周波数帯域の免許不要の規格で、欧州連合のほとんどの国で業務用およびホビー用に利用可能です。

PMR446は通常、小規模な敷地内、同じ建物内、および見通し線内の屋外活動に使用されます。使用される機器は、一般消費者向けから業務用品質のトランシーバー(アメリカとカナダのFRS/GMRSで使用されているものに類似しています)まで多岐にわたります。周囲の地形に応じて、通信範囲は都市部では数百メートル、平坦な田園地帯では数キロメートル、高地からは数十キロメートルと変化します。
歴史的にはアナログFMが使用されてきましたが、ETSIが設計したデジタルプライベートモバイルラジオ(dPMR446)およびデジタルモバイルラジオ(DMR Tier 1)規格に準拠した無線機では、デジタル音声モードも利用可能になっています。
当初、アナログモードでは8チャンネルが利用可能でしたが、現在では16チャンネルに追加されています。一般的にPMR446はレクリエーションと業務の両方に使用されており、さらにアマチュア無線局や無線愛好家によって免許不要の実験用バンドとしても利用されています。

LPD433(低電力デバイス433 MHz)LPD433 (low power device 433 MHz) は、一部の地域で免許不要の通信機器の運用が許可されているUHF帯域です。この周波数はITU地域1のISM帯433.050 MHzから434.790 MHzに対応しています。使用される周波数は、現在、アメリカ合衆国および世界のほとんどの国では、アマチュア無線用430MHz帯の中に含まれています。
LPDのトランシーバー無線機は、ヨーロッパのほとんどの地域で、短距離デバイス規制の一部として、アナログ周波数変調(FM)を使用した免許不要の音声通信用に認可されています。チャンネル間隔は25 kHzで、合計69チャンネルがあります。一部の国では、LPD機器は一体型で取り外し不可能なアンテナを使用し、最大法定出力は10mWに制限されています。
LPD帯域での音声通信は、8チャンネル(現在は16チャンネル)のPMR446チャンネルの負荷を、より短い範囲(1 km未満)で軽減するために導入されました。LPDは、車両のキーレスエントリーデバイス、ガレージや門扉の開閉装置、一部の屋外用家庭気象観測機器製品にも使用されています。
周波数は異なりますが日本でも似たようなシステムとして免許不要で使用されている特定小電力トランシーバがあります。

ISMバンドの

ISMバンドは、1947年にアトランティックシティで開催されたITU国際電気通信会議で初めて制定されました。この会議でアメリカ代表団は、当時、新しかったマイクロ波加熱式の機器に対応するため、現在一般的な2.4 GHzバンドを含む複数の周波数帯を提案しました。

実は、この提案の背景には世界にISM機器を広げて行くための準備の側面がありました。1947年8月9日の会議報告によると、アメリカ代表は2450MHz帯をISMに割り当てるよう要請しました。その理由として、アメリカにはこの周波数で動作するジアテルミー機器と電子調理器が存在し、将来的にこれらが大西洋横断船や飛行機に設置される可能性があることを挙げています。
ISMバンドは通信目的でも使用されてきましたが、非通信源からの干渉を受ける可能性がありました。例えば、アメリカでは1958年に、ISMにも割り当てられている周波数帯でクラスDのCB無線が運用を開始しています。
ISMバンドの利用に大きな変化をもたらしたのは、1985年5月9日のFCCによる規制変更でした。この変更により、ISMバンドでの無免許スペクトラム拡散が初めて可能になりました。この規制変更は、1980年にFCC職員のマイケル・マーカスによって提案され、5年間の検討期間を経て採用されました。当初は、主要な機器メーカーや多くの無線システム運用者から反対の声もありましたが、最終的に承認されました。
この規制変更を皮切りに、世界中の多くの国々が同様の規制を開発し、スペクトラム拡散技術の民間利用が可能になりました。

ワイヤレスLANの規格や歴史、Wi‐Fi世の関連性や由来など詳しくは以下にまとめました。
無線LAN(Wireless LAN)の IEEE 802.11 と Wi‐Fi

ITU地域( ITU リージョン)

国際電気通信連合(ITU)は、その国際無線通信規則(ITU-RR)において、世界の無線周波数を管理する目的で世界を3つのITU地域に分割しています。各地域には独自の周波数割り当てがあり、これが地域を定義する主な理由となっています。

境 界
第一地域(リージョン1)- ヨーロッパ・アフリカ・旧ソ連・モンゴル国・ペルシャ湾の西側の中東(イラクを含む)で構成されています。西側の境界はB線によって定義されています。
第二地域(リージョン2)- アメリカ大陸(グリーンランドおよびハワイ州など東太平洋の島嶼を含む)で構成されています。東側の境界はB線によって定義されています。
第三地域(リージョン3)- イラン以東のアジア(旧ソ連を除く)・オセアニアの大部分を含んでいます。

B線は、北極から経度10°西(グリニッジ基準)に沿って緯度72°北との交点まで走り、そこから大円弧に沿って経度50°西と緯度40°北の交点まで、さらに大円弧に沿って経度20°西と緯度10°南の交点まで、そして経度20°西に沿って南極まで走る仮想の線です。


領 域
世界の各地域は、おおむね以下の領域を含む。

厳密には、無線通信規則の5.2から5.6において以下のように定められている。

第一地域 - 東はA線、西はB線によって区画される地域。ただし、この区画線内にあるイランを除き、区画線外にあるアルメニア・アゼルバイジャン・グルジア・カザフスタン・モンゴル・ウズベキスタン・キルギスタン・ロシア・タジキスタン・トルクメニスタン・トルコ・ウクライナ、およびロシアの北方の海域を含む。
第二地域 - 東はB線、西はC線によって区画される地域。
第三地域 - 東はC線、西はA線によって区画される地域。ただし、第一地域に含まれる地域を除き、この区画線外にあるイランの領域を含む。
A線・B線・C線は、無線通信規則の5.7から5.9において以下のように定められている。

A線 - 北極点を起点として、東経40度線に沿って北緯40度線まで、次いで大円に沿って東経60度線と北回帰線との交点まで、次いで東経60度線に沿って南極点まで。
B線 - 北極点を起点として、西経10度線に沿って北緯72度線との交点まで、次いで大円に沿って西経50度線・北緯40度線の交点まで、次いで大円に沿って西経20度線・南緯10度線の交点まで、次いで西経20度線に沿って南極点まで。
C線 - 北極点を起点として、大円に沿って北緯65度30分線とベーリング海峡の国境との交点まで、次いで大円に沿って東経165度線と北緯50度線との交点まで、次いで大円に沿って西経170度線と北緯10度線との交点まで、次いで北緯10度線に沿って西経120度線との交点まで、次いで西経120度線に沿って南極点まで。


国際電気通信連合の無線通信規則第5条に規定される国際分配
国際電気通信連合の無線通信規則第5条に規定される国際分配
https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/share/sanko.htm

国際電気通信連合(ITU)の、国際無線通信規則に従う形で。日本でもこの地域分けのルールは法令(無線通信規則)に定められています。以下に「無線通信規則」の抜粋を示します。

無線通信規則<抜粋>
第II章 周波数
第5条 周波数分配
第Ⅰ節 地域及び地区
5.2 周波数の分配のため、次図に示し、かつ、第5.3号から第5.9号までに定めるとおり、世界を3の地域に区分する。
5.3 第一地域 第一地域は、東はA線(A線、B線及びC線は、後に定める。)及び西はB線によって区画する地方とする。ただし、これらの区画線の間にあるイランの領域を除く。また、これらの区画線の外にあるアルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、カザフスタン、モンゴル、ウズベキスタン、キルギスタン、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、トルコ及びウクライナ並びにロシアの北方のA線とC線の間にある地方を含む。
5.4 第二地域 第二地域は、東はB線及び西はC線によって区画する地方とする。
5.5 第三地域 第三地域は、東はC線及び西はA線によって区画する地方とする。ただし、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、カザフスタン、モンゴル、ウズベキスタン、キルギスタン、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、トルコ及びウクライナ並びにロシアの北方のA線とC線の間にある地方を除く。また、これらの区画線の外にあるイランの領域を含む。
5.6 A線、B線及びC線は、次のとおり定義する。
5.7 A線 A線は、北極から発してグリニッジ東経40度の子午線に沿って北緯40度の緯線まで、次いで大円弧に沿って東経60度の子午線と北回帰線との交点まで進み、次いで東経60度の子午線に沿って南極に終わる。
5.8 B線 B線は、北極から発してグリニッジ西経10度の子午線に沿ってその子午線と北緯72度緯線との交点まで、次いで大円弧に沿って西経50度の子午線と北緯40度の緯線との交点まで、次いで大円弧に沿って西経20度の子午線と南緯10度の緯線との交点まで進み、次いで西経20度の子午線に沿って南極に終わる。
5.9 C線 C線は、北極から発して大円弧に沿って北緯65度30分の緯線とベーリング海峡の国境との交点まで、次いで大円弧に沿ってグリニッジ東経165度の子午線と北緯50度の緯線との交点まで、次いで大円弧に沿って西経170度の子午線と北緯10度の緯線との交点まで、次いで北緯10度の緯線に沿ってその緯線と西経120度の子午線との交点まで進み、次いで西経120度の子午線に沿って南極に終わる。


国際電気通信条約付属無線通信規則(Radio Regulations)
Administrative Regulations Collection (itu.int)
https://www.itu.int/en/history/Pages/RegulationsCollection.aspx

総務省 電波利用ホームページ|周波数割当て|国際電気通信連合の無線通信規則第5条に規定される国際分配について(参考情報) (soumu.go.jp)
https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/share/sanko.htm


余談:「リージョン(地域)コードのはなし」

「リージョン」という言葉を聞くと、DVDやブルーレイディスクを思い浮かべるかもしれません。
国際的な取り決めに基づく地域区分を指す点で、国際電気通信連合(ITU)の「リージョン」もDVDやブルーレイディスクの「リージョン」も共通していますが、その目的や運用方法は全く異なる概念です。
ITUのリージョンは、世界の無線通信を効率的に管理するために設けられた地域区分です。一方、DVDやブルーレイのリージョンコードは、映像コンテンツの著作権保護と地域別の市場管理を目的としています。
最も大きな違いは、その機能にあります。ITUのリージョンでは、リージョンが異なるからと言って通信ができないということはありません。ただし、チャンネルの周波数の割り当てが異なることにより通信できないということはありえます。対照的に、DVDやブルーレイのリージョンコードは、プレーヤーとディスクのコードが一致しない場合、再生そのものができなくなる仕組みになっています。

当然、それぞれ地域の区分方法も異なります。ITUは世界を(1~3)の3つのリージョンに分けていますが、DVDは(0~6)の6つ、ブルーレイは(A、B、C)の3つのリージョンに分けています。例えば日本は、ITUのリージョンでは地域3(アジア・オセアニア)に属しますが、DVDではリージョン2(ヨーロッパと同じ)、ブルーレイではリージョンA(南北アメリカ、東南アジアなどと同じ)に分類されています。

参考
リージョンコードの種類
リージョンコードは世界で6つの地域に分けられています。DVDソフトの中には、複数のリージョンコードを持つもの(例えば「1」と「2」)や全世界で再生可能なもの(「ALL」)などがあります。
日本の地域コードは、欧州や南アフリカ共和国と同じ「2」です。よって、日本で再生可能なリージョンコードは、「2」、「ALL」、複数のコードの中で「2を含むもの」の3種類になります。
DVD のリージョンコード
リージョン0 すべてのリージョンで再生が可能
リージョン1 米国、カナダ、およびアメリカ領、中近東、南アフリカ、エジプト
リージョン2 日本、ヨーロッパ、北アフリカ
リージョン3 東アジア、東南アジア、香港
リージョン4 オセアニア、中東、カリブ諸国、南米
リージョン5 ロシア、北朝鮮、モンゴル、南アジア、アフリカ諸国
リージョン6 中国

ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)のリージョンコード
リージョンA 南北アメリカ、東南アジア、日本、朝鮮半島、台湾
リージョンB ヨーロッパ、中近東、アフリカ、オセアニア
リージョンC 中央・南アジア、中国、ロシア、モンゴル


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ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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