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空中衝突防止装置・航空機衝突防止装置 TCAS / ACAS ATCの話4

2024年12月26日  2024年12月26日 
航空機の安全な運航において、空中衝突を防ぐことは最も重要な課題の一つです。この課題に対応するため、航空機衝突防止装置(ACAS: Airborne Collision Avoidance System / TCAS(ティーキャス): Traffic Alert Collision Avoidance System)が開発されました。このシステムは、衝突の恐れがある航空機の存在を操縦士に知らせ、必要に応じて回避操作を指示する重要な役割を果たしています。
簡単に言えば「ある一定の距離以内に航空機同士が近づいたら、お互いのパイロットに警告をしてくれる装置」という事になります。

空中衝突防止装置(TCAS / ACAS)は、航空機同士の空中衝突(MAC)を防ぐために開発された危険を抑える目的で開発されたコンピュータ制御のアビオニクス装置で、「ACAS」と「TCAS」という2つの名称で知られています。これらは本質的に同じシステムを指し、「ACAS」は国際民間航空機関(ICAO)で採用され主にヨーロッパで使用される名称である一方、「TCAS」は米国での呼称です。実運航では米国製のシステムが広く採用されているため、「TCAS」という呼び方が一般的となっています。
現在、ほぼ全ての旅客機にはATCトランスポンダーが装備されており、このシステムはそのATCトランスポンダーのMode-S信号を活用して動作します。具体的には、近接する他の航空機のトランスポンダーに質問信号を送信し、その応答信号を受信することで、相手機との方角、接近率、そして相手機がMode-CまたはMode-S装備機の場合は相対高度を自動的に計算します。これらの情報に基づき、衝突の危険性が検知された場合、航空機乗組員に対して垂直方向の回避指示を提示し、安全な飛行を確保します。

このシステムは、国際民間航空条約の第10付属書第4巻(ICAO Annex 10, Volume 4)で基準が定められており、日本の電波法施行規則では「航空機局の無線設備であって、他の航空機の位置、高度その他の情報を取得し、他の航空機との衝突を防止するための情報を自動的に表示するもの」と定義されています。
TCASの動作原理は、適合するトランスポンダを搭載した航空機間での通信に基づいています。機体の上部と下部にそれぞれアンテナがあり、水平方向に40マイル(64.4km)、垂直方向に上下9,900フィート(3km)の範囲で航空機周辺の空域をスキャンし、接近する航空機のトランスポンダーを探知することができます。具体的には、TCAS搭載機が1,030MHzの周波数で周辺航空機に「問い合わせ」を送信し、それに対して各航空機が1,090MHzで「応答」を返すという通信を毎秒数回実施します。この継続的な双方向通信により、システムは周辺航空機の相対位置、高度、速度を含む三次元マップを作成し、将来の位置を予測することで潜在的な衝突リスクを評価します。
重要な特徴として、このシステムは地上の航空管制システムから完全に独立して機能します。つまり、衝突の危険性の判断や警告の発出は各航空機に搭載された機器が自律的に行うもので、管制当局による管理や判断は介在しない点が特徴です。

総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会  航空・海上無線通信委員会報告
国際民間航空条約第10付属書について 

現代のグラスコックピット機では、航法ディスプレイに統合されています。古いグラスコックピット機では、垂直速度計や電子式水平位置指示装置(水平姿勢指示計)と一体化したTCASディスプレイが搭載されています。また、機械式計器の航空機への追加用としてTCASディスプレイが販売されています。
小型機に搭載義務はありませんが、超軽量ジェット機や単発レシプロ機の高級モデルを中心にグラスコックピットが普及しており、標準装備となった機種も増えています。

Garmin G1000 スイスのガーミン社によって開発された、航空機用のグラスコックピットシステム。G1000の取扱説明書は、ガーミンの公式サイトからPDF形式で無料でダウンロードできます。

TISアラート 交通情報マップページ上のTA(交通情報アドバイザリー)の数が1回のスキャンから次のスキャンで増加した場合、以下が発生します:
  • 単一の「Traffic(トラフィック)」という音声アラートが生成されます。
  • PFD上の姿勢指示器の左上に「TRAFFIC」という警告が表示され、5秒間点滅した後、エリア内にTAが検出されなくなるまで表示され続けます。
  • PFDのインセットマップが交通情報と共に自動的に表示されます。

近接する航空機による不要なアラートの数を減らすため、「Traffic」音声アラートはTAの数が増加した時のみ生成されます。例えば、最初のTAが表示された時には、音声と視覚的な警告が生成されます。単一のTAが表示され続ける限り、追加の音声アラートは生成されません。2番目のTAが表示された場合、またはTAの数が一旦減少した後で再び増加した場合には、新たな音声アラートが生成されます。

TISサービスが利用できないか圏外になった場合、「TIS Not Available」(TNA)音声アラートが生成されます。TISは以下の理由によりレーダー覆域内で利用できない場合があります:

  • レーダーサイトのTIS Mode Sセンサーが動作していないか、使用できない状態
  • 交通情報または要求元の航空機がTIS対応Mode Sレーダーサイトの最大範囲を超えている
  • 交通情報または要求元の航空機がレーダーサイトの無感知円錐内の上空にあり、隣接サイトの範囲外
  • 交通情報または要求元の航空機がレーダー覆域の下にある。平坦な地形では、覆域は55マイル地点で約3000フィート上空から拡がる。レーダーサイト周辺の地形や障害物により、全方向のレーダー覆域がさらに減少する可能性がある
  • 交通情報を発する航空機のトランスポンダーが作動していない

「TIS Not Available」(TNA)音声アラートは、不要なアラートを減らすため手動でミュートにすることができます。TNAのミュート状態は交通情報マップページの左上隅に表示されます。



国土交通省 小型航空機に搭載可能な簡易型航空機衝突防止装置の性能、機能等について
簡易型航空機衝突防止装置

トランスポンダーの種類

まず、トランスポンダーとは造語です。英語で「TRANSPONDER」と書きます。これは、「TRANSmitter(送信機)」と「resPONDER(応答機)」の組み合わせで作られました。
トランスポンダーはその性能でレベル分けすることができます。そのレベルのことをモードと呼び、トランスポンダーのモードは大きく分けて、3つに分けられます。それぞれ:

Mode A:
Mode C:A + ALT情報
Mode S:C + 質問信号
です。それぞれによって、得られる情報が違うのが特徴です。Mode A、Mode C、Mode Sの順に高度な情報を得ることができ、より情報のやりとりができるようになったと言えるでしょう。

トランスポンダー、二次レーダーなどの詳細は下記にまとめています。
UTMとATC (航空交通管理) の現状と将来の展望 ATCの話1

TCASの種類

TCASのバージョンは主に3種類あり、それぞれ異なる機能を持っています。

1. TCAS I:

第一世代の衝突防止技術で、主にゼネラル・アビエーション(一般航空)用です。航空機の周囲(約4海里まで)の交通状況を監視し、他の航空機のおおまかな相対位置と高度に関する情報を提供します。さらに「接近情報」(Traffic Advisory: TA)として衝突警報を出します。
他の航空機が近くにいる場合、TAは"traffic, traffic"(他機あり)の音声で警告しますが、回避方法までは指示しません。どうするかを決めるのは操縦士に委ねられており、通常は管制機関 (ATC) の支援を受け回避ををします。危険が無くなれば"clear of conflict"(衝突は回避された)の音声で示されます。

2. TCAS II:

第二世代かつ現代のTCASであり、大多数の民間航空機で使われています。監視範囲は半径約40海里です。TCAS Iの機能をすべて含み、さらに危険を避けるための「回避指示」(Resolution Advisory: RA)を、音声とディスプレイで操縦士に指示します。

鉛直方向に飛行経路の変更を伴う場合はCorrective(是正)RAとよばれ、"descend, descend"(降下せよ)あるいは"climb, climb"(上昇せよ)といった音声で、操縦士に高度を変えるよう指示します。鉛直方向に飛行経路の変更を伴わない場合はPreventive(予防的)RAとよばれ、現在の飛行経路から逸脱しないように"monitor vertical speed"(垂直速度を監視せよ)というような音声で警告が発せられます。操縦士に指示を出す前に、TCAS IIシステム同士で回避指示の調整が行われます。回避指示の調整は、機体に搭載されているTCASに割り当てられている固有番号の大小によって行われます。例えば大きい方が上昇、小さい方が降下というように調整されます。その結果、ある航空機に降下が指示されれば別の機には上昇が指示され、2機の距離間隔は大きくなり、安全を確保する仕組みになっています。

2006年の時点では、ICAOのACAS IIに適合した実装はTCAS IIのバージョン7.0のみで、ロックウェル・コリンズ社とハネウェル社の二社から提供されています。
2008年にはTCAS II version 7.1の技術基準が承認され、逐次version 7.0からの改修が開始されています。EASAでは2012年3月1日以降の新造機への装着、ならびに2015年12月1日までに既存の機体の改修を義務付ける提案がなされましたが、最終決定には至っていません。

3. TCAS III:

「次世代」の衝突防止技術で、現在開発が進められています。TCAS IIシステムの技術的性能を向上させ、接近情報の提供と、垂直方向だけでなく「水平方向」も使って操縦士に衝突回避を指示する能力があります。
たとえば、正面から接近する状況で、ある航空機に"turn right, climb"(右旋回して上昇せよ)と指示が出れば、対抗する機体には"turn right, descend"(右旋回して降下せよ)と真反対の指示が出ることになります。これにより、水平方向と垂直方向の両方で航空機同士の間隔をより大きくすることでより安全を確保することができます。

航空機衝突防止装置の設置義務

TCASの搭載義務については、ICAOの条約付属書で基準が定められており、客席数が19、または最大離陸重量が5,700kgを超えるタービンエンジン装備機につける必要があるとされています。各国や地域では、この基準を基に個別に規定を設けています。

例えば、日本では航空法施行規則第147条の6項で、客席数19または最大離陸重量が5,700kgを超え、かつ、タービン発動機を装備した飛行機には、ICAOの国際民間航空条約の附属書十第四巻第八十五改訂版(ICAO Annex 10, Volume 4 Amendment 85)に定める基準に適合する航空機衝突防止装置を1台は装備しなければならないと定められています。

以下の航空法施行規則第147条の6項で、定められています。
第百四十七条 法第六十条の規定により、航空運送事業の用に供する航空機に装備しなければならない装置は、次の各号に掲げる装置であつて、当該各号に掲げる数量以上のものとする。
 国際民間航空条約の附属書十第四巻第八十五改訂版に定める基準に適合する航空機衝突防止装置(客席数が十九又は最大離陸重量が五千七百キログラムを超え、かつ、タービン発動機を装備した飛行機に限る。) 一」 

世界での規定状況

日本(JCAB:Japan Civil Aviation Bureau)では、最大離陸重量5,700kgまたは客席数19を超える(つまり5,701kg または客席数20以上の)タービン発動機を装備した飛行機に対してTCAS IIの取り付けが2005年1月1日から義務付けられています。
アメリカ(FAA)では、客席数30または最大離陸重量が33,000ポンド(約15,000kg)を超えるタービンエンジン搭載の民間航空機にはTCAS IIの取り付けが2005年1月1日から義務付けられています。
ヨーロッパ(EASA)では、客席数19または最大離陸重量が5,700kgを超えるタービンエンジン搭載の民間輸送機にはACAS II(事実上TCAS IIバージョン7.1)の取り付けが2015年7月22日から義務付けられています。
オーストラリア(CASA)では、タービンエンジン搭載の商業輸送を行う航空機(ターボプロップを含む)にはTCAS IIの取り付けが2007年3月30日から義務付けられています。
ブラジル(ANAC)では、座席数19席を超える輸送機すべてに2010年1月1日からTCAS IIバージョン7.0の取り付けが義務付けられています。
香港(CAD)では、客席数9または最大離陸重量が5,700kgを超える香港登録の固定翼機には2000年1月1日発効からTCAS IIバージョン7.0の取り付けが義務付けられています。

TCASのアドバイザリー

自機の周り半径 15NM 以内にある航空機を検出するために、トランスポンダーからモードCもしくはモードS の質問パルスを 1 秒に 1 回送信し、TCASアンテナで応答パルスを受信します。受信時間を追跡することにより相手機との距離の変化率を計測するほか、応答パルスに含まれる高度情報から高度変化率を計測することができます。
これら相対位置関係の変化率をもとに、自機と衝突の危険性が高い範囲内(自機を中心においた保護区域)に接近する可能性がある航空機を、脅威機として選び出します。
TCASのアドバイザリーには、約25秒~48秒以内に衝突のおそれがある周辺機の情報を表示するTA(トラフィック・アドバイザリー)と、約15秒~35秒以内に衝突するおそれのある周辺機に対する回避操作を指示するRA(レゾリュージョン・アドバイザリー)の2種類があります。 

TA(トラフィック・アドバイザリー)
衝突のおそれの約25秒~48秒前、接近する可能性のある周辺機について表示する接近情報(TA)が発出されます。
相手機の高度、方位及び上昇・下降などの情報がディスプレイ装置に表示される他に「トラフィック、トラフィック」という音声が鳴動します。 
RA(レゾリュージョン・アドバイザリー)
衝突のおそれの約15秒~35秒前、パイロットが取るべき回避指示(RA)が発出されます。
相手機の高度、方位及び上昇・下降などの情報がディスプレイ装置に表示される他に
「クライム、クライム」や「ディセンド、ディセンド」という音声が鳴動します

TCASの回避指示発出の判断には、距離と高度差のみを利用しており、相手機の方向は利用されていません。(左右への回避指示はありません)
※ TA、RAの作動タイミングは、高度により変わります。

相手機が次のいずれかの場合、TA も RA も発出されません。
  1. ATC トランスポンダーを搭載していない
  2. 搭載しているが、不具合等で作動していない
  3. モード A のみ作動のトランスポンダーを搭載している
また、相手機が、高度情報を含むモード C またはモード S の応答信号を発信していない場合、TAは発出されますが、RAは発出されません。
そのため、モードA/Cトランスポンダー搭載機は、管制機関から停止を求められた場合等を除き、飛行中はALT位置(機種によっては ALT Report On 位置)でトランスポンダーを作動させることが重要です。

自動従属監視 (ADS) との関係

適合するトランスポンダを搭載した航空機からは、識別子、現在位置、高度、対気速度のような情報を含んだADS-B信号が送信されます。この信号は、TCASの応答と同じ1,090MHzの周波数で送信されます。
ADS-Bメッセージを処理できるTCAS装置は、通常のTCASメッセージと共にADS-Bメッセージを使用して、予測能力と状況表示の強化が可能です。この方法は「ハイブリッド監視」と呼ばれています。
能動的なTCASで監視できる40海里の範囲に比べると、ADS-Bでは約100海里以上の遠距離から受動的に受信できるだけでなく、ADS-Bメッセージには追加情報(対気速度など)が含まれているため、予測能力が向上します。ADS-Bメッセージの中にある識別情報は、コックピット・ディスプレイ上で他の航空機にラベルを付けたり、状況認識を改善するために使用されます。ハイブリッド監視を使用した場合でも、TCASの基本である衝突防止機能に変わりはありません。

TCAS運用の重要性と事故例

TCASの運用の重要性は、過去の事故例からも明らかです。2002年のユーバーリンゲン空中衝突事故は、双方の航空機にTCAS IIが搭載され正常に動作していましたが、TCASの指示とATCの指示が矛盾したことが原因で発生しました。この事故では、2機の航空機(611便と2937便)がともに同じ管制承認高度36,000フィートを飛行中でした。衝突の36秒前に双方のTCASが正常に作動し、611便には降下、2937便には上昇の指示を与えました。一方で、管制官は611便の高度を維持し、2937便に対しては高度35,000フィートへの降下を指示しました。
この相反する指示により、611便の乗員はTCASの降下指示に従い、2937便の乗員は管制官の指示に従って降下を開始しました。結果として両機とも同時に降下し、衝突に至りました。この事故を受け、操縦士はTCASの回避指示に、たとえ管制官に矛盾する指示を出されたとしても必ず従うことが国際的に定められました。

TCASの実施状況

FAAやその他ほとんどの国の機関では、TCAS RAと航空交通管制(ATC) の指示が食い違う場合には、常に「TCAS RA」が優先する、と規則に定められています。これは仮にある航空機がTCAS RAに従い、別の機がそれに反してATCの指示に従うと、2001年1月31日に静岡県(駿河湾)上空で発生した日本航空機駿河湾上空ニアミス事故や、2002年7月1日にドイツで発生したユーバーリンゲン空中衝突事故のような空中衝突を避けるためのものです。

まれに誤警告があるものの、操縦士は「すべてのTCASメッセージを本物の警報として、優先的に即刻対応せよ」と厳格に命じられています。
TCASよりも更に優先されるのは、「対地接近警報装置(GPWS)の警報」・「失速警報およびウインドシア警報」のみです。

ICAO(国際民間航空機関)が普及を呼びかける重要装置

TCASよりもさらに進化したシステムとして、ADS-B(自動従属監視放送)があります。ADS-Bは自機の位置を緯度経度の座標情報を含んだ信号で、周囲にいる他の航空機に発信するシステムです。このシステムにより、航空機の位置をより正確に把握することが可能になります。
 ICAO(国際民間航空機関)では、モードSとADS-Bの両装置とも基準を定めて各国に普及を呼び掛けています。
ADS-Bの普及は世界的に進んでおり、ヨーロッパでは2020年より総重量5.7t以上ある全ての航空機にADS-Bの装備が義務付けられました。アメリカでも2020年から管制空域に入るにはADS-Bの搭載を義務付けています。なお、アメリカではこれに先立ちADS-Bの普及を促すため、補助金を出して同装置の設置を後押ししてきました。
一方、日本では、TCASやこれに反応するモードSの導入は進んでいますが、ADS-Bは現時点では義務化されていません。しかし、国際的な航空安全基準の向上に伴い、今後日本でもADS-Bの導入が進んで行くと考えられています。

ADS-Bについて詳しくは以下にまとめています。
ADS-B  ADS-C ADSの概要  航空管制と人口衛星 ATCの話2

航空機衝突防止装置の進化は、航空安全の向上に大きく貢献しています。TCASからADS-Bへの発展は、より精密な航空機位置の把握と、それに基づく効果的な衝突回避を可能にしています。しかし、これらのシステムが効果を発揮するためには、パイロットや管制官が適切に運用することが不可欠です。
特に、TCASの回避指示に従うことの重要性は、ユーバーリンゲン空中衝突事故の教訓から明らかです。パイロットは常にTCASの指示を優先し、たとえ管制官の指示と矛盾する場合でも、TCASの回避指示に従うべきです。
また、航空会社や航空当局は、これらのシステムの適切な運用と保守、そしてパイロットや管制官への継続的な訓練を行うことが重要です。技術の進歩に伴い、運用手順や訓練内容も更新されていく必要があります。
さらに、国際的な基準の統一も重要な課題です。現在、TCASやADS-Bの搭載義務は国や地域によって異なりますが、航空の安全性をグローバルに向上させるためには、これらの基準をできる限り統一していくことが望ましいでしょう。

最後に、これらのシステムは非常に効果的ですが、完全ではないことを認識することも重要です。例えば、TCASはトランスポンダーを搭載していない航空機や、トランスポンダーが作動していない航空機を検知できません。したがって、パイロットや管制官は、これらのシステムに全面的に依存するのではなく、常に状況を注意深く監視し、必要に応じて適切な判断を下す能力を維持する必要があります。
航空機衝突防止装置の発展は、航空安全の歴史における重要な進歩の一つです。今後も技術の進歩と運用の改善を通じて、より安全な空の旅が実現されていくことが期待されます。
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協定世界時(UTC)、日本標準時(JST)、グリニッジ標準時(GMT)、国際原子時(TAI)、世界時(UT) 時間を表現するための基準が複数あります。これは、世界各国で、それぞれに昔から使用されていた、それぞれ文化にも深くかかわる時間の基準があり、これらを一度に切り替えることが難しかったためで、そのため、しばしば混乱が生じる場合がありました。人、物、そして、情報が世界を行きかう事により、徐々に世界中で統一した基準を用いるような流れになりました。また、科学技術の発展によって精度を増した基準の観測・利用方法が進みましたが、やはり全ての時刻を統一することは困難なため、複数の基準が存在しています。 観測データなど扱う場合必ず「何時(いつ)、when」測定した物なのかという情報は測定値とセットで扱われる大切な要素です。この要素が抜けたり、正しくなければ、データの価値がなくなってしまう場合もあります。 気象観測や、航空機の運航、コンピュータの時間など、昔より世界が狭くなってしまった現代、正確な時刻は当然、必要ですが、その時刻が、どの基準で示されているものなのかを意識しなければならいことも増えてきています。 Samuel P. Avery, 129 Fulton St, NY (wood engraving); Centpacrr (Digital image) ,  Public domain, via Wikimedia Commons 世界時が採用される前の「すべての国」の相対的な時間を示す1853年の「ユニバーサルダイヤルプレート」 グリニッジ標準時(GMT) G reenwich  M ean  T ime グリニッジ標準時(GMT)は、ロンドンのグリニッジにある王立天文台の平均太陽時で、真夜中から数えたものです。(真夜中が午前0時という事)過去には正午から計算されるなど、様々な方法で計算されていたようです。そのため、文脈がわからない限り、特定の時刻を指定するために使用することはできません。(時代によって時間が異なることがあります。)GMTという用語は、タイムゾーンUTC+00:00の名称の1つとしても使われ、イギリスの法律では、イギリスにおける市民時間(ローカルタイム)の基準となっています。 英語圏の人々はしばしば、GMTを協定世界時(UT...

無人航空機(ドローン)のノータム[NOTAM] の 読み方・見方【教則学習・周辺知識】

ノータムとは ノータム【NOTAM ( Notice to Airmen)】:航空従事者への通知 国が管理する航空当局(日本の場合は国土交通省航空局)が、航空従事者に対して発行する情報で、航空機の運航のために必要な情報を提供しています。 「NOTAM」ノータムは、 NO tice T o A ir M en の略称で、日本語に訳すなら「航空従事者へのお知らせ」という事です。航空情報の一つで、飛行場、航空保安施設、運航に関連する業務方式の変更、軍事演習のような危険の存在などについての情報で、書面による航空情報では時宜を得た提供が不可能な(端的にいえば間に合わない)場合にテレタイプ通信回線(CADIN及びAFTN)により配布されるものです。 ノータム【NOTAM (Notice to Air Mission)】:航空任務への通知 アメリカ連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)は2021年12月2日から、NOTAM の頭字語を、Notice to Airmen から Notice to Air Mission に変更しました。この変更は名称によるジェンダー中立性を保つとともに、より広範囲な分野を包括する事を見据えてより正確な名称にするためのもので、小型無人航空システム (sUAS) 、無人気球など、他のいくつかの分野も含まれるためです。 女性もたくさん活躍している事や、無人機には人間が乗っていません(当然ですが)ので、旧名称の「Airmen」はないだろうという事です。したがって、航空任務への通知( Notice to Air Mission )という名称は、より実態に即した正確な名称に変更されたという事になります。 航空法で定められている「飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」と、ノータムへの掲載について詳しい説明を説明しています。 飛行に影響を及ぼすおそれのある行為とノータム(NOTAM)【教則学習・周辺知識】  もよろしければご覧ください。 NOTAM の歴史 NOTAM は、附属書 15:国際民間航空条約(CICA)の航空情報サービスで指定されたガイドラインに基づいて、政府 機関および空港運営者によって作成および送信されます。1947年4 月4日に発効した CICA の批准に伴い一般的に使用されるようになり...

「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第3版) 令和5年(2023年)4月13日【教則学習】

無人航空機操縦者技能証明の「一等無⼈航空機操縦士」と「二等無⼈航空機操縦士」の学科試験の土台となる教則 無人航空機の飛行の安全に関する教則が令和5年(2023年)4月13日に改訂 され(第3版)が公開されました。 無⼈航空機操縦士の学科試験のベースになる教則ですが、これまで、学科試験の内容は「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)」に準拠していましたが、 ※令和6年(2024年)4月14日(日)より、 学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 (第3版)」に準拠します。 と発表されました。 詳細は「 【重要!!】無人航空機操縦士・学科試験の内容が、変わります 」にアップしました 教則の読み上げ動画を作成しました 詳しくは 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第3版 読み上げ動画 試験の予約・実施スケジュールなど詳しくは下記、指定試験機関の日本海事協会サイトで確認してください 【重要!!】「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の改訂に伴う無人航空機操縦士試験における学科試験の内容変更についてのお知らせ – 無人航空機操縦士試験案内サイト  令和6年(2024年)4月14日(日)より 以前に受験される方 については引き続き以下でご覧ください。 「無人航空機の飛行の安全に関する教則」 令和4年(2022年)11月2日第2版【教則学習】 令和5年(2023年)4月13日に改訂された(第3版)については以下にリンクします。 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版) https://www.mlit.go.jp/common/001602108.pdf 第2版からの変更履歴【参照用】 https://www.mlit.go.jp/common/001602110.pdf 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)から(第3版)への変更内容 細かな表現の変更とともに、 「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」及び「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド発行)の発行に伴う カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価に関する記述の見直し が行われました。5章と6章が大きく変更されています。変更箇所は下記の項目です。 (第 ...

自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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