Noman Flight Research Group 無人航空機(ドローン)の研究会です

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有人・無人航空機 統合運航技術 衝突回避技術・リアルタイム管制 ATCの話5

2025年3月13日  2025年3月13日 
無人航空機(UAS)を有人航空機と同じ空域で運用・管制することには、大きな課題があります。現在は、無人機が飛行する場合、他の航空機が、飛行しえない空域(有人航空機の最低高度以下の空域)での飛行を前提としているようなものであったり、無人機の飛行空域を制限空域として設定し、他の航空機の進入をブロックすることで衝突リスクを回避しています。しかし将来、多数のUASが管制空域を飛行するようになった場合、この方法では有人機と無人機の双方の利便性が阻害されてしまいます。
したがって、無人機が有人機と区別なく安全に飛行できるよう、機体性能の向上とともに、国際民間航空機関(ICAO)における規準策定が求められています。2015年からICAOでは無人航空機の規準検討が始まっていますが、自律飛行機は対象外とし、遠隔操縦機(RPAS:Remotely Piloted Aircraft Systems)に限定した検討が行われています。
無人航空機の制御の方法には二種類あり、地上の操縦者によって飛行が制御される遠隔操作の無人航空機と、プログラムに基づいて自ら飛行経路や機動を決定する自律飛行型があります。

自律飛行型は「空飛ぶロボット」と表現されることもあり、自動操縦技術やAIの発展によって、無人航空機の概念や可能性が大きく広がったと言えます。
両者は技術的にもコンセプト的にも異なる側面があるので、区別して考える方がより自然だと考えられます。このような事から先に述べた、ICAOでの無人航空機の規準検討などにおいても自律飛行機は対象外として、区別されています。

UASの重要な技術課題の一つが、衝突回避(Sense and Avoid)能力です。有人機の最終的責任はパイロットにあるため、UASにも同等の自動衝突回避能力が必要となります。General Atomics社はレーダーを使ったSAA技術を開発・実証しており、他機を探知してパイロットに情報提供することで衝突回避を可能にしています。このようなSAA技術は空域共有に不可欠な要素であり、国際的な技術規準も策定が進められています。
空域共有の実現には、機体技術とともに、国際的な運用面での枠組み作りが重要となっています。

航空:航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会 - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk01_000001.html

国土交通省の「航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会」の中間とりまとめ文書を要約すると以下のようになります。

1. 背景と現状
- 改正航空法施行後、13,101件の許可・承認を実施
- 重大事故は発生していないが、航空機との5件のニアミス事案
 (主にヘリコプター運航者からの無人航空機の目撃情報)を確認
- 航空機と無人航空機の安全な共存のための詳細なルール策定が必要

2. 衝突回避の基本方針
- 当面は「情報共有」と「飛行ルール」を中心に対応
- 無人航空機側が航空機を回避する原則を採用
- 技術的な衝突回避システムは開発途上

3. 具体的な安全対策
  • 飛行前:航空機の飛行情報の事前確認を義務付け
  • 飛行中:航空機を確認した場合は即座に着陸などの回避行動を実施
  • 無人航空機同士の衝突防止は、当面は事前調整を基本とする
4. 今後の取り組み
- ガイドラインへの反映と審査要領の改正
- 技術開発状況に応じた柔軟な見直し
- 飛行情報共有システムの検討継続
- 官民一体となった安全確保の取り組みの推進

この中間とりまとめでは、無人航空機の安全な運用のための基本的なルールを示すとともに、今後の技術発展に応じて見直しを行う方針を示しています。
また、これらを基に法改正を含む運用のルールに大半が適用されています。

ドクターヘリについては以下に詳細をまとめています
ドローンが飛行中に出会う可能性のある「航空機」との共存術

航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会 中間とりまとめ(概要)
https://www.mlit.go.jp/common/001180837.pdf
航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会 中間とりまとめ 
https://www.mlit.go.jp/common/001180838.pdf

航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会 中間とりまとめ 

1.はじめに 
無人航空機の飛行する空域や飛行させる方法等の基本的な飛行ルールを定めた改正航空法が施行されて1年以上が経過し、これまで(平成27年12月10日から平成29年3月9日まで)に13,101件の許可・承認を行っている。その間、第三者が死傷するような事故や航空機との衝突のような大きな事故等は発生していない一方で、航空機と無人航空機のニアミス事案(主にヘリコプター運航者からの無人航空機の目撃情報)が5件報告されている。 
また、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」において、平成28 年 7月にとりまとめられた「小型無人機の更なる安全確保に向けた制度設計の方向性」(以下「制度設計の方向性」という。)では、ドクターヘリ等は、無人航空機が許可なく飛行できる空域を飛行することも多く、航空機と無人航空機との衝突回避のため更にきめ細かな運航ルールが必要であることから、平成28年度末を目途に航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避ルール等の検討・調整を行うこととされた。 
これを受け、国土交通省においては、航空機と無人航空機の運航者等からなる「航空機と無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会」を平成28 年11月に設置し、議論を重ねてきた。今般、検討会の議論を踏まえ、航空機と無人航空機の衝突回避策等の基本的なルールについてとりまとめるとともに、今後、引き続き検討していくにあたり、これまでの議論を整理するため、中間とりまとめを行うこととした。 
なお、今回とりまとめる基本的なルールは、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン(以下「ガイドライン」という。)に盛り込むことや、無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(以下「審査要領」という。)を改正し許可・承認の要件とすることで運用・評価していくとともに、技術開発や利活用拡大、諸外国の動向を踏まえ柔軟に見直すこととする。 

2.航空機と無人航空機の安全確保のための規制と取組 
(1)航空機に関する規制 
航空法では、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るため遵守すべき事項等が定められており、航空機に対しては、空港等以外の場所において離着陸してはならないこと(航空法(以下「法」という。)第79条)や、最低安全高度以下の高度で飛行してはならないこと(法第 81 条)が定められている。ただし、国土交通大臣が許可した場合には、飛行が禁止されている空域でも飛行することが可能である。 
さらに、航空法では、航空機の機長に対して、出発前にNOTAM等の航空情報を確認すること(法第73条の2)や、航空機の操縦を行っている者に対して、他の航空機その他の物件と衝突しないよう見張りをしなければならないこと(法第71条の2)が定められている。  
(2)無人航空機に関する規制 
無人航空機については、平成27年12月に、飛行する空域や飛行方法など基本的なルールを定めた改正航空法が施行され、空港等の制限表面の上空や地表又は水面から150m以上の空域においては、飛行させてはならないこと(法第132条)が定められた。ただし、国土交通大臣が許可した場合には、飛行が禁止されている空域でも飛行することが可能である。 
このように、航空機と無人航空機とで、飛行できる空域が原則として分離されているが、航空機と無人航空機ともに、国土交通大臣が許可した場合には、それぞれ飛行が禁止されている空域であっても飛行させることができるため、航空機と無人航空機が接近・衝突するリスクが排除できない場合が残されることとなる。 
(3)航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避のための技術開発 
航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避のための技術開発につい
て官民で様々な取組が行われており、検討会において、委員等から技術開発
の取組状況について発表いただいた。概要は以下のとおり。 

衝突回避の基本的考え方 

衝突回避策を検討する上で重要な要素としては、
①航空機や無人航空機の飛行に関する情報共有による衝突回避、
②航空機と無人航空機間等の飛行ルールによる衝突回避、
③DAA(Detect and Avoid)のような衝突回避技術による衝突回避の3つが考えられるが、2.(3)のような取組は行われているものの、現時点では、航空機や他の無人航空機を検知し回避できるほどの衝突回避技術の開発とその実用化・普及にはなお時間を要することか
ら、当面は①の「情報共有」と②の「飛行ルール」を中心に対応することが適当である。 
なかでも、航空機と無人航空機や無人航空機同士がそもそも接近することがないようにすることが重要であることから、まずは関係者間で事前の「情報共有」を図った上で、接近が回避できない場合には、「飛行ルール」により回避することが適当と考えられる。 
なお、衝突回避技術については、経済産業省が平成29年度予算に研究開発の予算を盛り込むなど今後の技術の進展が期待される。そのような衝突回避技術の実用化に向けては、補助者の配置なしに目視外飛行するような無人航空機が備えておくべき衝突回避性能等の基準を明らかにし、その評価手法を定めることが必要であると考えられ、今後の検討に際し留意する必要がある。 

4.航空機と無人航空機の衝突回避策 
①航空機の航行安全は、人の生命や身体に直接かかわるものとして最大限優先すべきものであること、
②航空機の速度や無人航空機の大きさから、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することが困難であること、
③無人航空機は航空機と比較して一般的には機動性が高いと考えられることから、航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の航行の安全を確保するためにも、無人航空機側が回避することが妥当である。 
このため、航空機は、無人航空機に対して進路権を有するという前提のもとで具体的な衝突回避策について検討を行った。また、無人航空機の目視外飛行を行う場合には、航空法の承認の要件として、補助者が機体を監視することが求められていることから、無人航空機を飛行させる者又はその補助者から目視できることを前提に検討を行った。なお、飛行経路の直下及びその周辺に第三者が存在している蓋然性が低いと認められる場合には、補助者を配置せずに無人航空機を飛行させることができるが、飛行空域や高度を限定することや、事前に航空情報を発行する等により航空機の航行の安全を確保することを求めているところであり、これに加えて追加的な衝突回避策が求められている状況ではないと考えられる。 
また、安全の向上に向けた関係者の取組については、有効と考えられる成果については広く共有していくこととする。 
4.1 飛行前の情報共有 
航空機と無人航空機の衝突回避の観点から、無人航空機を飛行させようとする者は、あらかじめ、飛行させる空域及びその周囲の空域における航空機の飛行情報(日時、経路、高度等)を入手することが効果的であるが、現時点でリアルタイムな航空機の飛行情報を公式に公表しているものはない。一方で、民間事業者の中には、場外離着陸場への離着陸や最低安全高度以下での飛行が行われる頻度が高いドクターヘリの位置情報等を既存の衛星通信
(イリジウム衛星)を利用し把握しているところもあることから、まずは、この情報を活用し、無人航空機を飛行させる者等にも幅広く共有することができないか、関係者と調整を進めることとする。 
4.2 飛行前のルール 
無人航空機を飛行させようとする者は、飛行させる空域及びその周囲の空域に、航行中の航空機を確認した場合には、当該無人航空機を飛行させてはならないこととする。目視外飛行の場合には、補助者が飛行させる者の役割の一部を担うこととし、航行中の航空機を確認した場合には、ただちに飛行させる者に連絡を行う。ただし、航行中の航空機を確認した場合であっても、互いの高度等からみて航空機との距離が十分に確保されており、衝突の可能
性が極めて低く、航空機の航行の安全を阻害することがないと一見明白に判断される場合には、この限りではないこととする。 
4.3 飛行中のルール 
無人航空機を飛行させる者は、当該無人航空機を飛行中に、飛行中の空域及びその周囲の空域に、航行中の航空機を確認した場合には、ただちに当該無人航空機を安全な場所に着陸させるなど回避行動をとることとする。
4.2と同様に、目視外飛行の場合には、補助者が飛行させる者の役割の一部を担うこととし、航空機を確認した場合には、ただちに飛行させる者に連絡をすることとする。ただし、航行中の航空機を確認した場合であっても、互いの高度等からみて航空機との距離が十分に確保されており、衝突の可能性が極めて低く、航空機の航行の安全を阻害することがないと一見明白に判断される場合には、この限りではないこととする。 

5.無人航空機同士の衝突回避策 
無人航空機同士の進路権については、既存の航空機の進路権(法第83条)を参考に検討したが、無人航空機を飛行させる者から他の無人航空機の向きや高度を把握することは難しいことや、いまだ諸外国においても無人航空機同士の衝突回避ルールは確立されていないことから、技術開発や国際的な動向を踏まえ今後検討していくこととする。一方で、災害時や荷物配送などの際には、同一空域で複数の無人航空機が飛行することも考えられることから、関係者が限定的であるため事前調整を前提として、具体的な衝突回避策について検討を行った。 
5.1 飛行前の情報共有 
航空機と無人航空機の衝突回避の観点から、無人航空機を飛行させようとする者は、あらかじめ、飛行させる空域及びその周囲の空域における他の無人航空機の飛行情報を入手することが効果的であるが、現時点では、他の無人航空機の飛行情報を入手できる仕組みがない。将来的には、無人航空機の飛行情報をリアルタイムで共有できる仕組みを構築することが望ましいが、技術開発と普及には一定の時間を要することから、無人航空機を飛行させる者が、直前に飛行情報をウェブ上等で入力し、当該飛行情報を関係者で共有・閲覧できるシステムを構築することが適当である。なお、無人航空機のリアルタイムな飛行情報を共有し、複数の無人航空機の運航を管理する仕組み(UTM: UAS Traffic Management)については、国際的にもその必要性が議論され、研究開発やルール作りに向けた検討も行われる中、経済産業省も平成29年度予算に研究開発の予算を盛り込むなど今後の技術の進展が期待される。そのようなUTMの研究開発やルール作りについても、今後の検討に際し留意する必要がある。 
5.2 飛行前のルール 
無人航空機を飛行させようとする者は、飛行させる空域及びその周囲の空域に、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、当該他の無人航空機を飛行させている者と飛行の経路や高度、飛行させる時間帯等について調整等することとする。目視外飛行の場合には、補助者が飛行させる者の役割の一部を担うこととし、他の無人航空機を確認した場合には、ただちに飛行させる者に連絡をすることとする。ただし、飛行中の無人航空機を確認した場合であっても、互いの高度等からみて他の無人航空機との距離が十分に確保されており、衝突の可能性が低く、地上の人及び物件の安全が確保されると一見明白に判断される場合には、この限りではないこととする。 
5.3 飛行中のルール 
無人航空機を飛行させる者は、当該無人航空機を飛行中に、飛行中の空域及びその周囲の空域に、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、ただちに安全な場所に着陸させるなど回避行動をとった後、当該他の無人航空機を飛行させている者と飛行の経路や高度、飛行させる時間帯等について調整等することとする。5.2と同様に、目視外飛行の場合には、補助者が飛行させる者の役割の一部を担うこととし、他の無人航空機を確認した場合には、ただちに飛行させる者に連絡をすることとする。ただし、飛行中の無人航空機を確認した場合であっても、互いの高度等からみて他の無人航空機との距離が十分に確保されており、衝突の可能性が低く、地上の人及び物件の安全が確保されると一見明白に判断される場合には、この限りではないこととする。 

6.その他 
・機体の視認性の向上 
航空機から無人航空機を視認することが、航空機の速度や無人航空機の大きさから困難であること等の理由から、無人航空機の視認性を向上させるための方策について「運用」と「機体」の2つの側面から検討を行った。 
まず、運用については、雲や霧の影響による機体の視認性の低下を防ぐため、無人航空機を飛行させる者は、当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる空域及びその周囲の空域の気象情報を入手するとともに、十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させないこととする。 
また、機体については、ストロボ等の装備や視認性の高い塗色についても検討を行ったが、その効果を十分検証する必要があり、また、高輝度のストロボ等の装備については、バッテリーの消耗も懸念されることや高度 150m以上の飛行や夜間飛行を行う場合には灯火を装備すること等が審査要領で求められているが、灯火の配置については基準が設けられていないことから、平成29 年度以降、機体の視認性を高めるための技術や方策についての調査を実施し、その結果を踏まえ対応を図ることとする。 
・空港等周辺の規制強化    
空港等周辺の規制強化については、高度な衛星測位機能等を利用して飛行禁止区域への飛行が物理的にできないようにするジオ・フェンス機能の活用や、航空機との接近・衝突を防止するためのより厳格なルール、啓蒙強化等について検討する。 
・航空情報の意義や役割の周知啓蒙 
航空情報は、法第99条の規定により国土交通大臣が航空機乗組員に対し提供するものであり、無人航空機を空港等の制限表面の上空や地表又は海面から150m以上の空域において飛行させる場合には、飛行の許可や航空情報の発行手続きが必要である。また、航空情報は、航空機乗組員や運航管理者等が、航空機の運航に際して確認するという運用が確立されており、航空機の航行の安全のために欠かすことができないものである。 
一方で、無人航空機を飛行させる者の中には、飛行の許可を取得し航空情報が発行された場合には、航空機に対して自身の無人航空機の飛行が優先して認められると誤解している者がいるとの指摘もあるため、航空情報の意義や役割について無人航空機を飛行させる者等に対してホームページ等において周知啓蒙を行うこととする。 

7.今後の進め方 
今回とりまとめられた基本的なルールについては、ガイドラインに盛り込むことや、航空法に基づく審査要領を改正し許可・承認の要件とすることで運用・評価していくとともに、技術開発や諸外国の動向を踏まえ柔軟に見直すこととする。さらに、これらの運用・評価の結果を踏まえ、ルールの法的位置づけを含め検討を行う。 
また、飛行情報共有システムのあり方等について検討を行うため、引き続き検討会の場を活用し、官民一体となって、航空機と無人航空機、無人航空機間の衝突防止のための取組を進めていく。

航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について
国土交通省 航空局 平成29年2月9日
https://www.mlit.go.jp/common/001172562.pdf

航空機・無人航空機の衝突回避策 1

進路権の設定について
航空機は人が乗っているので、人命の安全確保が第一
航空機から無人航空機を視認し、回避することは困難
無人航空機は航空機と比較して、一般的に機動性が高い
航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の安全な航行を確保するためにも、無人航空機側が回避することが妥当
※わかりやすさの観点から無人航空機の機体の大きさやタイプに応じた衝突回避策を設けることはしない
航空機は、無人航空機に対して進路権を有する

航空機・無人航空機の衝突回避策 2

無人航空機を飛行させる者が講じるべき衝突回避策(案)
無人航空機を飛行させる者は、航空機との衝突を予防し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するため、
① 当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる空域及びその周囲の空域における航空機の航行に関する情報を入手すること。(要検討)
※場外離発着場への離着陸や最低安全高度以下での飛行が想定されるドクヘリ等について、既存の衛星通信を利用し、航行に関する情報を無人航空機を飛行させる者に共有することができないか調整中。
② 当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる空域及びその周囲の空域に、航行中の航空機を確認した場合には、当該無人航空機を飛行させてはならない。
※補助者は、飛行させる空域及びその周囲の空域に、航行中の航空機を確認した場合には、ただちに無人航空機を飛行させる者に連絡をすること。
③ 当該無人航空機を飛行中に、飛行中の空域及びその周囲の空域に、航行中の航空機を確認した場合には、ただちに当該無人航空機を安全な場所に着陸させること。
※補助者は、飛行中の空域及びその周囲の空域に、航行中の航空機を確認した場合には、ただちに無人航空機を飛行させる者に連絡をすること。

無人航空機同士の衝突回避策 1

進路権の設定について
航空機の制度を参考に、無人航空機同士の衝突回避ルールを検討すると
進路権
○飛行の進路が交差し、又は接近する場合における無人航空機相互間の進路権の順位を(飛行の目的、機体の形態、大きさ等を参考に)設定する?
→機体と操縦者に距離があるため、外観で判断することが難しい
飛行中の進路権
○飛行中の同順位の無人航空機相互間にあっては、他の無人航空機を右側に見る航空機が進路を譲る?
○正面又はこれに近い角度で接近する飛行中の同順位の無人航空機相互間にあっては、互に進路を右に変える?
→マルチコプタータイプの場合、進行方向を判別することが難しい
機体と操縦者の位置関係によっては、判断することが難しい
着陸時の進路権
○着陸中の無人航空機は、飛行中の無人航空機に対して進路権を有する?
○着陸中の無人航空機相互間にあつては、低い高度にある無人航空機が進路権を有する?
→着陸操作と単なる降下操作の違いを判断することが難しい
・無人航空機操縦者から、他の無人航空機の向きや高度を把握するのは難しい
・諸外国においも、無人航空機同士の衝突回避ルールは現時点で設定していない
→無人航空機相互間の進路権については、現時点では設定せず、技術開発や国際的な動向を踏まえ今後検討する

無人航空機同士の衝突回避策 2

無人航空機を飛行させる者が講じるべき衝突回避策(案)
無人航空機を飛行させる者は、他の無人航空機との衝突を予防し、地上及び水上の人及び物件の安全を確保するため、
① 当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる空域及びその周囲の空域における他の無人航空機の飛行に関する情報を入手すること。(要検討)
※平成29年度予算案に飛行情報共有システムの導入に要する経費を計上。
② 当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる空域及びその周囲の空域に、他の無人航空機を確認した場合には、以下の事項について他の無人航空機を飛行させる者と飛行前に調整すること。
※補助者は、飛行させる空域及びその周囲の空域に、他の無人航空機を確認した場合には、ただちに無人航空機を飛行させる者に連絡をすること。
(a) 飛行目的、飛行日時、飛行経路及び飛行高度を確認し、同一時間に同一経路及び同一高度で複数の無人航空機が飛行しないようにすること。
(b) 無人航空機を飛行させる者同士が、常に連絡をとれるようにすること。
③ 当該無人航空機を飛行中に、飛行中の空域及びその周囲の空域に、他の無人航空機を確認した場合には、ただちに安全な場所に着陸させた後、②に従って他の無人航空機を飛行させる者と調整すること。
※補助者は、飛行中の空域及びその周囲の空域に、他の無人航空機を確認した場合には、ただちに無人航空機を飛行させる者に連絡をすること。

無人航空機の視認性向上策

運用
① 無人航空機を飛行させる者は、当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる空域及びその周囲の空域における気象情報を入手すること。
② 無人航空機を飛行させる者は、当該無人航空機を飛行させる前に、飛行させる者(補助者を含む。)の周囲の空域並びに飛行させる空域及びその周囲の空域に、視程を確保すること。
③ 無人航空機を飛行させる者は、雲や霧の中で当該無人航空機を飛行させてはならない。
※雲と霧の違いは、大気中に浮遊している無数の微少な水滴が、地面や海面に接しているか否かの違い
機体
機体にストロボ等を装備させることが考えられるが、効果が不明でありバッテリーの消耗
も懸念される
→来年度以降、機体の視認性を高めるための技術について調査研究を実施
※平成29年度予算案に機体の視認性を高めるための技術に関する評価手法の確立に要する経費を計上

航空:航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会 - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk01_000001.html

有人航空機とのニアミス実例 
http://www.mlit.go.jp/common/001153086.pdf

航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について
国土交通省航空局平成28年11月8日
https://www.mlit.go.jp/common/001153086.pdf
国土交通省 航空局平成29年2月9日
https://www.mlit.go.jp/common/001172562.pdf

航空機・無人航空機、無人航空機同士の衝突回避技術

有人の航空機と無人航空機の衝突回避技術に関して試験が行われています。今後はこのような技術が無人航空機の方に搭載されて行く可能性があります。

世界初、相対速度200km/hでの小型無人航空機の自律的な衝突回避に成功~小型化/低消費電力化したセンサーで有人ヘリコプターを自律的に衝突回避~ 2021.11.08 

日本無線株式会社、株式会社SUBARU、日本アビオニクス株式会社、株式会社 ACSL、マゼランシステムズジャパン株式会社は、9月9日から10日、広域飛行空域(福島県南相馬市)で、小型化/低消費電力化されたセンサーを10kgクラス無人航空機に搭載して、自律的な衝突回避試験を実運用速度域である相対速度200km/hで実施し、世界で初めて成功しました。これは小型無人航空機を社会実装するための目途立てとして、大きな前進となるものです。

背景・目的

一般にドローンと呼ばれる小型の無人航空機や、それよりも一回り大きく、より大きなセンサーなどを搭載できる中型の無人航空機は、既に農業分野などで利用が広がり、さらには災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラなどの用途に大いに期待され、運用数は増加しています。

衝突回避飛行試験イメージ

しかし、無人航空機とドクターヘリなどの有人航空機のニアミス実例※1が国内で報告されるなど、衝突回避技術は、安全利用のための喫緊の課題となっています。また、衝突回避技術は、無人航空機の実用化に必要とされる、「目視外飛行」および「第三者上空飛行※3」の実現に欠かせない技術です。
今後、本成果を活用して衝突回避システムを確立し、無人航空機の社会実装推進に努めて参ります。

なお、本試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/無人航空機の運航管理システムおよび衝突回避技術の開発/単独長距離飛行を実現する運航管理機能の開発(離島対応)」の一環として実施されたものです。

実施した試験概要

10㎏クラスの無人航空機と有人ヘリコプターを、相対速度200km/h(無人航空機:50km/h、有人ヘリコプター:150km/h)で各々の正面方向から接近させ、無人航空機に搭載した各種センサー※4の探知データに基づき、衝突を回避する経路をリアルタイムで生成して、この回避経路に沿って無人航空機が自律回避飛行することを確認しました。また、有人ヘリコプターを回避した後、無人航空機が元の飛行経路に復帰することも確認しました。
衝突回避飛行試験の状況衝突回避飛行試験の状況
衝突回避飛行試験の状況衝突回避飛行試験の状況
JRC日本無線 ニュースより

※1 有人航空機のニアミス案件の実例:
「航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について」(国土交通省航空局、2016年11月8日)のP16参照。
※2 目視外飛行:
無人航空機の操縦者が自分の目によって無人航空機の位置や姿勢および航行の安全性を確認できない飛行のこと。長距離の物流やインフラ点検には必須であるが、実現には操縦者の目視に代わる安全措置の実施や、衝突回避技術の実装などが必要。
※3 第三者上空飛行:
無人航空機の運航に関与しない第三者の上空を飛行すること。市街地などで物流を実施する場合などに必須であるが、実現には、高い安全性や信頼性を確立する技術が必要。
※4 各種センサー:
現時点では実験試験局として登録。

JRC日本無線 ニュース 2021.11.08 世界初、相対速度200km/hでの小型無人航空機の自律的な衝突回避に成功
https://www.jrc.co.jp/jp/about/news/2021/1108-1.html
世界初、相対速度200km/hでの小型無人航空機の自律的な衝突回避に成功 | ニュースリリース | 株式会社SUBARU(スバル)
https://www.subaru.co.jp/news/2021_11_08_174517/

無人航空機の衝突回避技術に関する概要

次世代空モビリティの誕生により、空の利活用の可能性が広がっています。小型の無人航空機(一般的にドローンと呼ばれる)や中型の無人航空機は、農業分野などで既に利用が進んでおり、災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラなどの用途への期待も高まっています。これに伴い、運用数も増加しています。
しかし、無人航空機とドクターヘリなどの有人航空機のニアミス事例が国内で報告されるなど、衝突回避技術の実現は安全な利活用のための緊急課題となっています。また、衝突回避技術は、無人航空機の実用化に必要とされる「目視外飛行」および「第三者上空飛行」の実現に欠かせない技術です。

非協調式SAA技術について

無人航空機が地上および空中の物件などを検知し、即時に衝突を回避して飛行するための技術(Sense And Avoid: SAA)のうち、地上からの支援に頼らず、衝突対象との連携を必要としない方式を非協調式SAAと呼びます。非協調式SAAは、無人航空機に搭載された各種センサ(レーダ、光学カメラなど)からの情報を基に、飛行の妨げとなる物件などの位置を特定し、無人航空機自らが最適な飛行経路を生成して衝突を回避する技術です。
この技術を実現するためには、比較的遠距離(数km先)において有人ヘリコプタの探知を可能とするセンサが重要であり、無人航空機に搭載可能な電波センサ(レーダ)の開発、実証実験、センサの小型・軽量化および低消費電力化に取り組まれました。

衝突回避技術の開発概要

無人航空機が衝突を回避するためには、無人航空機自らが有人航空機を確実に認識し回避行動をとる非協調式のSAAの実現が不可欠です。このSAAを実現するためには、電波センサ(レーダ)と光波センサ(カメラ)を統合した「衝突回避システム」の開発が必須となります。
開発企業は100 kgクラスの中型無人航空機搭載用電波センサ(レーダ)を開発し、シングルロータの中型無人航空機に搭載可能なセンサを実現しました。このセンサを搭載した中型無人航空機によって衝突回避試験を実施した結果、開発された電波センサ(レーダ)により相対速度100 km/hで対向する有人ヘリコプタを適切に探知し、衝突回避に成功しました。
さらに、10 kgクラスの小型無人航空機に搭載することを考慮し、センサの小型・軽量化および低消費電力化の研究開発ならびに同センサを搭載した小型無人航空機による衝突回避試験をNEDOの助成、委託により実施しました。この試験は、新たに開発した電波センサ(レーダ)をはじめとする各種センサを搭載した小型無人航空機が相対速度200 km/hで対向する有人ヘリコプタを適切に探知し、衝突を回避することを実証しました。

中型無人航空機用電波センサの概要と衝突回避試験

中型無人航空機用電波センサの概要

開発企業が開発を担当した電波センサ(レーダ)を無人航空機に搭載しました。開発された中型無人航空機用電波センサ(レーダ)は、容積30,000 ㎤、質量5 kg、消費電力70 Wという仕様を持ちます。回転方式のアンテナにより水平方向360度の捜索が可能であり、設計計算上、5 km程度離れた位置を飛行する有人ヘリコプタの探知が可能です。

中型無人航空機による衝突回避試験の実施

2019年7月に、福島県、南相馬市、公益財団法人福島イノベーションコースト構想推進機構の協力のもと、福島浜通りロボット実証区域 広域飛行空域(福島県南相馬市)において、中型無人航空機に搭載した衝突回避システムによる自律的な衝突回避試験を世界で初めて実施されました。
衝突回避試験では、60 km/h程度で飛行する有人ヘリコプタに対し、衝突回避システムを搭載した無人航空機が向かい合う方向で規定された経路を40 km/h程度で直進飛行します。有人ヘリコプタが接近した段階で、無人航空機に搭載した電波センサ(レーダ)および光波センサ(カメラ)で有人ヘリコプタを探知・識別し、自律管理装置が衝突の危険性を自動的に判断し、規定された経路を外れて回避行動をとります。

衝突回避の流れ

  1. 電波センサ(レーダ)で遠距離(5 km程度)の飛行物体を早期に探知します。
  2. 飛行物体が500 mの距離まで接近した段階で、光波センサ(カメラ)の画像処理により、飛行物体が有人ヘリコプタであることを識別します。さらに、電波センサ(レーダ)の情報から有人ヘリコプタの飛行速度、方向などを算出し、衝突の危険性を自動的に判断、衝突回避経路を新たに生成し、旋回を開始します。
  3. 最低安全離隔距離を保てるよう衝突回避経路上を飛行します。
  4. 衝突回避行動を終了し、規定の経路への復帰を開始します。
  5. 衝突回避経路の飛行を完了し、規定の経路への復帰を完了します。

センサの小型・軽量化および低消費電力化

2020年度からNEDOの助成により、センサの小型・軽量化および低消費電力化の研究開発を開始しました。電波のビーム走査を、アンテナの機械的な回転によらない電子走査方式に置き換えることで、回転機構をなくし、大幅な小型化を実現しました。その結果、容積は1/10以下となる2,400 ㎤、質量1.2 kg、消費電力40 Wを達成しました。この小型化された電波センサ(レーダ)を10 kgクラスの機体に搭載することが可能になりました。
衝突回避の実証試験に先立ち、小型無人航空機に電波センサを搭載し、地上とのアップリンク/ダウンリンクを通じて電波センサ(レーダ)に指令・制御を行い、基礎データを取得できることを確認しました。具体的には、受信信号データを電波センサ内へ蓄積し、ログデータが取得できることを長野市滑空場において確認しました。飛行状態で取得した電波センサ(レーダ)のログデータと、同時刻に光波センサ(カメラ)が捉えた映像により、電子的に方位方向走査が行われ、カメラが捉えた映像で確認できる橋などの構造物や地形からの反射と考えられる受信信号データが記録されていることを確認しました。
次に、海上において有人ヘリコプタを飛行させ、小型無人航空機に搭載した電波センサ(レーダ)でレーダ受信信号などの基礎データを取得しました。得られた基礎データを用いて、脅威の対象である有人ヘリコプタを確実に探知するための信号処理に関して検討を行いました。
取得したレーダの受信信号データには、脅威の対象(探知目標)である有人ヘリコプタからの反射信号のほかにも、海面の波、地表および地上建造物からの様々な反射信号が含まれていることが確認されました。これらの様々な受信信号データを基にして脅威対象である有人ヘリコプタの特徴を抽出する信号処理を行いました。オフラインで信号処理を検証した結果、有人ヘリコプタが適切に探知できることを確認しました。
このオフラインで検証された信号処理アルゴリズムを電波センサ(レーダ)へ組み込み、その後の衝突回避試験を実施しました。

小型無人航空機による衝突回避試験の実施

2020年9月9日から10日にかけて、広域飛行空域(福島県南相馬市)において、小型化/低消費電力化されたセンサを10 kgクラスの小型無人航空機に搭載し、自律的な衝突回避試験を実運用速度域である相対速度200 km/hで実施し、世界で初めて成功しました。
この衝突回避飛行試験では、10 kgクラスの無人航空機と有人ヘリコプタを、相対速度200 km/h(無人航空機:50 km/h、有人ヘリコプタ:150 km/h)で各々の正面方向から接近させました。無人航空機に搭載した各種センサの探知データに基づき、衝突を回避する経路をリアルタイムで生成し、この回避経路に沿って無人航空機が自律回避飛行することを確認しました。さらに、有人ヘリコプタを回避した後、無人航空機が元の飛行経路に復帰することも確認しました。
この試験で電波センサ(レーダ)による有人ヘリコプタの探知に成功し、世界で初めて小型・軽量化および低消費電力化されたセンサを搭載した10 kgクラスの小型無人航空機による自律的な衝突回避を相対速度200 km/hという高速での接近状況において実現しました。


無人航空機の衝突回避技術
JRCreview73_04-1.pdf

世界初、相対速度100km/hでの無人航空機の衝突回避試験を実施 | ニュース | NEDO
2019.7.25
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101167.html


航空機と小型無人機のニアミス事案一覧
「航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について」(国土交通省航空局、2016年11月8日)より
No発生日飛行させた者
又は
所属団体等
飛行場所機体(種類、特徴等)事案の概要
2016/1/31ラジコン機
クラブ
千葉県印旛沼付近
(高度150メートル付近)
ラジコン
飛行機
翼幅約300cm
・印旛沼付近でラジコン機とドクターヘリが接近した。
【ラジコン機の飛行クラブからの報告】
・ドクターヘリが付近を飛行したことを認識していたが、接近したという認識はなかった。
・高度150m未満で飛行させていた。
【ドクターヘリ運航者からの報告】
・ラジコン機との目視距離は15~25mで、ラジコン機は、ドクターヘリの前方左側をほぼ垂直に降下し、通過していった。※なお、操縦者の操縦経験は30年以上。
2016/2/9(不明)埼玉県春日部市と越谷市の中間位置付近(高度600メートル付近)ラジコン飛行機と思われる【ヘリコプター運航者からの報告】
・ヘリコプターが操縦訓練飛行を行っていた際、ラジコン機が機体の下方約5~10mを通過した。
2016/3/8(不明)千葉県野田市利根川河川付近(高度600メートル付近)ラジコン飛行機と思われる【ヘリコプター運航者からの報告】
・ヘリコプターの右斜め下方約100m~200mをラジコン機が通過した。
2016/3/25(不明)東京都江戸川区旧江戸川河口付近(高度180メートル付近)マルチコプターと思われる【ヘリコプター運航者からの報告】
・ヘリコプターの下方約10mをマルチコプターが通過した。

ドクターヘリについては以下に詳細をまとめています
ドローンが飛行中に出会う可能性のある「航空機」との共存術

無人航空機の衝突回避に関する国際規格

NEDOの委託事業「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」での成果を基に、日本無線株式会社と株式会社三菱総合研究所が取りまとめた、無人航空機の衝突回避技術に関する国際標準化機構(ISO)の技術報告書「ISO/TR 23267:Experiment results on test methods for detection and avoidance(DAA)systems for unmanned aircraft systems」(以下、ISO/TR 23267)が、2024年4月15日に公開されました。

技術報告書「ISO/TR 23267」は、無人航空機用衝突回避システムに関する規格「ISO/DIS 15964 Detection and avoidance system for unmanned aircraft systems」(以下、ISO/DIS 15964)の要求事項の根拠と位置付けられ、新たな国際標準の速やかな規格開発に貢献することで、無人航空機の社会実装の加速が期待できます。

無人航空機の衝突回避に関する国際規格が発行されました
無人航空機の安全利用を目指して(ISO21384-3)2023年10月6日
https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231006002/20231006002.html
日本発の無人航空機の衝突回避に関する技術報告書がISOより公開 | ニュース | NEDO
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101740.html

<参考>
無人航空機の衝突回避に関する国際規格が発行されました (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231006002/20231006002.html
日本発の無人航空機の衝突回避に関する技術報告書がISOより公開 | ニュース | NEDO
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101740.html
ISO/TR 23267:2024 - Experiment results on test methods for detection and avoidance (DAA) systems for unmanned aircraft systems
https://www.iso.org/standard/87386.html
ISO/FDIS 15964 - Detection and avoidance systems for uncrewed aircraft systems
https://www.iso.org/standard/84450.html
ISO 21384-3:2023 - Unmanned aircraft systems — Part 3: Operational procedures
https://www.iso.org/standard/80124.html
ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト | 事業 | NEDO
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP2_100080.html
航空:航空機、無人航空機相互間の安全確保と調和に向けた検討会(第5回) - 国土交通省 (mlit.go.jp)
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk1_000065.html


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2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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